□ 年金の分割請求手続きは、離婚成立後、年金事務所(共済組合員の場合は共済組合)に「年金分割の標準報酬改定請求」をする。
□ 合意分割(協議分割)、「離婚公正証書」又は「公証人の認証を受けた離婚協議書」があるときは夫婦の一方から請求することができる(夫婦双方で行く場合は、「離婚協議書(私署証書)」でも可) 。
□ 年金分割請求は離婚成立の日から2年以内に行なうことが必要。
厚生労働省は、夫婦が離婚した場合に厚生年金の分割を請求できる期限を、現在の2年から5年に延ばす案をまとめた。11月5日に開かれる社会保障審議会(厚生労働省の諮問機関)の年金部会に見直し案を提示する予定で、来年の通常国会への関連法案提出を目指す。 (2024.10.31読売新聞総合2頁)
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 年金分割のための情報通知書
離婚することに決めたら、まず、年金事務所(現住所管轄以外でも可、共済組合員の場合は共済組合)に行き、「年金分割のための情報通知書」を請求します。
その際は、自分の基礎年金番号が分かるもの(国民年金手帳、厚生年金手帳又は基礎年金番号通知書)と戸籍謄本(婚姻年月日の記載があるもの、事実婚の場合は住民票)が必要です。
50歳以上の場合は、年金分割のための情報通知書と合わせて「年金分割を行った場合の年金見込み額」及び「年金分割をしない場合の年金見込み額」の情報提供を受けることができます。
「年金分割のための情報通知書」の請求は夫婦の一方から行うことができます(離婚前は情報を請求した側にのみ提供し、他方へは知らせないことになっています) 。
郵送してもらうことも可能です。その場合、自宅以外に送付してもらうこともできます。
2. 合意分割(協議分割)の請求手続
合意分割(協議分割)の、年金分割請求の手続きは、離婚届提出受理後、請求者の現住所を管轄する年金事務所(共済組合員の場合は共済組合)に行き、「年金分割の標準報酬改定請求」を行います。
(合意分割請求の提出書類、持参する物)
①「標準報酬改定請求書」:用紙は、年金事務所(共済組合員の場合は共済組合)にあります。
② 双方の基礎年金番号が分かるもの:国民年金手帳、年金手帳、基礎年金番号通知書
③ 戸籍謄本(婚姻年月日と離婚年月日の記載があるもの)
※ 分割請求をする日から1か月以内に発行されたもの。事実婚の場合は住民票となります。
④ 年金分割の「合意書」 合意書の書式は年金事務所にあります。
⑤ 離婚協議書(私署証書)・・・夫婦2人で一緒に行く必要があります。
離婚協議書(公正証書)の謄本(抄録謄本でも可)又は公証人の認証を受けた離婚協議書(私署証書)・・・夫婦2人で一緒に行く必要はなく、どちらか一方で手続きすることが可能です(郵送でも提出できます)。
⑥ 印鑑(認印可)
⑦ 身分証明書:運転免許証、パスポートなど
3. 年金分割請求の時効
年金分割請求の時効は離婚成立後2年です。離婚成立の日から2年以内に、年金事務所(共済組合員の場合は共済組合)に「標準報酬改定請求書」を提出しなけれななりません。 2年を経過すると請求できません。
ただし、2年を経過する前に、家庭裁判所に調停の申し立てをすれば、離婚成立後2年を経過しても、審判が確定した日又は調停が成立した日の翌日から1か月以内であれば、請求できます(請求手続は、当事者のいずれか一方が、年金事務所(共済組合員の場合は共済組合)の窓口に行って行います)。
万一、離婚後相手方が死亡した場合は、死亡日から1か月以内に請求する必要があります。