胎児は相続人になれるか、法定相続人と勘違いしやすい者

□ 婚姻届を出していない夫婦は、お互いに相続することはできません(ただし、事情により、共有物分割をすることができる場合があります)。 

□ 妻の連れ子は、夫の遺産を相続できません(ただし、養子縁組をすればできます)。

行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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 1. 胎児は相続人になれるか

 

 相続は死亡と同時に開始し、一切の財産上の権利が直ちに相続人に移転します(民法896条)。したがって、相続人は相続開始時に権利能力者として生存している必要があります(相続における同時存在の原則)が、夫(被相続人)の死亡時に妻が懐胎していた場合は、その胎児は、相続についてはすでに生まれたものとみなすとしています(ただし、死んで生まれたときは、この規定は適用されません)(民法886条)。

 

 胎児がすでに生まれたものとみなされるのは、胎児が代襲相続人となる場合も同様であると解されています。

 

 胎児に遺贈することもできます。

 

  胎児は、万が一死産だった場合は遺産分割協議がやり直しになるので、通常出生まで待ちます。

 

2. 法定相続人と勘違いしやすい者

 

①被相続人の会社の後継者となっている娘婿(養子縁組をしていない場合)

②同居していた息子の配偶者(嫁)や孫

③同居していた被相続人の配偶者の親(義父母)

④内縁の妻、離婚した妻

⑤妻の連れ子は、夫の遺産を相続できません(ただし、養子縁組をすればできます)。

⑥婿養子

⑦非嫡出子

 

  法定相続人と勘違いしやすい者として、被相続人の会社の後継者となっている娘婿(養子縁組をしていない場合)、被相続人と同居していた息子の配偶者(嫁)や孫、被相続人と同居していた被相続人の配偶者の親(義父母)があります。 

 婚姻届を出していない夫婦は、お互いに相続することはできません(ただし、遺言で遺贈することはできます。また、事情により、共有物分割をすることができる場合があります)。

 離婚した妻は相続人になれません(遺言で遺贈することはできる) 。

 連れ子は、夫の遺産を相続できません(ただし、養子縁組をすればできます)。

 婿養子になっただけでは相続人にはなりません。妻の両親と正式な養子縁組をする必要があります。 なお、「養子」の相続順位は、実子と同じです(相続分も同じ)。 

 非嫡出子は、認知をされていないときは相続権はありません。なお、認知の訴えができる期間は父の死後3年以内です(認知の訴えが認められると、出生時にさかのぼって父子関係が生じます)。

 認知を受けた非嫡出子の相続分は、嫡出子と同じです。

 

※ 平成25年12月5日、民法の一部を改正する法律が成立し、平成25年9月5日以後に開始した相続について、非嫡出子も嫡出子と相続分が同等になった。(平成25年12月11日、公布・施行)