特別受益~生前贈与があると相続分が減らされる~

□ 具体的に何が特別受益にはあたるのか

① 結婚や養子縁組のために出してもらった持参金・支度金、嫁入り道具、新居、高額の結納、高額の新婚旅行費等(結婚式・披露宴の費用は除く) 

② 生計の資本としてなされた贈与( 単に生活の援助を受けた場合は除く)

(ⅰ) 独立開業資金 

(ⅱ) 住宅の新築資金や土地の贈与 

(ⅲ) 特定の子どもだけに対する留学費や多大な高等教育の学費(例:一人だけ医学部に進学した) 

(Ⅳ) 農業者における農地の贈与 

(ⅴ) 借金の肩代わり  

 

□ 特別受益かどうか、判断が難しいもの 

① 生命保険金(原則として特別受益にはあたりません) 

② 死亡退職金(会社の就業規則等で受取人の指定がある場合は、もらう人の固有財産になり、特別受益にはあたらない 

③ 遺族年金(受給権を持つ人の財産とみなされます。特別受益持ち戻しは認められません

 

□ 法定相続分を超過して生前贈与をもらっても返す必要はない

 

注意事 項 民法改正(30.7.13公布)により、現行では、死亡前にされた相続人への生前贈与(特別受益)については、遺留分算定の対象財産(みなし財産)の価額に原則として無制限に算入する(特別受益持戻)こととされていたが、死亡前10年間にされたものに限り、遺留分算定の対象財産(みなし財産)の価額に算入するようになった。(令和元年7月1日施行。改正法は令和元年7月1日以降に行った生前贈与、遺言による遺贈は遺言書作成日付が令和元年7月1日以降のものについて適用されます。)) 

民法903条(特別受益者の相続分)

1.共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

2.遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。

3.被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。

4.婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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ポイント 関連情報  

➤遺言で特別受益の持ち戻しを免除する

1. 特別受益とは

 

  特別受益とは、一部の相続人が受けた「生前贈与」や遺言による遺贈などの利益をいいます。 

 特別受益の持ち戻しとは、遺産分割にあたって、生前贈与をもらった相続人や遺言による遺贈をもらった相続人の取り分を減らすことをいいます。

 

 

2. 具体的に特別受益には何があたるのか

 

(1) 民法に定められているもの

 

① 結婚や養子縁組のためになされた贈与

 

 特別に出してもらった持参金・支度金、嫁入り道具、高額の結納、高額の新婚旅行費等(結婚式・披露宴の費用は除く)

 

② 生計の資本としてなされた贈与

 

(ⅰ) 独立開業資金を出してもらった等商売への資金援助 

(ⅱ) 住宅の新築資金や土地の贈与 

(ⅲ) 特定の子だけに対する留学費や多大な高等教育の学費(例:一人だけ医学部に進学した) 

(Ⅳ) 農業者における農地の贈与などの生前贈与 

(ⅴ) 借金の肩代わりをしてもらった 

 

※ 遺産の前渡しという意思が推測できるものに限られます。 

※ 小遣いや誕生祝い程度の贈与、単に生活の援助を受けた場合は除きます。

 

(2) 特別受益かどうか、判断が難しいもの

 

① 生命保険金

 

 原則として特別受益にはあたりません。 被相続人(契約者)が自分を被保険者とし受取人に相続人を指定していた場合は、保険金は受取人の固有財産とされ特別受益にはあたりません。 

 保険金の額、遺産総額に対する割合、同居の有無、介護等に対する貢献度、各相続人の生活実態等から他の相続人と著しく不公平とみられる場合は、例外的に特別受益に準じて持ち戻しが認められる場合があります。

 

② 死亡退職金

 

 死亡退職金は、会社の就業規則等で受取人の指定がある場合はもらう人の固有財産であり、特別受益にはあたらないとされています。

 相続人間で著しく不公平とみられるほどに高額の場合は、例外的に、特別受益に準じて持ち戻しが認められる場合があります。 

 

③ 遺族年金

 

 遺族年金は受給権を持つ人の財産とみなされます。特別受益持ち戻しは認められません

 

 

3. 遺産分割協議による特別受益の持ち戻し

 

 遺産分割協議で特別受益の持ち戻しを行い、生前贈与を受けた相続人の取り分を減らすことができます。 遺産分割を法定相続分を基準として行う(これが原則です)ことにより、高額な生前贈与や遺贈を受けた人の取り分を特別受益額の分だけ減らすことができます。

  相続人の受けた生前贈与は、特段の事情のないかぎり、相続開始1年前になされたものに限らず特別受益に該当します。ただし、生前贈与をどの範囲まで特別受益とするかは、遺産分割協議の中で、相続人全員の合意で決めることができます。

 特別受益の存在は、あると主張する相続人が立証しなければなりません。 

 特別受益の持ち戻しは、遺産分割協議が終わった後で申し出ることは、原則できません。

 

 注意事 項 民法改正(30.7.13公布)により、これまでは、夫婦間で行った居住用不動産の生前贈与や遺贈については、相続の時にこれも遺産に加えて相続分を計算する必要がありましたが、これからは、婚姻期間20年以上の夫婦相互間における居住用不動産の生前贈与や遺贈は、遺産分割の対象から除かれ、相続時に遺産として計算しなくてもよい(特別受益の持ち戻しをしない)ことになりました。(生前贈与は令和元年7月1日以降におこなわれたものについて適用されます。遺贈は遺言書の作成日付が令和元年7月1日以降のものについて適用されます。) 

 

 

4. 結局の相続分額(各相続人の分け前)の計算の仕方

 

□ 特別受益額を「みなし相続財産額」(遺産)に加え、相続人別の分け前を計算します。そのうえで、特別受益をもらった人の相続分額(分け前)をもらった特別受益額だけ減らします。 

 

□ 特別受益者の相続分=(相続開始時の財産価格+特別受益額(生前贈与の価格)ー寄与分価格)× 法定配分率(法定相続分)ー 各人の特別受益分+各人の寄与分価格

 

□ 特別受益の評価基準時は相続開始時です。土地などの価値が相続時に値上がりしているときは、贈与時の時価ではなく、相続時の時価で計算します。 

 

 現金も物価上昇率を勘案し現在の価値に引き直します。 

 

 

【手順1】 

■ 相続開始時の財産に、特別受益分を加算し「みなし相続財産」をだします。 

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【手順2】 

■ 「みなし相続財産」を基に法定配分率(法定相続分)で遺産配分額を計算します。 

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 【手順3】 

■ 特別受益者の相続分は、この配分額から特別受益分を控除したものとなります。 

 

 

3. その他

 

 法定相続分を超過して生前贈与をもらっても、相続分額がゼロとなるだけで、もらい過ぎ分を返す必要はありません。 

 ただし、遺留分の侵害に当たる場合は、特別受益は遺留分減殺請求の対象となります。