離婚時、年金分割の手続き(強制分割=3号分割)

□ 年金の分割請求手続きは、離婚成立後、年金事務所(共済組合員の場合は共済組合)に「年金分割の標準報酬改定請求」をする。  

□ 3号分割(強制分割)は一方から年金分割請求することができる。相手方に知らせる必要はない(3号分割(強制分割)の按分割合は2分に1と決まっています。請求手続に公正証書等による合意契約は不要です)。 

□ 年金分割請求は離婚成立の日から2年以内に行なうことが必要。   

行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 3号分割(強制分割)の請求手続

 

 3号分割(強制分割)の請求は、離婚成立後、年金事務所(共済組合員の場合は共済組合)に「年金分割の標準報酬改定請求」をします。相手方に知らせる必要はありません(3号分割(強制分割)の按分割合は2分に1と決まっています。請求手続に年金分割の合意は不要です)。

 

 また、年金分割のための情報通知書は不要ですが、分割を受けられる年金を把握するため取得することをお勧めします。 

 

(年金分割のための情報通知書)

 

 離婚することに決めたら、まず、年金事務所(現住所管轄以外でも可、共済組合員の場合は共済組合)に行き、「年金分割のための情報通知書」を請求します。 

 その際は、自分の基礎年金番号が分かるもの(国民年金手帳、厚生年金手帳又は基礎年金番号通知書)と戸籍謄本(婚姻年月日の記載があるもの、事実婚の場合は住民票)が必要です。 

 50歳以上の場合は、年金分割のための情報通知書と合わせて「年金分割を行った場合の年金見込み額」と「年金分割をしない場合の年金見込み額」の情報提供を受けることができます。  

 「年金分割のための情報通知書」の請求は夫婦の一方から行うことができます(離婚前は情報を請求した側にのみ提供し、他方へは知らせないことになっています)  。郵送してもらうことも可能です。その場合、自宅以外に送付してもらうこともできます。  

 

2. 年金分割請求の時効 

 

 年金分割請求の時効は離婚成立後2年です。離婚成立の日から2年以内に、年金事務所(共済組合員の場合は共済組合)に「標準報酬改定請求書」を提出しなけれななりません。 2年を経過すると請求できません。

 

 ただし、2年を経過する前に、家庭裁判所に調停の申し立てをすれば、離婚成立後2年を経過しても、審判が確定した日又は調停が成立した日の翌日から1か月以内であれば、請求できます。

 請求手続は、当事者のいずれか一方が、年金事務所(共済組合員の場合は共済組合)の窓口に行って行います。   

 

 万一、離婚後相手方が死亡した場合は、死亡日から1か月以内に請求する必要があります。  

 

 

3. 3号分割の期間と合意分割の期間が併存するとき

 

婚姻期間中に3号分割(強制分割)の期間と合意分割(協議分割9の期間があるときは、合意分割の手続きとなります(同時に3号分割の請求があったものとみなされる)。

 

4. 事実婚(同棲を除く )の3号分割(強制分割)

 

 事実婚(同棲を除く )のカップルも、被扶養者として第3号保険被保険者であった期間については、3号分割(強制分割)の請求ができます。  

 世帯全員の住民票、健康保険証により事実婚を証明する必要があります。