□ 遺言は遺産等の状況の変化や心境の変化などにより、いつでも、自由に取り消したり変更することができます。
□ 遺言を取り消したいときや遺言の内容を変えたいときは、新しい遺言書を作成し、その中に「前の遺言の内容を取り消す」又は「前の遺言の内容を変更する」という趣旨の文言を入れることをおすすめします。
別に遺言書があることを書きたくない事情のある場合は、前の遺言が後の遺言にその趣旨において全面的に抵触すれば、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす、とされていますので、かかる趣旨の文言を入れなくても問題ありません。
□ 内容の異なる複数の遺言があると遺族間でもめる原因になります。古い遺言は処分しましょう。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 新たに遺言を書く
新たに書く遺言の方式は前の遺言の方式と同じでなくてもよいとされています。
2. 新たに遺言を書くときの注意
新たに遺言を書いた場合、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす、とされています。
しかしながら、事情によっては、書いたことを失念した遺言書があったり、抵触部分や変更事項の解釈をめぐり紛争になったりすることがあります。
したがって、新たな遺言には、「前の遺言の内容を取り消す」又は「前の遺言の内容を変更する」という趣旨の文言を入れ、前の遺言の効力を一旦すべて排除しておくことをおすすめします。 (前の遺言の効力を否定する表現があればよいとされています。 )
別に遺言書があることを書きたくない事情のある場合は、前の遺言が後の遺言にその趣旨において全面的に抵触すれば、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす、とされていますので、かかる趣旨の文言を入れなくても問題ありません。
なお、認知症等で遺言能力を失った場合は、もはや撤回の遺言はできません。ご注意ください。
3. 古い遺言は処分する
相続人間に紛議が起こることを避けるため、古い遺言は処分します。
(破棄の方法)
① 焼却、切断等物理的に破棄する。
② 全てを判読できないように抹消する。
※ 残っている部分があると、その部分は効力を有していると判断される恐れがあります。
※ 公正証書遺言は原本が公証役場に保管されているので、正本・謄本を 破棄するだけでは不十分です。公証役場に破棄を申し出る必要があります。