2018民法改正により、遺言執行者は、改正後に作成された遺言については、遺言による代理人選任の禁止がなければ、代理人選任を許可する遺言や、やむを得ない事由がなくても、自己の責任において第三者にその任務を行わせることができるようになった。
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行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
関連情報
➤遺言執行者の復任の許可
1. 遺言執行者の復任の許可とは
遺言執行者の復任の許可とは、遺言執行者が第三者に遺言執行者の任務を行わせることを遺言者が許可することをいいます。
2. 遺言執行者は当然に第三者に遺言執行者の任務を行わせることができるようになった
2018民法改正前は、やむを得ない事由がある場合か、遺言者が「代理人選任を許可する遺言」で復委任を許可した場合以外は、遺言執行者は、第三者にその任務を行わせることはできませんでした。
しかし、 当該の民法改正により、遺言執行者は、遺言による復任の禁止がなければ、代理人選任を許可する遺言や、やむを得ない事由がなくても、自己の責任において第三者にその任務を行わせることができることとなりました。
また、遺言執行者が第三者に遺言執行者の任務を行わせるにあたっては、相続人等の同意は不要とされています。
3. 代理人を選任することができる旨の遺言を定める意義
民法上、遺言執行者は当然に第三者に遺言執行者の任務を行わせることができるようになりましたが、遺言執行者が専門家以外の場合は、そのことを教示するために代理人選任を許可する遺言を定める意義はあります。
4. 遺言執行者が、やむを得ない事由があり第三者にその任務を行わせた場合の相続人に対する責任
遺言執行者が、やむを得ない事由があり第三者にその任務を行わせた場合は、第三者の選任及び監督についてのみ、相続人に対し責任を負うとされました。(民法 新1016条2項)
5. 遺言による、遺言執行者の職務権限の限定
改正の前後をとおして、遺言者は、遺言執行者の職務権限を限定できる、と解されています。
6. 遺言執行者の復任の許可に関する改正が適用される遺言
2019年(令和元年)7月1日施行。2019年(令和元年)7月1日以降に開始した相続について適用されます。遺言による復任の許可は遺言書作成日付が2019年(令和元年)7月1日以降のものについて適用されます。
7. 遺言執行者の復任の許可に関する民法新旧対照
民法 旧1016条
1 遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2 遺言執行者が前項ただし書の規定により第三者にその任務を行わせる場合には、相続人に対して、105条に規定する責任を負う。
↓
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
民法105条(復代理人を選任した代理人の責任)
1. 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
2. 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。
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