①相続人自身を受取人として指定している死亡保険金、②被相続人が受け取らずに死亡した入院給付金、③貸付金(貸金債権)を現物分割する遺産分割協議書条項例

1. 被相続人が自身を受取人として指定している、生命保険死亡保険金現物分割」

 

          相続人Aは、次の保険金請求権を取得する。

 

            〇〇生命保険 保険証券番号    〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 

 

     相続人Bは、次の保険金請求権を取得する。

 

        〇〇生命保険普通養老保険 保険証書記号番号

 

※ 2018相続法改正で、遺産の分割により法定相続分を超えて債権を承継した相続人が、当該債権に係る遺産の分割の内容を明らかにして、債務者に「承継の通知」をすることで、対抗要件を備えたことになるとされました。 

 

民法899条の2(共同相続における権利の承継の対抗要件)

1. 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

2. 前項の権利が債権である場合において、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。  

 

2. 被相続人が受け取らずに死亡した入院給付金現物分割」 

 

  相続人Cは、次の保険金請求権を取得する。 

 

  〇〇生命保険の入院給付金の全て

 

 入院給付金は被相続人が受け取らずに死亡した場合は相続財産になります。

 

3. 貸付金(貸金債権)現物分割」

 

  相続人Cは、次の貸金債権を取得する。 

 

  債務者 

  貸付契約日

  貸付金額

  利息

  残額

 

※ 取得するのは、貸付金そのものではなく、貸付金請求権です。

※ 貸金債権は法定相続分に従って当然に分割されますが、相続人全員の合意があれば遺産分割の対象にすることができます。

※ 取得者以外の相続人は、債務者に債権譲渡の通知をする必要があります。

※ 2018相続法改正で、遺産の分割により法定相続分を超えて債権を承継した相続人が、当該債権に係る遺産の分割の内容を明らかにして、債務者に「承継の通知」をすることで、対抗要件を備えたことになるとされました。 

 

民法899条の2(共同相続における権利の承継の対抗要件)

1. 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

2. 前項の権利が債権である場合において、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。 

 

(参考)

 遺産分割の方法には、

①相続人一人ひとりに、財産の形状や性質を変更することなく現物で分ける「現物分割」、

②相続財産を未分割のまま競売し現金化して分ける「換価分割」、

③不動産の場合にみられますが、相続人の一人が取得し他の相続人には不足分を代償金として金銭で支払う「代償金分割」、

④同じく、不動産の場合にみられますが、相続人の共有にして持分で分ける「共有分割」があります。