付言(ふげん)事項

□ 遺言書に書いて強制力即ち法的拘束力があるものは民法等の法律で限定されています。

□ 付言事項に法的な効力、拘束力はありませんが、積極的に活用し、遺言を書いた理由(わけ)や、自分が亡くなった後の希望などを述べ、誤解によるわだかまりを残さないようにし、かつ、残された遺族の心情に配慮しておくことは、円滑な相続という観点から重要なことと考えます。

 

□ オススメの付言事項は、遺言を書いた理由(わけ)、家族に対する感謝の言葉 、相続の割合を法定相続分と違えた場合はその理由、遺留分を侵害する場合はその理由、寄与分の希望がある場合はその理由です。

 

□ 公正証書遺言に、家族に伝える自筆のメッセージを、「付言事項」として、別紙で付けることができます。公正証書の一部になります。


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 付言事項とは

 

□ 付言事項とは、遺言書に書く、家族に伝える愛のメッセージです。法的な効力、拘束力はありません。付言事項の内容については、法律上、特に制限はありません。

 

□ 遺言中に「付言事項」を書いても、法的な効力、拘束力はありませんが、家族や関係者が付言事項を尊重することはむろん何ら問題ありません。

 むしろ、付言事項を積極的に活用し、遺言を書いた理由(わけ)や、自分が亡くなった後の希望などを述べ、誤解によるわだかまりを残さないようにし、かつ、残された遺族の心情に配慮しておくことが望ましいと考えます。

 

 

2. オススメの付言事項

 

① 遺言を書いた理由(わけ) 

 

② 家族に対する感謝の言葉 

 

③ 相続の割合を法定相続分と違えた理由

 

□ 何故相続の割合をこのようにしたのか、遺言者の意思が分かると、家族は受け入れやすくなります。遺言書をみて憤慨した人も理由が分かって冷静を取り戻し、わだかまりが残ることはなくなります。多く貰い気まずい思いをしていた人は気が楽になります。 

 

④ 遺産分割に当たって遺留分減殺請求をしないこと」と遺言書に書いた場合は、その理由

 

□ 遺留分さえももらえなかった相続人も理由が分かり、納得して遺言を受け入れてくれることが期待できます。

 

⑤ 相続人にたいする生前贈与、特別受益の存在 

 

□ 生前贈与、特別受益の有無を巡る相続人間の争いを未然に防ぐことができます。

 

⑥ 生前贈与、特別受益を加味しないことを望む場合(「特別受益の持ち戻しの免除」の遺言)は、その理由等

 

□ 付言事項にその特別受益をあげた意味を書き加えることで利害の反する相続人も納得し、円満な相続につながることが期待できます。 

 

⑦ 「子の認知」、相続人以外への「遺贈」

 

□ 付言事項に事情や理由を書き加えることで利害の反する相続人も納得し、円満な相続につながることが期待できます。

 

⑧ 「相続人の廃除」、「遺産分割の禁止」

 

□ 付言事項に理由を書き加えることで相続時の混乱を防ぐことがが期待できます。

 

⑨ 寄与分の希望がある場合その理由

 

□ 遺言に寄与分ないし寄与の事情を書いても、あくまで付言事項であり、法的拘束力はなく、相続人同士の協議における判断材料にとどまります。遺留分減殺請求権の行使を制限する法的効果は生じません。

 寄与分を確実にあげたいのであれば遺言書で「遺贈」するなどが必要です。

 

3. 書いてはいけない、あるいは書かないほうがよい付言事項

 

① 介護に関すること、尊厳死、臓器提供、葬儀についての希望、散骨やお墓に関すること

 

□ 介護に関すること、尊厳死に関すること、「臓器提供」に関することは、生前に知らせておかないと実現は困難等の理由から、基本的に遺言になじみません。

 どうしても遺言書に書いておきたい事情がある場合は、合わせて  》エンディングノート にも書くなどするとよいでしょう。

 

□  介護に関することについては「任意後見契約公正証書」、尊厳死については「尊厳死宣言公正証書」、臓器提供については「臓器提供に関する公正証書」の形で決めておくことができます。

 

※ 平成21年の臓器移植法改正により、本人の意思が不明の場合でも、遺族の承諾により臓器移植できることになりました。

 

□ 葬儀の方法や散骨、お墓に関する希望は、実行することを遺贈又は相続させる遺言の負担と位置づけることによって、相続人らを法的に拘束することが可能となる(出典:NPO法人 遺言・相続リーガルネットワーク( 2017)『改訂 遺言条項例300&ケース別文例集』日本加除出版.254頁) 

 

※ ただし、遺贈の場合、受遺者は遺贈を拒否し負担を実行しないことができます。

 確実に実行してもらいたい場合は、負担付死因贈与契約を結んでおくことが必要です。ほかに信託契約による方法があります。

 

② 遺言に条件が付されていると受けとられかねないような表現

 

□ 相続人の間に誤解や混乱を招く恐れがあります。 

 

③ 相続人に対する中傷、非難、人格攻撃

 

□ いたずらに相続問題を複雑にするだけです。相手は言い訳も反論もできません。このような方法はフェアでありません。仮に誤解によるものだったり、的外れなものだった場合、された方の心に無念の傷跡を残します。

 

④ 相続人から廃除すると受けとられかねないような表現

 

□ 誤解を招く恐れがありますので避けます。ちなみに、相続人廃除は遺言事項です。


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