□「公正証書遺言」偽造、変造のおそれや、誰かに強迫されたり詐欺によって作られたのではないか、といった疑いが生じるおそれがない。一方、公証役場手数料等それなりの費用がかかるほか、証人二人が必要。
□「自筆証書遺言」公証役場手数料、証人がいらない。
□「秘密証書遺言」代書してもらうことができる。証人二人が必要。
※ 公正証書遺言を作ろうと思うが、費用もけっこうかかるようだし、中々手がつかない・・・。そんな方は、自筆証書遺言を書いてみませんか。 法務局保管制度を利用すれば、費用もたいして掛からず、偽造、変造のおそれもありません。
出所:法務省民事局・自筆証書遺言書保管制度のご案内(2頁)
長所、短所比較表
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自筆証書遺言 |
公正証書遺言 |
秘密証書遺言 |
長 所 |
□ 遺言を書いたことを誰にも知られることなく作成できる。 □ 遺言者が「自書」をしていることから本人の真意が推認されやすいとされる。
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□ 保管は、原本は公証役場なので(※)、紛失、偽造、変造されることはない。(紛失しても謄本を再発行してもらえる) ※法改正により、電磁的記録による作成・保管となった。(改正「公証人法」36条1号) |
□ 内容を生前には誰にも知られることなく作成できる。 □ 存在を明確すれば未発見のリスクを回避できる。 □ 偽造、変造の恐れはない。 |
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□ 遺言者が遺言能力を有しているか、認知症ではないかなどについて確認している。
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□ 公証役場手数料は11,000円程度。 |
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□ 新たに作り直すことが簡単。
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□ 死後、家裁での検認が不要。 |
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□ 遺言検索システムが使える。 |
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短 所 |
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(3万円から10万円程度が多い) |
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ケース・事情別のオススメ!
自筆証書遺言 |
公正証書遺言 (又は専門家の指導を受け法務局保管自筆遺言) |
秘密証書遺言 |
□ 急いで遺言書を作りたい。
□ 費用はなるべくかけたくない。
□ 遺言の内容が簡単。 |
□ 財産が多い □ 相続人が多い又は相続人同士の仲が悪い □ 法定相続分よりも損をする人がいる遺言 □ 第三者への「遺贈」や寄付がある遺言 □ 遺言で認知する □ 遺言で相続人の廃除をする(又は廃除の取り消し) □ 紛失、偽造、変造、隠匿の恐れのない遺言を作りたい |
□ 遺言書の代筆をたのみたい
□ 誰にも内容を知られないように作りたい |
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 遺言の方式の種類
普通方式の遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
2. 自筆証書遺言
自筆証書遺言は、全文、日付および氏名を遺言者自身で書き、押印します。代筆、ワープロ、点字機を用いたもの及びテープレコーダー等に吹き込まれたものは無効です。
※ ただし、2019(平成31年)1月13日 から、本文を自筆で書けば、財産目録はパソコンで作っても、不動産の登記事項証明書等のコピーの添付でもよいこととなりました。
「作成年月日」は省略することなく全てを書く必要があります。「令和2年1月吉日」のような、日にちが特定できない筆記は無効とされています。
押印は、実印でなくてもよく、認印でも有効とされ、また、拇印でもよいとされていますが、証拠能力の点から実印の使用をおすすめします。
自筆証書遺言保管制度を利用すれば、遺言者の死後、相続人は検索ができます。(遺言書保管事実証明書、遺言書情報証明書)
2. 公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人に遺言の趣旨を話し、公証人がこれに基づいて作成する遺言書です。
公証人が、予め原案を作成し、遺言者および証人(立会人)に読み聞かせ、又は閲覧させて、遺言者と証人が筆記の正確なことを確認した後、遺言者と証人が署名及び押印します。また、公証人が方式に従って作成された旨を遺言書に付記して署名及び押印します。
公正証書遺言は文字が書けない人でも作成できます。また、口がきけない人は通訳に話してもらうか、又は筆談にて行うことができます。
公証人が読み聞かせることに代え、通訳人の通訳で伝えても、直接閲覧させてもよいことになっています。
遺言書は公証役場に20年間保管されますので、紛失、隠匿、改変の恐れがありません。 また、遺言検索システムに登録するので、遺言者の死後、相続人は検索要求できます。
3. 秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言者が、自身で書いた遺言書(または代筆の遺言書)に署名押印、封印します。公証人および証人(立会人)の前に提出し、「自分の遺言書である旨(他人の代筆によるときは書いてもらった人の氏名・住所)」を述べます。
次に、公証人が封書に証書を提出した日付および遺言者の申述を記載します。最後に遺言者・証人・ 公証人が、封紙に署名押印します。 「署名」は自筆に限ります。
遺言書の印と封印に用いた印が違っていれば無効です。(ただし、遺言書全文が自書され日付が記載されている等自筆証書としての形を整えている場合には、自筆証書として有効とされる場合がある)
自筆証書遺言の方式緩和
これまでは、自筆証書遺言は全てを自分で書かなければなりませんでしたが、民法改正により、本文を自筆で書けば、財産目録はパソコンで作っても、不動産の登記事項証明書のコピーの添付でも可となりました(ただし、財産目録の全ページに署名押印が必要)。(施行2019(平成31年)1月13日 ※施行日以降に作成された遺言について適用されます。相続開始が施行日以降であっても、施行日前に作成された遺言には適用されません)
法務局に自筆証書遺言を保管する制度の創設
これまでは、自筆証書遺言は紛失するなどの恐れがありましたが、法務局で保管してもらうことで、紛失や改ざんの恐れがなくなります。また、この制度を使った場合、遺言書の「検認」は必要なくなります。なお、法務局のチェックは自署・押印・署名など形式面、外観のチェックのみです。(施行は令和2年7月10日)
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