終活でやること~達成感に満ちた老後をおくるために~

□ 「終活」はネガティブな意味ではなく人生の総仕上げ、定年後を平穏により良く過ごすための準備です。認知症や突然の死にも家族が困ることのないよう、最小限のことはしておきたいものです。

 

□ 自分が亡くなった後、残された配偶者の暮らしはどうなるのか、年金は、配偶者は生活していけるのか確認しておきましょう。

 

□ 定年退職すると、家のリフォーム、車や冷蔵庫、クーラー、洗濯機などの買い替え、旅行、子や孫への援助等で退職金はみるみる減っていきます。病気による医療費や入院費、介護費の出費も不安です。家庭経済を省エネ型に変える必要があります。

 

□ 健康の秘訣は、よく眠り(一日10時間)、よく歩き(同7千歩)、よく笑い、体はいつも温かくして免疫を高めることににあります。

 

□ 厚労省の発表では、百歳以上の高齢者の数は、老人福祉法が制定された昭和38年には全国で153人でした が、今年は90,526人です(2022.9.1)。人生100年時代、定年退職は終着駅ではありません。第二の始発駅です。

行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

似顔絵

1. 家庭経済を省エネ型に変え、お小遣いを確保する 

 

(1)経常的な出費を見直す

 

■ 固定電話は解約します。どうしても必要なときは、キャッチホン等オプションサービスは取りやめましょう。

 

■ 携帯電話料金を最小限にします。スマホは格安スマホで十分です。

 

■ 生命保険は掛け捨て型の県民共済等に変える。

 

■ 退職金を定期預金にしても利息はほとんどつきません。退職金の一部を火災保険の一時払い保険料に回せば、満期に全額かえり、保険料は無料です。

 

■ 車は軽にする。自動車税、ガソリン代がグッーと安くなります。

車の保険は安いインターネット保険で十分です。

 

■ 月ぎめで借りている駐車場は返還し自宅の庭に停める。

 

(2)老後の蓄え、資産構成に注意

 

 特別養護老人ホームの利用料(食費・居住費)は、所得に応じ、約6万5千円から約15万円です。軽減制度を使えるのは、以下の2条件をクリアした場合のみです。

 

➀ 世帯員全員が住民税非課税

 

② 預貯金が以下の金額以下

 (配偶者がいる場合) 2,000万円以下

 (配偶者 ない場合)    1,000万円以下

 

 (3)アルバイトをする

 

 ただし、フル勤務はやめましょう。現役時代の人間関係と関係のない仕事、「長」のつかない仕事、ストレスのたまらない仕事であることが重要です。また、老後を楽しむためには週2~3日勤務が限度でしょう。

 なお、アルバイトの採用面接では、「長」をやっていたことをひけらかさないこと。使いずらいと思われるのがオチです。

 アルバイトで月7~8万円生み出せれば、貴方のセカンドライフはグッと豊かになります。

 なお、専業主婦の奥様がいる場合は、奥様が60歳になるまで厚生年金に加入できる仕事につくことをおすすめします。さもないと、奥様の国民年金の掛け金の支払いが大変です。

 

(4)専業主婦は年金額に注意

 

 専業主婦の皆さん、65歳になると自分の国民年金として6万5千円もらえると思っていませんか?

 思い起こしてください。昭和61年3月までは専業主婦の国民年金は任意加入でした。したがって、それ以前から専業主婦だった人は、特別に国民年金を掛けた人以外、6万5千円はもらえません。 

 

2. 延命治療についての意思表明ともしものときへの備え書き

 

(1)エンディングノート

 

 元気なうちに、自分の介護、相続、葬儀、お墓などについて意思表示をしておきましょう。

 

 (例)

■ 「介護が必要になったら 遠慮なく施設に入れて」 

■ 「延命のためだけの医療はしないで」 

■ 「お葬式は親族だけで簡素に」 

■ 「戒名はいらない」  

■ 「お墓は要らない、樹木葬にして欲しい」

■ 「旅立つ時、家族に伝えたいメッセージ」 

  など

 

(2) 遺言書

 

 相続でもめるのは7割近くが「 こども間」と言われています。遺言で親の意思を明確にのこしましょう。家族は尊重し、もめゴトは起こりにくくなるものです。  

 ケースによっては、「民事信託」「家族信託」も活用しましょう。

 

■ 遺言信託(遺言による信託)は、「遺言」によって受託者を定め、財産を移転し、こどもなどのために財産を管理してもらう制度です。 

 

■ 「家族信託(信託契約)」は、家族のひとりを信託の受託者と定め、信託契約を結んで財産管理を任せる制度です。

 信託財産が自宅の場合は、所有名義は受託者に移りますが、委託者は自宅に住み続けることができます。委託者が施設に入所するなどで売却する場合は、売却手続きは受託者が行います。

 信託契約により、亡くなった後の所有者を受託者に定めれば、受託者が自宅を相続できます。 

 

(3) 尊厳死宣言

 

 尊厳死は、過剰な延命治療(胃瘻(いろう;口から食べられなくなったとき、胃に穴をあけ直接栄養分を入れる)や栄養剤の点滴など)を差し控え、または中止し、単なる死期の引き延ばしをやめることです。

 元気なうちに尊厳死宣言をしておくことで、過剰な延命治療を避け、人間としての尊厳を保ちながら最後を迎えることができます。 

 

(4) 死後事務委任契約 

 

 「死後事務委任契約」は、自分が亡くなったあとの葬式、法要の施行や費用の支払いなどを、あらかじめ自分のことをよく知っている知人など信頼できる人に頼んでおく契約です。 

 

3. 認知症などに備える

 

 「任意後見契約」は、まだ元気で頭のしっかりしているうちに、将来、認知症などで判断能力がおとろえたときに財産管理や介護・生活の手配を支援してくれる人(任意後見人)を選び、あらかじめ代理権を与えておく契約です。

 認知症になると、「後見人」がいない限り、自宅を売却ることはできません。 

 

4. 実家の整理と自宅の処分

 

(1) 空き家問題と相続 

 

■ 空き家をそのままにしておくと、相続が発生するごとに共有者がどんどん増えてしまいます。相続関係者が多くなると、合意の形成が困難となり、売却等が困難となります。 

 

■ 相続放棄しても、法定相続人には不動産の管理義務は残ります。(民法940条) 

 

■ 建物を取り壊すと、固定資産税の特例(建物が建っていれば、土地の固定資産税は200㎡まで1/6、200㎡超部分は1/3)がなくなります。 

 

■ 空き家対策特別措置法(平成27年5月26日施行)により、倒壊したり、周辺環境に悪影響を及ぼす空き家は、市区町村に「特定空家等」(※)に指定され、指導、勧告、命令を受けることがあります。

 

※「特定空家等」:放置すれば倒壊したり、衛生状態や景観が悪化したりするなど周辺環境に悪影響を及ぼす空き家

 

・ 指定されると、勧告の時点で固定資産税の特例(建物が建っていれば、土地の固定資産税は200㎡まで1/6、200㎡超部分は1/3の特例)がなくなります。

 

・ 改善命令に従わない場合、50万円以下の罰金。

 

・ 戒告のうえ行政代執行で建物が解体されることがあります。(解体費用は所有者負担です) 

 

 市区町村から勧告を受けた「管理不全空家」(放置すれば「特定空家」になる恐れのある空き家)は、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税金の負担が増します(令和5年6月14日同法の一部を改正する法律が公布)。

 

■ マンションは管理費用と修繕積立金がかかります。

 

□ 相続による空き家を発生させないために、遺言書を書いておきましょう。

 

□ 相続により空き家が発生したら、相続について話し合い、遺産分割協議書を作成しましょう。

 

(2) 実家の整理

 

 実家の所有者が認知症になると、「後見人」をつけないと売却できません。後見人選任は家庭裁判所に申し立てを行います。審判が出るまでに3か月程度かかります。 

 

(3) 自宅の処分

 

 少子化人口減少時代、長期的には、空き家は今後買い手がつかなくなる恐れがあります。子どものいない夫婦は今のうちに1戸建ての自宅は売却し、マンションに移るのも選択肢です。

 

 田舎暮らしは慎重に。年を取ってから知らない土地に行くと認知症になりやすいともいわれます。

 

 自宅などの不動産を遺産として残さないときは「リバースモーゲージ」を活用する手があります。 「リバースモーゲージ」は、自宅に住み続けながら、自宅を担保に生活資金を年金方式等で受け取り、自分が亡くなったときに自宅を売却して清算する方法です。

 

 介護施設などに入所のため自宅を空き家にしておくと、近隣からの通報で「特定空き家」に指定されることがあります。「特定空き家」に指定されると土地の固定資産税が最大で6倍に増えます。

 

 老人ホームに入って3年が過ぎると、居住用財産の譲渡特例3,000万円の特別控除が使えなくなります。(自宅を売却したときに払う税金が数百万円増えることがあります。)注意が必要です。

 

※ 不動産を売却するときにかかる税金(譲渡所得に対する所得税) 

・ 譲渡所得=売却金額 −(取得費+譲渡費用)  

① 所有期間が5年超の不動産(自宅以外) 20%(所得税15%、住民税5%) 

② 所有期間が5年以下の不動産(自宅以外)39%(所得税30%、住民税9%)

③ 所有期間が10年超の不動産(自宅)

・ 特別控除額 3,000万円、税率14%(所得税10%、住民税4%) 

 ※ 空き家の場合、転居から3年を経過する年末まで

 

④ 相続後に子が実家(親の自宅)を売却する場合 

・ 3,000万円の特別控除を受けるには、(ⅰ)売却代金が1億円以下、(ⅱ)昭和56年5月31以前に建築、(ⅲ)マンションは不可更地にして売却するか、耐震改修する などの条件があります。   

 

5. 墓じまい 

 

 実家のお墓参りは年を取ると大変です。自分の代で、先祖代々受け継がれてきたお墓を無くしてしまうのはご先祖様に申し訳ないような気持ちがするかもしれませんが、後々のことを考えれば、墓じまいをしたほうがご先祖を大切にすることになると考えることもできます。 

 

 入るお墓の無い方、たとえお墓を買ってもだれもお参りをしてくれない方、無縁者同士がつながりあって共同墓地を守り、永代供養を、続ける組織として「すがも平和霊苑・もやいの会」があります。   

 入会金は一口1万円、会費は年2千円(生前)、遺骨埋蔵を希望する会員は1体10万円らしいです。  

 

6. 介護施設入所の検討 

 

 特別養護老人ホームは、費用は安いが、順番待ちで、重度の人を優先的に入所させるのでなかなか入れません。介護付き有料老人ホームは、年金だけでは入れません。 

 

7. 人に見られたくない写真、手紙などを処分する

 

ポイ ント 一口豆知識(その1)

 

 アルツハイマー病という病名は、この病気について初めて研究結果を報告したドイツの精神科医アロイス・アルツハイマーにちなんで名づけられた。

 

 人間の大脳は数百億個の神経細胞からなるが、20~30代から萎縮が始まり、毎日10万個ずつ減少するという。

 

 65歳以上の7人に1人、85歳以上の3~4人に1人は認知症になり、その6~7割がアルツハイマー型認知症だと言われている。

 

 年を取ると、昨日の夕食のご馳走が思い出せなくなることはよくあることだが、これは認知症ではない。認知症では食べたことを忘れる。どこへ行ったかという以前に、出かけたことを忘れる。

 また、認知症では、記憶障害の前に嗅覚障害になることが多いと言われている。

 

 アルツハイマー型認知症の発症の仕組みはまだよくわかっていないようだが、免疫のエラーにより、自分のアミロイドプラークを細菌等の外来分子と間違えて攻撃する自己免疫疾患ではないかとも言われている。

ポイ ント 一口豆知識(その2)

 

 宇宙は今から138憶年前にビッグバンでできた。太陽は今から46億年前に誕生した(太陽の余命は55億年)。地球は太陽より1,000万年~2,000万年あとに誕生した(地球の余命は17億5千万年)。

 

 宇宙の終焉は10の100乗年後で、宇宙の一生を1年に喩えると、現在は、1月1日の0時0分0.000・・・004秒ということらしい。

 

 人類は650~700万年前に誕生した。

 現生人類(ホモサピエンス)は約20万年前に誕生した。

 現在の「ヒト」という種は約5万年前に誕生した、と言われている。

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