地方自治体等公益団体については、は遺贈の受付は金銭のみとしているところがあります。
相続人がいる場合は、トラブルを防ぐため、遺留分への配慮をしましょう。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
関連情報
➤遺言で寄付をする(遺贈寄付)
1. 遺贈寄付とは
遺贈寄付とは、遺言で、地方自治体、学校、宗教団体、慈善施設その他の各種公益団体等に対し、公益ないし公共の目的のために財産を譲渡することです。
2. 遺贈寄付の流れ
STEP 1. 遺言の内容、遺贈先を決める。遺言執行者を決める
STEP 2. 遺言書を作る
STEP 3. 寄付者が亡くなったら、相続人等から遺言執行者に死亡の連絡をする
STEP 4. 遺言執行者が遺言執行と財産の引き渡しを行う。
3. 遺贈寄付をする際の注意
① 寄付先の特定
遺贈寄付をする場合、受遺者の表示にあたっては、受遺者が法人のときはあらかじめ登記事項証明書を参照するなどして、団体の正式「名称・商号」、「主たる事務所(又は本店)の所在地」、法人格の有無、代表者等を調査し、寄付先の特定に欠けることのないように注意します。
設立中の法人については、受遺者の表示に「目的」を記載するなど、受遺者の特定に配慮した記載をする必要があります。
② 使途の指定
寄付者の意志を生かすために、使途を具体的に指定しておくことが望まれます。
③ 遺贈寄付に伴う税金
通常は、遺贈寄付を受けた者が個人であれば相続税が、法人であれば法人税が課税されます。
ただし、国・地方公共団体、公益法人、認定NPO法人などは相続税・法人税とも課税されません。
4. 土地や株式など現物財産を寄付する場合の注意点
① 土地や株式など現物財産を寄付した場合、その寄付が公益の増進に著しく寄与するものであるなど一定の条件を満たさないときは時価で売却したとみなされ、寄付者(被相続人)に譲渡所得税が課されます。この場合、納税しなければならないのは受遺者ではなく、相続人です。
② 地方自治体等公益団体については、遺贈の受付は金銭のみとしているところがあります。不動産を含む全部遺贈については、換価処分や維持管理費の問題があることから、現物財産寄付の受領を拒否するケースがあります。事前に寄付先に確認することが必要です(なお、現物財産寄付の受領を拒否の場合は、遺言執行者が不動産を売却し金銭で寄付をすることになります) 。
③ 権利能力なき社団名義での不動産登記はできません。
5. 相続人があるとき
相続人がいる場合は、トラブルを防ぐため、遺留分への配慮をしましょう。
「相続人は きょうだい のみ」のケースで、不動産を公益団体等に遺贈寄付する、又は、不動産を公益ないし公共の目的のために遺贈寄付する場合は注意が必要です。
仮に、きょうだい に借金がある場合は、その債権者が不動産を差押え又は仮差押えを行い、債権回収を図る恐れがあります。
遺言代用信託(遺言の代用としてする信託契約)を行い、受託者のもとで売却させて遺贈寄付先を受益者として金銭を給付することで解決できる可能性があります。
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