1. 個々の遺産について割合を定めて相続させる遺言
個々の遺産について割合を定めて相続させる遺言は、個々の遺産を、各相続人に、指定する種類、数量で確定的に取得させる遺言です。権利関係の確定に遺産分割協議は不要です。
2. 相続財産の全体についての割合を定めて相続させる遺言
相続財産の全体について割合を定めて相続させる遺言は、相続財産の全体について持分を相続させる遺言です。この遺言は、単に相続分の指定をしたにすぎないものとして、権利関係の確定には遺産分割協議が必要になるおそれがあります。
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埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
関連情報
1. 個々の遺産について割合を定めて相続させる遺言
個々の遺産について割合を定めて相続させる遺言は、相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定をした相続させる遺言と解される(※1)ので、個々の遺産を、各相続人に、指定する種類、数量で確定的に取得させるものであり、権利関係の確定に遺産分割協議は不要です。
※1 参照:NPO法人 遺言・相続リーガルネットワーク( 2017)『改訂 遺言条項例300&ケース別文例集』日本加除出版.60-61頁
各相続人に確定的に取得させる遺産の種類及び数量を割合的に定めることによって、遺言作成後の個々の遺産の増減に対応できます。
相続に伴う預金の名義変更(払戻請求)は遺言書でできます。遺産分割協議書は不要です。
個々の遺産について割合を定めて相続させる遺言作成にあたっては、準共有にする趣旨ではなく、種類、数量で分割する趣旨であることを明確にしておく必要があります。
(1)個々の遺産について割合を定めて相続させる遺言の書き方
個々の遺産について指定した持分(共有持分割合)を確定的に取得させる意思を明らかにしておく必要があります。
指定した割合が共有持分割合の場合は、具体的に財産を列挙し、例えば、不動産の場合は「各2分の1の持分割合による共有とし相続させる」、株式の場合は「AとBに株式数で各2分の1ずつ相続させる」というように書きます。
準共有にする趣旨ではなく、種類、数量で分割する趣旨であることを明確にしておきます。
(2)個々の遺産について割合を定めて相続させる遺言文例)
遺言者は、遺言者の相続開始時に有する下記の株式を、株数で、妻〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)に2分の1、長男〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)、長女〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)及び、次女〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に各6分の1の割合により相続させる。端数は長男〇〇〇〇に相続させる。
記
口座開設者 ○○兼○○市○○町○○丁目○○番○○豪
加入者 〇〇〇〇
口座番号 〇〇証券株式会社〇〇支店〇〇
銘柄 〇〇株式会社普通株式
コード番号 〇〇〇〇〇
数量 1000株
(上非場の株式の場合)
会社名 〇〇株式会社
券種 普通株式〇〇株
記号 〇〇
番号 〇〇 口座開設者 ○○県○○市○○町○○丁目○○番○○豪
加入者 〇〇〇〇
口座番号 〇〇証券株式会社〇〇支店〇〇
銘柄 〇〇株式会社普通株式
コード番号 〇〇〇〇〇
数量 1000株
※ 株券が発行されていない場合は株式の種類、数量を記載して特定します。
2. 相続財産の全体についての割合を定めて相続させる遺言
相続財産の全体について割合を定めて相続させる遺言は、相続財産の全体について持分を相続させる遺言です。
この遺言は、単に相続分の指定をしたにすぎないものとして、権利関係の確定には遺産分割協議が必要になるおそれがあります。
相続財産の全体について割合を定めて相続させる遺言は、相続分の指定を相続人全員に対して行う場合と効果は同じです。
相続財産の全体について割合を定めて相続させる遺言は、相続に伴う預金の名義変更(払戻請求)をする際には遺産分割協議書が必要となります。
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