□ 婚姻費用(婚費)とは家族が共同生活をするために必要な生計費です。衣食住の費用、医療費、教育費、家族の社会的地位に応じた交際費・娯楽費、子どもの養育費等が含まれます。
□ 婚姻費用を負担する義務は別居しているからといってなくなるものではありません。ただし、一方的に別居を始めた場合は婚姻費用の請求は難しくなります。別居をする前に別居の同意を得ておくことが重要です。
□ 夫婦には収入に応じ婚姻費用を分担する義務があります。婚姻費用の金額は話し合いによって決めます(裁判所が目安を早見表で示しています。)
1. 婚姻費用(婚費)とは
婚姻費用(婚費)とは、結婚により家族が共同生活をするために必要な生計費のことです。具体的には、衣食住の費用、医療費、教育費、家族の社会的地位に応じた交際費・娯楽費、子どもの養育費等が婚姻費用に含まれます。
夫婦には収入に応じ婚姻費用を分担する義務があります。
2. 別居と婚姻費用
離婚は別居することから始まることが多いかと思いますが、婚姻費用(生活費)を負担する義務は別居中でもあります。
3. 婚姻費用の請求
婚姻費用の支払い義務が発生するのは請求した時点からです。 過去の婚姻費用を請求することはできません。
4. 請求したのに支払ってもらえない、あるいは、金額が減った、支払ってくれなくなったとき
婚姻費用を請求したのに支払ってもらえないままずるずると離婚に至った場合は、婚姻費用を「財産分与」の一部として請求できます。
婚姻費用の支払い金額が減ったり、支払ってくれなくなったりしたら、家庭裁判所に婚姻費用分担請求の「調停」を申し立てます。
5. 婚姻費用の金額
婚姻費用の金額は話し合いによって決めます。
婚姻費用の目安を裁判所が早見表で示しています。
□ 詳しくは裁判所ホームページ・養育費婚姻費用算定表(令和元年度版) 》 裁判所・婚姻費用 をご覧ください。
6. 婚姻費用を請求できる場合
一方的に別居を始めた場合は婚姻費用の請求は難しくなります。別居をする前に別居の同意を得ておくことが重要です。
不倫し自分から家を出た場合は、婚姻費用の請求は権利の濫用として認められないか、認められたとしても大幅に減額されます。
ただし、子どもの養育費の請求はできます。
専業主婦で経済的に夫に依存していた場合は、別居期間中も婚姻費用(生活費)を請求することができます。
婚姻費用はお互いの収入に応じて分担することとされているので、生活するにあたり充分な収入がある場合は請求できません。