1. 方式違背はないか。
2. 法的な問題点はないか。
3. 表現は適切か(意図しない意味に解釈される恐れはないか、矛盾・抵触はないか)
4. 遺言条項間での矛盾・抵触はないか。
5. 将来、遺族の間に争いが起きないか。
6. 状況変化を想定した遺言になっているか。
7. 遺言の執行が容易になるよう配慮されているか。
8. 不動産の名義変更(登記)等に使えるよう適切に記述されているか。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 方式違背はないか
(1) 自筆証書遺言の場合の方式違背
① 全文を自書
自筆証書遺言は、遺言する本人の自書でなければなりません。
② 日付を自書
作成日付は西暦または元号で、年月日を全て省略することなく自書で正確に記入する。
③ 自書で署名、押印
押印は実印をおすすめします。(相続開始後、遺言状の真偽を巡りトラブルになることを避けるため)
④ 加除、変更は定められた方式による
(2) 遺言能力
① 認知症などで判断能力がなくなった者のした遺言は無効です
成年被後見人は、本心に復しているときは、2人以上の医師の立ち会いがあれば単独で遺言をすることができます。成年被後見人が、後見人又はその配偶者もしくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは無効です。
被保佐人、被補助人は単独で遺言ができます。
② 満15歳にならないもののした遺言は取り消しうるのではなく当然無効です。
(3) 遺言者の国籍による遺言の方式の制限があります
□ 詳しくは 《《 渉外遺言 をご覧ください。
2. 法的な問題点はないか
(1) 代理遺言は無効です
今は意識不明だが、意識があるときに言っていたとして、他の誰かが代理で遺言をすることは禁止されています。
(2) 共同遺言は無効です
共同遺言とは、2人以上が連名で遺言をすることです。例として、夫婦連名でする遺言があります。 遺言は、必ず一人ひとりでしなければなりません。
(3) 公序良俗に反する遺言は無効です
(4) 法定遺言事項か
遺言書に書いて強制力即ち法的拘束力があるものは限定されます。
(5) 遺留分の侵害はないか
遺留分とは、法律が保証している最低限の相続分です。相続人には遺留分相当の財産を相続させるのが原則です。
3. 表現は適切か
(1) 意図しない意味に解釈される恐れはないか
(2) 矛盾・抵触はないか、遺言条項間で矛盾・抵触はないか
(3) 過去に作成した遺言と矛盾・抵触はないか
(4) 対象物件は特定されているか
物件、預貯金については、客観的に特定できるように記載する必要があります。曖昧な表現がないか推敲し、解釈上疑義が生じないようにします。
4. 将来、遺族の間に争いが起きないか
(1) 各相続人の生活状況に配慮がなされているか
(2) 子には平等に分けられているか、あえて不平等にした場合は付言事項等で配慮がなされているか
(3) 相続財産に漏れはないか、遺産分割協議が不要な遺言になっているか
(4) 相続税納税資金の確保に配慮がなされているか
5. 状況変化を想定した遺言になっているか
・ 時間の経過による遺産財産構成の変化を考慮する。
・ 「予備的遺言」の活用
6. 遺言の執行が容易になるよう配慮されているか
不動産の名義変更(登記)等に使えるよう適切に記述されているか。