親権とはどのような権利か

□ 親権は、①身の回りの世話、しつけ、教育を行う「身上監護権」と、⓶子ども名義の財産を管理する「財産管理権」とからなります。 親権には、これらに加え、子どもが契約その他法的手続きをする際の法定代理人としての立場も含まれます。

 

□ 親権の対象となるのは未成年(※)の子です。成人した子は、親から自立した生活をしていなかったとしても、親権の対象にはなりません。

※ 民法改正により、2022年4月から成年年齢が変更されたことに伴い、親権は子が18歳になるまでに変更されました。

 

□ 親権や監護権を持たない親も、子どもの扶養義務はあります。 

 

民法第818条(親権者) 

1 成年に達しない子は、父母の親権に服する。 

行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 親権とはどのような権利か

 

 親権の内容は、身上監護権と財産管理権に加え、法定代理人としての立場も含まれます。

 

(1) 身上監護権

 子を手元において身の回りの世話、しつけ、教育を行い、心身の成長の面倒を見る権利・義務があります。

 

(身上監護権の具体的内容) 

① 子どもの居住場所を指定する (民法821条)

  子どもの引き渡しを求める等、第三者に対する妨害排除  

② 子どもをしつけのため懲戒する (民法822条)

※過度の懲戒は、児童虐待となり、傷害罪、暴行罪、逮捕監禁罪などの犯罪になります。

③ 子どもの営業・就職を許可する (民法823条1項)

 

(2) 財産管理権(民法824条)

 子ども名義の財産を管理し、財産に関する契約などの法律行為について、子を代理(又は同意)します。

 

(3) 身分行為の代理

  認知の訴え、(15歳未満の)子どもの氏の変更、養子縁組又は離縁(代諾)、養子離縁の訴え、子どもの相続の承認・放棄など、身分上の行為を代理します。

 

(4) 法定代理人としての立場

 子どもが契約その他法的手続きをする際の法定代理人としての立場。

 

2. 親権停止、親権喪失、管理権喪失

 

 親権の行使が不適当又は困難であることにより子の利益を害しているときは、子ども本人又は子どもの親族や子どもの後見人・後見監督人若しくは検察官や児童相談所長は、家庭裁判所に親権停止の審判を申立てができます(民法834条の2)。 

 

3. 親権の終了と養育費

 

 親権は、未成年の子が一人前の社会人としての能力を備えるために親に付与されるものであり、親権の対象となるのは未成年(※)の子です(民法818条1項)。

 成人した子は、親から自立した生活をしていなかったとしても、親権の対象にはなりません。

 

※ 民法改正により、2022年4月から成年年齢が変更されたことに伴い、親権は子が18歳になるまでに変更されました。

 

 ただし、親権と養育費は別問題です。

 

4. 子どもの扶養義務 

 

 親権又は監護権を持たない親も、子どもの扶養義務はあります。またどのように育て教育するか意見を言う権利もあります。「面会交流」も要求できます。相続の権利義務もそのまま残ります。 

 

 

ポイント 子どもに関する、その他の協議事項

 

1. 離婚後の「子どもの氏・戸籍」はどうするか

 

□ 》離婚後の戸籍・子の氏 をご覧ください 

 

2.離婚後「こどもの 養育費」をどのように支払うか

 

□ 》養育費 をご覧ください 

 

3.こどもを引き取らなかった親はどうやってこどもと会うか

 

□ 》面会・交流権 をご覧ください 

 

4. こどもの転校先はどうするか