□ 離婚で直面する大きな問題として、住むところ、お金、子どものこと、世間体、精神面があります。 想像力を働かせ、離婚したらどうなるか、考えてみることが大切です。
□ 離婚にはチャンスとタイミングがあります。決断したら、先ず、住むところとお金の対策を立てましょう。アパートを借りて住むのなら、敷金・礼金のほか、半年くらいの生活費が必要です。
□ 離婚の話し合いの前に、夫婦の共有財産を調べておく必要があります。
□ 相手に離婚原因があるときは、その証拠を確保しておきましょう。裁判になった場合、これらの証拠が役立ちます。
□ 離婚の話し合いは、財産分与の対象や按分率・分与額、一括払いにするか分割にするか、支払い期限や支払い方法、慰謝料の金額・支払い方法などについて行います。
□ 同意を得ないまま別居すると、離婚裁判になったとき不利になることがあります。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
其の こどものこと
1. 「親権」について
未成年の子がいるときは、親権者を決めなければ離婚届は受理されません。
通常、小学生までは母親が親権者になることが多い、と言われています。なお、10歳以上だったら子どもの意思も尊重します。
あとでもめないよう、親権者、監護権者それぞれについて決め、離婚協議書に残しておくことをおすすめします。
どうしても決まらないときは家庭裁判所に申し立をして決定してもらいます。
□ 詳しくは 》親権者 をご覧ください。
2. 離婚後の「子どもの氏・戸籍」
離婚により父母の姓が変わっても、それだけでは子どもの姓や戸籍は変わりません。
離婚後の子どもの戸籍と姓については夫婦で十分話し合って決めます。変更するときは家庭裁判所の許可が必要です。
□ 詳しくは 》離婚後の姓・子どもの姓 をご覧ください。
3. こどもの 「養育費」について
こどもが成人するまでに必要な養育にかかる費用は、こどもを引き取らなかった親にも支払う義務があります。
養育費はこどもがいくつになるまで支払うか、将来、進学や病気等で出費が増えたときはどうするか、毎月の額、支払日、支払い方法などを決めます。
話し合いで決められなかったときは、家庭裁判所の「養育費請求の調停」に行く方法もあります。
なお、2012年度から、離婚届に養育費の取り決めの有無についてチェック欄が設けられました。
□ 詳しくは 》養育費 をご覧ください。
4. 「面会・交流」~こどもを引き取らなかった親はどうやってこどもと会うか~
面会・交流権とは、こどもを引き取らなかった親がこどもと会ったり一時的に一緒に過ごしたりする権利のことです。
離婚協議書に、面会・交流の頻度、1回あたりの時間、交流の方法、宿泊の有無、こどもの受け渡しの方法、連絡方法を決めておくことができます。
面会・交流について決めておかないと離婚後問題になることが多いと言われています。
面会交流は一方的に拒否はできません。ただし、こどもを虐待する、あるいは連れ去る恐れがある、お金があるのに養育費を払わない、あるいは、こどもが会いたくないと言っているときは、面会・交流を認めないこともできるとされています。
□ 詳しくは 》面会交流権 をご覧ください。
5. こどもの転校先 を決める
其の 自分の姓
~自分の戸籍と姓は、夫婦で話し合って決めることではなく、ご自分で決めることです。以下のいずれかを選択することになります~
① 婚姻前の旧姓に戻り、親の戸籍に戻る
② 婚姻前の旧姓に戻り、新しく自分を筆頭者とした戸籍をつくる
③ 婚姻時の姓のままで、新しく自分を筆頭者とした戸籍をつくる
親権者になりこどもを自分の戸籍に入れる場合及び、両親が死亡している場合は、新しく自分を筆頭者とした戸籍をつくる必要があります。
□ 詳しくは 》離婚後の姓・子どもの姓 をご覧ください。
其の 財産について決めておくべきこと
などについて話し合います。
1. 財産分与について
財産分与とは、結婚中に築いたり蓄えたりした財産を、離婚するにあたり清算することです。
財産分与の対象、按分率・分与額、一括払いにするか分割にするか、支払い期限等支払い方法を決めます。
財産分与を請求できる期間は、離婚したときから2年です(除斥期間)。
財産分与は法律で認められた権利で、原則として、どちらに離婚の原因があっても公平に分与されます。
□ 詳しくは 》財産分与 をご覧ください。
2. 慰謝料について
慰謝料は、不倫をするなど離婚の原因を作った側が、精神的な苦痛を受けた側に支払う損害賠償です。
慰謝料の額、支払期日、支払い方法(分割か、一括か等)を決めます。
請求できる期間は、離婚したときから3年です(時効期間)。
なお、離婚するときに「請求は一切しない」と約束した場合は、この期間内であっても請求できません。
□ 詳しくは 》慰謝料 をご覧ください。
3. 年金分割について
夫婦で話し合い、年金分割について分割割合を定めた離婚協議書を作成します。
話し合いで決められなかったときは、家庭裁判所の調停で分割割合を決めることができます。
□ 詳しくは 》年金分割 をご覧ください。
4. 生命保険をどうするか
生命保険について、契約者、受取人をどうするかを決めます。
5. 自宅にはどちらが住むか
家にはどちらが住むか、住宅ローンが残っているときはどちらが支払いをするか等を決めます。
財産分与として住んでいる家を譲り受ける場合は、名義変更登記を必ず行う必要があります(そうしないと、後日、知らない間に売られてしまう恐れがある)。
登記費用をどちらが負担するかも取り決めておく必要があります。
□ 詳しくは 》財産分与 をご覧ください。
其の その他決めておくべきこと
1. 子の健康保険
親権の有無は直接関係はなく、離婚後に属する世帯や扶養の実態に従って決まります。
2. ペットがいる場合は、どちらが引取るか決めておく必要があります。
3. 夫婦間で連帯保証人となっている借金があるとき
連帯保証人となっている借金については、離婚を理由として支払いを拒むことはできません。「保証人」も同じです。
一口コラム
関係がうまくいかないとき、その原因を相手にさがすだけならば、事態は余計にこじれていくだけです。関係の改善を望むのであれば、先ず、自分を変えるしかありません。
他人(ひと)を変えることはできないが自分を変えることはできる。