予備的遺言とは?遺言者と相続人が死亡し、その先後が明らかでないときの相続~同時死亡の推定~

1. 遺言者と相続人が死亡し、その先後が明らかでないときの相続(同時死亡の推定)

 

 民法では、数人が死亡して死亡の先後が明らかでないときは、全員が同時に死亡したものと推定されています。同時死亡者相互の間には相続関係は生じません。 

 

民法32条の2(同時死亡の推定)

 

 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

 

2. 予備的遺言とは

 

  受遺者が遺言者と同時死亡の場合、相続関係は生じません。相続開始時に遺言に定めたとおりに遺言を執行することができない事態が生じていた場合、当該遺言をどのように解釈すべきか問題が生じることがあります。

 念のため、予めそうした事態を想定して、その場合はどうするかについて予備的に定めておくことができます。

 

3. 予備的遺言が必要な事態

 

(1)受遺者が遺言者より前に又は同時に亡くなった場合は亡くなった人にあげる予定だった財産を誰に承継させるかを定めたいとき

 

 受遺者が遺言者より前に又は同時に亡くなった場合、亡くなった人にあげる予定だった財産は誰に承継させるかを、補充遺贈として遺言することができます。  

 

ポイント 詳しくは 》》補充遺贈 をご覧ください。

 

(2)配偶者が自分より前に又は同時に亡くなった場合は亡くなった人にあげる予定だった財産を誰に承継させるかを定めたいとき

 

 一通の遺言書で夫婦ふたりで遺言することはできません。別々の遺言書を作る必要があります(共同遺言の禁止) 。

 

(3)相続人が遺言者より前に又は同時に死亡し場合は代襲相続人に法定相続分を超えて代襲相続させたいとき

 

(4)相続人が遺言者より前に又は同時に死亡した場合の次順位の相続人(又は受遺者)を定めたいとき

 

(5)相続開始時に相続人(又は受遺者)に遺産から支払うことができない場合の取り扱いについて定めたいとき

 

 


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