遺贈対象物(客体)の特定の仕方

 遺言執行を見据えて、対象物(客体)の「特定」に万全を期す必要があります。 客観的に特定可能で、解釈上疑義が生じないよう、遺言の対象物を特定できる記載が必要です。

 

 不動産、預貯金等遺言の対象物(客体)は、遺言の効力が発生したら直ちに権利移転の効力が生じ得る程度に特定されていなければなりません。

  

 「遺言者所有のすべての不動産」というように、一括して表示しても特定できます。 

 

 全財産を相続させる遺言や包括遺贈の遺言の場合は、不動産、預貯金等について特定する記載は必要はありません。

 

 ただし、相続人にその存在を明らかにしておきたいときは、不動産、預貯金等について特定する記載をします。これによって、遺言執行を円滑に進めることが期待できます。 


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埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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 1. 遺贈の対象物(客体)

 

 遺贈の対象物(客体)となり得るのは、遺言者の相続財産に属する積極財産のみであり、債務を遺贈の目的物とすることはできません。

 なお、相続債務は、相続分に応じて各相続人が負担します。

 

 ただし、相続人等に対する債権は、遺言者の積極財産であることから、遺言で債務を免除することは可能です。  

 

2 土地や建物等の不動産

 

 土地や建物等の不動産は、特定できる程度(土地の場合は地番、建物の場合は家屋番号)に記載すれば、遺言の効力上は問題ありませんが、登記申請に必要となりますので、登記簿全部事項証明書(登記簿謄本)の通りに記載することをおすすめします。( 固定資産評価証明書の表記を転記しないこと) 

 

3. 預貯金

 

 預貯金は遺言で「特定」しておかないと、相続開始後、金融機関に開示を請求する場合、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本と相続人全員の同意書(印鑑証明)が必要となります。 (※)

 

 預貯金の特定は「金融機関名・支店名」「口座の種類」「口座番号(証書番号)」「口座名義人」を書き特定します。

 「残高」は利息・利子などによって変動の可能性があるので書かないこともあります。

 

 預貯金を1人に相続させ又は遺贈する場合も、存在を明らかにするとともに、預金相続手続きがしやすいよう、「預貯金のすべて」と書かないで、金融機関名と支店名を記載し、「〇〇銀行〇〇支店の遺言者名義の定期預金全額」等と記載することをおすすめします。

 

※ 相続開始後、預金の開示を請求するには、被相続人(亡くなられた方)が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本と、相続人全員の同意書(印鑑証明)が必要です。

 

4. 株券等

 

 株式、公社債については、銘柄、証券番号、株数等を記載し特定します。

 株券等を1人に相続させ又は遺贈する場合でも、存在を明らかにしておくため、「株券等のすべて」と書かないで、「株式会社〇〇の株式〇〇株」等と記載することもあります。

 

(記載例)

ⅰ)上場の株式 

  口座開設者 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇〇番〇〇号

 加入者   〇〇〇〇

 口座番号  〇〇証券株式会社〇〇支店〇〇

 銘柄    〇〇株式会社普通株式

 コード番号 〇〇〇〇〇

 数量    1000株

 

ⅱ)非上場の株式

 会社名   〇〇株式会社

 券種    普通株式〇〇株

 記号    〇〇

 番号    〇〇

 

※ 株券が発行されていない場合は株式の種類、数量を記載して特定します。

 

5. 自動車

 

 車体番号または登録番号を書き特定します。

 

 

(ご参考)

 

1. 相続させる相手の特定

 

 相続させる相手については、氏名、遺言者との続柄、生年月日を記載します。(相続人については、遺言者との続柄を記載し、住所は書かないのが一般的です)

 

2. 遺贈する相手、第三者の特定

 

 遺贈する相手については、氏名、生年月日、住所を記載します。住所は遺言の執行にあたっても有用な情報となります。

 

 権利を遺贈する場合、その債務者については、氏名、住所を記載します。

 

3. 遺言者本人の特定

 

 遺言書の場合、生年月日は、一般的に、相続人や受遺者等法律行為の相手方を特定するために付記しますが、遺言者本人には付けません。

 

 


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