遺言に書いた財産が変わった場合はどうしたらいいのか、教えてください。

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埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 遺贈する予定の財産がなくなると、その財産に関する遺言事項は撤回したことになります

 

 遺言で遺贈する(又は相続させる)予定の財産が、売却などによって無くなった場合は、遺言者が「目的物を処分した」こととなり、それを遺贈する(又は相続させる)としていた遺言事項は撤回されたことになります。

 遺言者の意思が、当該の処分した財産に関する遺言事項のみの撤回で、その他の遺言事項はそのままということであれば、遺言書は何も変更する必要はありません。 

 

2. 遺贈する予定の財産がなくなったとき、遺言書にどのような影響を及ぼすのか

 

(1)無くなった財産が「金額を特定しない預貯金債権」の場合 

 

 無くなる(処分する)財産が、「遺言で遺贈する(又は相続させる)預貯金の場合、解約しないで必要な金額だけを引き出したときは、遺言書は全文引き続き有効です。ただし、相続させる(又は遺贈する)金額は、当然、引き出した金額分減少します。

 

(2)預貯金を解約した場合

 

 預貯金を解約した場合は、遺言者が目的物を処分した場合にあたり、預貯金を相続させる(又は遺贈する)とした遺言事項は撤回されたことになります。遺言書は、当該遺言事項以外は引き続き有効です。

 

(3)不動産を売却した場合

 

 遺言で相続させる(又は遺贈する)とした不動産を売却した場合は、不動産を相続させる(又は遺贈する)とした遺言事項のみ撤回したことになります。遺言書は、当該遺言事項以外は引き続き有効です。   

 

3. 遺言に書いた財産が減ったりなくなったりしても、遺言書の文言を変える必要はありません

 

 遺言で遺贈する(相続させる)とした財産を売却などすると、遺言者が目的物を処分したこととなり、その遺言事項を撤回したことになります。

 また、この場合、遺言者の意思がその遺言事項だけの撤回で、その他の遺言事項はそのままということであれば、何もしなくても、他の遺言事項はそのまま有効です。

 

 ただし、重要な遺産を処分しながら遺言書をそのままにしておくと、相続時に思わぬ紛議が起こったり、親族間に感情的なしこりが残る恐れがあります。したがって、親族間の状況によっては、新たに遺言書を作り直す必要があります。その際は、内容の異なる複数の遺言があるともめる原因になりかねませんので、新たな遺言に、古い遺言は撤回する旨を明示すると同時に、古い遺言は処分しましょう。

 

4. 「一切の財産を相続させる」趣旨の遺言を書いたが、その後、また新たに財産を取得したとき

 

 「一切の財産を相続させる」趣旨の遺言を書いた後、新たに財産を取得した場合、遺言を書き直さなくても、新たに取得した財産を含め「一切の財産を相続させる」遺言として対応できます。

 ただし、重要な財産を取得したのに遺言書をそのままにしておくと、相続時に遺族間でもめる原因になったり、感情的なしこりが残ったりする恐れがあります。取得した財産についても記載した遺言書を新たに作成することをおすすめします。


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