遺 言 書
遺言者〇〇〇〇は、以下のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、別紙1の土地及び建物を、長男〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させ、当該建物に係る配偶者居住権を妻〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に遺贈する。
長男〇〇〇〇は、本条による相続の負担として、妻〇〇〇〇が死亡するまで当該建物を無償で居住使用させること。
第2条 その他前条記載の財産を除く私の有する一切の財産を、妻〇〇〇〇に相続させる。
第3条 私は、本遺言の遺言執行者として長男〇〇〇〇を指定する。
令和〇〇年〇〇月〇〇日
(遺言者住所)
遺言者 〇〇〇〇 印
別紙1
目 録
1. 土地
所在 〇〇市〇〇町〇〇丁目
地番 〇〇番〇〇
地目 宅地
地積 〇〇〇.〇〇平方メートル
2. 建物
所在 〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番地〇〇
家屋番号 〇〇番〇〇
種類 居宅
構造 木造瓦葺二階建
床面積 一階 〇〇.〇〇平方メートル
二階 〇〇.〇〇平方メートル
遺言者 〇〇〇〇 印
配偶者居住権の存続期間を限定する場合
第2条 遺言者は、別紙1の土地及び建物を、長男〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に相続させ、当該建物に係る配偶者居住権を妻〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に遺贈する。 ただし、配偶者居住権の存続期間を被相続人の死亡時から10年間とする。
長男〇〇〇〇は、本条による相続の負担として、配偶者居住権の存続期間中は当該建物を無償で居住使用させること。
ここが遺言(相続)のポイント
□ これまでは、配偶者は、家を相続すると預貯金などはあまり相続できませんでしたが、民法改正で新設された「配偶者居住権」で「相続」させることによって、配偶者居住権は所有権よりも評価額が低いことから、その分預貯金を多く相続させることができます。
□ 妻に自宅の「配偶者居住権」を遺贈することにより、子どもの遺留分を侵害する遺言内容であっても、法的に遺留分の問題を解決できる可能性があります。
□ 配偶者居住権は任意の期間を定めることもできます。
□ 配偶者居住権の評価額は妻の年齢が若いほど高くなり、所有権の評価額に近づきます。したがって、妻が若いほど配偶者居住権で取得させるメリットは少なくなります。
□ 配偶者居住権は売却することはできません。したがって、妻が若い場合は、売却して転居したり、老人ホーム等に入居したりできる所有権での相続が有利と言えます。
□ 遺産分割の余地を残さないよう、第2条のような条項を定める例もあります。
□ 配偶者居住権を遺言により設定する方法は「遺贈」(※)となります。
なお、遺言で「配偶者居住権を相続させる」としても相続の効力が生ずることはなく、遺贈の効力が生じます。
(※)特定財産承継遺言(相続させる遺言)だと、配偶者居住権の取得のみを拒絶することはできないため、相続放棄をしなければならず、かえって配偶者の利益を害することになってしまいます。これに対して「遺贈」であれば特定の財産の遺贈についてのみ放棄できる(民法986条)ので、配偶者居住権は遺贈に限るとしたものです(民法1028条1項2号)。
(引用:日本行政書士会連合会(2022)『 月刊日本行政№.594』日本行政書士会連合会.23頁)
本文例はあくまでも一例です。遺言者のご希望はもとより、推定相続人や遺贈したい人の状況、相続財産の状況などによって遺言文は違ってきます。
あなたのご遺族のあいだに相続争いが起きにくい、ご遺族が相続手続きをしやすい、あなたの思いを実現する最適な遺言書の作成をお手伝いいたします。