「墓じまい」の方法と費用

□ 「墓じまい」の方法としては、①「散骨」する ②自宅で「手元供養」する ③樹木葬にする ④永代供養墓にする ⑤近くにお墓を購入し改葬する ⑥既にある、配偶者が承継したお墓に、両家墓として合祀する などがあります。

 

 □ 「墓じまい」の費用は、お墓のある場所等によって大きく異なります。以下に記載した金額は「墓じまい」の方法を検討するためのざっくりとした目安とお考え下さい。

ポイント 当世墓じまい事情

 

□ お参りする人のいなくなったお墓はどうなるか 

 無縁墓(むえんばか、むえんぼ とも読みます)は、墓守する人がいなくなって放置されたお墓のことです。

 無縁墓になると、墓地の管理者は、お墓に立て札をし、官報に公告します。1年経過し無縁墓と認定されたお墓は、5年が経過後、遺骨は墓地内の無縁供養塔などに合葬され、その墓所は更地にします。 

 墓地埋葬法(昭和23年5月31日制定)施行以前に作られた、屋敷墓地、野墓地については、なんら手続きが取られることもなく、荒れ放題となってしまいます。

 集合墓地、集落墓地、部落墓地と称される村落型共同墓地についても、墓地の管理者がいないところは、前述のような手続きが取られることもなく、無縁墓となり、荒れ放題となってしまうことが多いようです。

 

□ 昨今、「墓じまい」を考えている人が増えています。実家のお墓参りは年を取ると大変、お墓参りができなくなり心苦しい、子どもたちに墓守の苦労はさせたくない、お墓の後を継ぐ人がいない、そうした事情からのようです。 

 自分の代で、先祖代々受け継がれてきたお墓を無くしてしまうのは、ご先祖様に申し訳ないような気持ちがするかもしれませんが、後々のことを考えれば、墓じまいをしたほうがご先祖を大切にすることになるかもしれません。   


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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ポイント関連情報

 

➤ 墓じまいの進め方

1. ふるさとのお墓の墓じまい、遺骨を「散骨」または「手元供養」にしてお墓は無形化する 

 

(1) 「散骨」する

 

 散骨は改葬に当たりませんので「改葬許可申請」は不要です。

 ただし、現在のお墓が土葬になっている場合には、再火葬する必要があるため、「改葬許可申請」が必要です。

 また、現在のお墓が「改葬許可証」がないとお骨を引き渡さない霊園にある場合は、改葬理由を「自宅で一時保管するため」などとして改葬許可を申請し取得する必要があります。

 なお、現在のお墓が寺院境内型墓地や霊園墓地の場合は、ご遺骨の移転先の「受入証明書」がないとご遺骨が取り出せないことがありますので、「散骨」にしようとお考えの方は、予め現在の墓地の管理者に確認しておくことが必要です。 

 

注意事 項 散骨にすると、ご遺族等がお墓参りし手を合わせる場所がなくなることなります。 

 

 (散骨の方法)

 

① 「散骨」代行業者に委託する。代行業者はお骨を粉末状にして、海等に「散骨」します。  

 

■ 散骨代行料 10万円程度~ 

 

② 委託せず自分で「散骨」する方法

 散骨は委託しないで自分で行うことも可能です。散骨は遺骨を粉末状にする、節度を持って行うなどが必要とされています。

 粉末状にしないと、遺棄罪に問われる恐れがあります。 また、公有地や他人の私有地への散骨は当然許可が必要です。自分の土地でも、自治体によっては散骨許可に関する条例があるところがありますので注意が必要です。 

 

■ 粉骨サービス料 2~5万円程度 

 

 

(2) 自宅で「手元供養」する

 

 手元供養は改葬に当たりませんので「改葬許可申請」は不要です。ただし、現在のお墓が土葬になっている場合には、再火葬する必要があるため、「改葬許可申請」が必要です。  

 また、現在のお墓が「改葬許可証」がないとお骨を引き渡さない霊園にある場合は、改葬理由を「自宅で一時保管するため」などとして改葬許可を申請し取得する必要があります。 

 現在のお墓が寺院境内型墓地や霊園墓地の場合は、ご遺骨の移転先の「受入証明書」がないとご遺骨が取り出せないことがありますので、手元供養にしようとお考えの方は、予め現在の墓地の管理者に確認しておくことが必要です。

 自宅で手元供養する場合は、衛生上の理由から、お骨は粉骨し真空パックにすることが多いようです。

 また、手元供養品の形態として、遺骨をオブジェなどにする「遺骨加工タイプ」、遺骨をカプセルなどに納めてペンダントや オブジェにする「遺骨納骨タイプ」があります。 

 

■ 粉骨・真空パック委託料  4~5万円程度  

 

 

2. ふるさとのお墓の墓じまいをし、遺骨を「樹木葬」、または「永代供養墓」に改葬する

 

(1) 樹木葬のお墓に改葬する

 

 樹木葬は、墓石を建てず、ご遺骨を土の中に埋葬し、樹木を墓標とする埋葬方法です。 

 樹木葬には、遺骨を個別に埋葬する「樹木墓地」合葬する「樹林墓地」があります。 

 樹木葬の公営墓地もあります。(抽選)

 

① 樹木墓地のお墓に改葬する

 

 樹木墓地のお墓は、一定期間、遺骨を「個別に埋葬」し、13回忌または33回忌を期限として他人の遺骨と一緒に合葬します。

 

■ 個人用10~50万円程度、家族用50~150万円程度。別途管理料が年5千円~1万円程度必要です。

 

② 樹林墓地のお墓に改葬する 

 

 最初から他人の遺骨と一緒に「合葬」します。合葬式墓の一形態です。 

 

■ 4万円程度から。遺骨の量によります。 

 

 

 (2) 永代供養墓(合葬墓)に改葬する

 

ア、 永代供養墓(えいたいくようぼ)は、承継を前提としないお墓で、寺院墓地では「永代供養墓」、公営墓地・民営墓地では「合葬墓」といわれるお墓です。 

 永代供養墓は無縁墓と異なり、事前に永代使用料を払えば、継承者がいなくなってもお寺が永代にわたって供養をしてくれます。

 

 永代供養墓は

・ 納骨された人の名を「共同の石板に刻字」するなどします。

・ 寺院墓地では「過去帳への記載」、「墓籍簿への記載」がなされます。

・ 寺院墓地では「お盆やお彼岸などに合同で供養」を行います。

 

イ、 永代供養墓には、個人や夫婦単位で使う「個人墓型」、10人程度で使う「集合墓型」、100人以上で使う「合葬墓型」があります。

 

ウ、 永代供養墓の納骨の方法は、はじめは「個人墓型」で骨壺のまま個別に祀り、弔い上げ(三十三回忌)後に骨壺から出して他人の遺骨と一緒に合祀する方法と、最初から他人の遺骨と一緒に一か所にまとめて合葬する形態があります。

 

エ、 永代供養墓の形式はほとんどが「納骨堂型」で、ロッカー式、棚式、仏壇式などがあります。 

 

オ、 納骨堂型永代供養墓は、「集合式墓」「合葬式墓」に分類できます。

 

① 集合式墓 

 個別のカロートが複数集まって一つの永代供養墓をなしているお墓です。13回忌または33回忌など一定の期間は骨壺のまま安置して個別に祀り、その後骨壺から出し他人の遺骨と一緒に合祀します。

 

■ 永代供養料・墓所使用料・納骨料・刻字料込みで、70~80万円程度から

 

② 合葬式墓 

 遺骨を小さな骨壺に入れるなどして、最初から他人同士も一緒に一か所にまとめ合葬する形態のお墓です。

 遺骨を小さな骨壺に入れて納骨するもの、袋に入れて納骨するもの、何にもいれないで直接土に納骨するものとがあります。

 骨壺等に入れて納骨するものでも33回忌など一定の期間が過ぎると取り出し直接土に納骨するのが大半です。

 遺灰を固めて仏像を作るもの、仏像の体内に遺骨をおさめるものなどもあります。

 

■ 永代供養料・墓所使用料・納骨料・刻字料込み、10~50万円程度

 

注意事 項 公営永代供養墓と大半の民営永代供養墓は、宗派は一切不問ですが、寺院墓地の永代供養墓は、寺院に帰依する、または檀家になることを求められるところがあります。

 

 

3. ふるさとのお墓を墓じまいをし、現在住んでいる近くに改葬する

 

 (1) 現在住んでいる所の近くにお墓を建立し改葬する

 

□ お墓の分類その1

 

ア、 屋外墓地 ①一般墓地、②芝生墓地、③壁墓地

イ、 屋内墓地 ①墓地ビル、②本堂の地下、③霊廟、④納骨堂

 

□ お墓の分類その2

 

ア、 公営墓地 住所があること、一定年数以上住んでいること、お墓の承継者がいること、遺骨があること等の条件があります。

 

イ、 民営墓地 石材店が決められている場合がほとんどです。

 

ウ、 寺院墓地 同じ宗教・宗派のところを探します。宗教・宗派が違う場合、改宗し、戒名(法名)を変えることを求められる場合がほとんどです。「入檀料」、管理料が必要です。

 

□ お墓の費用

 

① 墓地(永代使用料)

■ 100~200万円程度。別途、管理料が年2千円~1万円程度必要です。

※ 維持費等の負担をよく確認することが重要です。

 

②墓石

■ 和型3段墓(外柵工事込み)200万円程度。

■ オルガン型墓       150万円程度。

 

③ 開眼供養のお布施の費用 

■ 公営墓地・霊園墓地 2~5万円程度。 ※ 別途、墓地までの交通費として「お車代」 

■ 寺院墓地      2~15万円程度

 

③ ご遺骨の納骨費用 2万円~5万円程度。 ※ お墓を新規購入の場合、納骨費用も含まれている場合があります。 

 

(2) 現在住んでいる近くに既にある、配偶者が承継したお墓に、「両家墓」として合祀する場合

 

 お墓の使用者の範囲については、墓地使用規則で三親等以内の親族、同じ姓を名乗る者に限るなどの規定があるのが一般的です。ただし、これら以外の者でも墓地管理者の承諾があれば改葬合祀できる旨の規定があるのが一般的です。

 

■ 主な経費は今あるお墓の撤去に関する経費だけです。

 

※ 親戚等とトラブルにならないよう、よく話し合うことなどが必要です。 

※ 改葬「先」となる墓地が公営霊園の場合には、墓地の使用名義変更手続きや承継手続きが必要となる場合があります。 

※ お墓の永代使用権は、原則として祭祀承継者一人に継承されます。原則として第三者に譲渡または贈与することはできません。ただし、墓地管理者の承諾があれば譲渡できるところもあります。

 

 

4. 各方法に共通の費用

 

(1) 「閉眼供養」(へいがんくよう)のお布施

 

① 公営墓地・霊園墓地 2~5万円程度  ※ 別途、墓地までの交通費(お車代)1万円程度。僧侶が会食にでないときは、御膳料 1万円程度。

 

② 寺院墓地 10~15万円程度  ※ 別途、僧侶が会食にでないときは御膳料  1万円程度。

 

注意事 項 閉眼供養をしないとお墓の撤去をしてくれる石材店がなかなか見つかりません。

 

(2) 今のお墓が寺院境内型墓地の場合は「離檀料」が必要と言われる場合があります  

 

 離檀料は具体的な金額を提示される場合とお気持ちで結構です、と言われる場合があります。

 寺院と檀家の法的関係は、「檀徒加入契約」および「墓地使用契約」という契約関係にあります。離檀料は檀徒加入契約の解除料と推測されますが、法的根拠はありません。

 

■ 「離檀料」として、比較的多い金額としては、10~50万円程度

 

 (3) ご遺骨の取り出し費用

 

 ご遺骨は石材店に取り出してもらうのが一般的です。

 

■ ご遺骨の取り出し費用は2~3万円程度  ※ お墓の撤去費用に含まれる場合もあります。  

 

 

(4) 墓所解体整地の費用 

 

 お墓を撤去し墓地を更地に戻す費用は、墓地の広さ、墓石の量、作業の困難度により異なります。 

 寺院墓地、宗教法人経営の民営墓地の場合には、出入りの石材店が決められている場合があります。公営墓地は石材店は自由に決められます。

 

□ 石材店に依頼する費用の目安

 

■ 墓石と墓所の基礎撤去作業、墓石処理一式

・ 普通の置きさのお墓 22~32万円程度

・ 少し大きめのお墓  43~54万円程度

※ 機材が入れない場所は、1~2割増し

 

■ 土葬の場合は上記にプラスし、

・ 遺骨の掘り出し 1柱につき 3~6万円程度 2柱以上は1柱につき1/3を加算 

・ 遺骨の洗骨 1柱につき 2万円前後 


ポイント 一口豆知識

Q. 実家のお墓に入れる人は?

A. お墓については実態として家制度が残り、多くの霊園では、墓に埋葬されている人と苗字が同じ人とされています。したがって、結婚して苗字が変わった人は、実家のお墓に入れない場合があるようです。

 

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