遺言による「債権」の承継(債権の相続)

1. 債権譲渡の対抗要件 

 

 債権譲渡の対抗要件は、①譲渡人の債務者に対する譲渡の通知、又は②債務者の承諾の通知です。

 ①譲渡の通知は、必ず「譲渡人」から債務者に対して行う必要があります。一方、②債務者の承諾の通知は、譲渡人又は譲受人のいずれに対するものでも良いとされています。

 

 ①譲渡の通知及び②債務者の承諾の通知は、いずれも確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対しては効力がありません。

 

民法467条(債権譲渡の対抗要件)

1. 債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。

2. 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。 

 

2. 遺言による債権の承継(債権の相続)

 

  平成30年(2018年)相続法改正で対抗要件主義が採用され、法定相続分を超えた相続権利は、登記等対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないこととなりました。(法定相続分に満たない相続権利は、登記等対抗要件を備えなくても、第三者に対抗できる) 

 したがって、遺言で債権を含め法定相続分を超える相続権利を取得した者は、対抗要件を備えなければ債務者に対抗できないこととなりました。 

 ただし、同改正で、遺言で債権を承継した者は、その遺言の内容を明らかにして債務者に承継の通知をすることで、対抗要件を備えたことになる、という規定ができました。

 

民法899条の2(共同相続における権利の承継の対抗要件)

1. 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。 

 

2. 前項の権利が債権である場合において、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。  


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