行政書士の業務

 行政書士は、「権利義務に関する書類」、「官公署に提出する書類」、「事実証明に関する書類」の作成を代行すること(一部代理作成を含む)、作成した書類について代理人として申請手続きを行うこと、これらの業務に関する相談に応ずることを業としています。※代行は事実行為、代理は法律行為の事務です。


1. 「権利義務に関する書類」とは、権利の発生、存続、変更、消滅の効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする書類をいいます。

・行政書士は、権利義務に関する書類を代行人として作成すること(一部書類については代理人として作成することを含む)、相談に応ずること、ができます

 

ポイント 権利義務に関する書類(主なもの)

⓵ 遺言書

② 遺産分割協議書

③ 離婚協議書

④ 各種契約書(贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇傭、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解等)

⑤ 念書、示談書、告訴状、告発状、嘆願書、請願書、陳情書、上申書、始末書、定款、行政不服申立書等

⑥ 内容証明作成

 

※ 契約書の場合、通常の売買契約の「交渉」代理は争訟性のある法律事務ではないので、交渉代理して書類を作成することができます。

 

 

2. 「官公署に提出する書類(許認可申請等)」の作成を代行すること、代理人として申請手続きを行うこと、これらに関する相談に応ずること、ができます。

 

ポイント 官公署に提出する書類(許認可申請等)関係業務の主なもの

① 飲食店営業許可申請

② 風俗営業許可申請

③ 農地法関係許認可申請

④ 入管・帰化業務(外国人在留資格・永住許可・帰化許可申請)

⑤ 建設業許可申請、経営事項審査申請、入札参加資格申請、産業廃棄物処理業許可申請、宅建業免許申請、会社設立許可申請

⑥ 旅客自動車運送・貨物の貨物自動車運送の許可申請、車庫証明申請 

 

3. 「事実証明に関する書類」とは、私たちの実生活に交渉を有する事項を証明するに足りる文書をいいます。

・ 「事実証明に関する書類」(実地調査に基づく図面類を含む)の作成を代行すること(代理人として作成することを含む)、これらに関する相談に応ずることができます。

 

ポイント「事実証明に関する書類」(実地調査に基づく図面類を含む)の主なもの

① 会計帳簿、貸借対照表、損益計算書等の財務諸表

② 実地調査に基づく各種図面類(位置図、案内図、現況測量図等)

③ 法務局や金融機関に提出することを目的に作成される「相続関係説明図」は、「事実証明に関する書類」に該当することになります。※「相続関係説明図」の作成を受任事件として、これに必要な戸籍等の交付を請求することができます。

  

注意事 項 行政書士は、訴訟事件に関して、電子メールを含め、法律相談に応じることはできません。裁判所に提出する答弁書などの書類作成業務を行うことはできません。遺産相続において法的紛争段階にある事案に関するものは業務を行うことはできません。税務、登記申請業務に関するものは業務を行うことはできません。

  

             参考文献:日本行政書士連合会発行パンフレット「行政書士 頼れる街の法律家」等

行政書士法

第1条の2 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(省略)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)を作成することを業とする。

 

第1条の3 

 一 ・・・官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法第2条第三号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。・・・)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(省略)について代理すること。」

 

 三 ・・・契約その他に関する書類を代理人として作成すること。

 

弁護士法

第72条

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

□ 遺産分割協議書の内容に基づく預貯金の解約代理について(出典;日本行政 2018.7 №548 5-7頁)