遺言による債務の承継


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埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 遺言による債務の継承(債務の相続)

 

① 包括遺贈の場合、債務は遺贈を受けた割合に応じて承継します。各共同相続人は遺産の分配、遺贈、贈与を含めた現実に取得したプラスの相続分(*)に応じて債務を負担します。

 

* 特別受益、寄与分は無関係として除きます(多数説)

 

② 債務を特定の相続人に相続させる旨の遺言をしても、債権者の承諾がない限り債権者に対しては効力がありません。

 

③ 遺言でプラスの財産と別に債務だけを承継させることはできません。

 

④ 特定遺贈の場合は債務を承継しません。しかし、遺言に債務の承継を負担として規定することができます。

 なお、債務の承継を負担として規定しても、債権者の承諾がない限り、債権者に対しては効力がありません。 

 

2. 相続財産で支払うこととされている承継債務 

 

(1) 借金、月賦、未払いの税金・家賃・医療費、相続不動産に関する諸経費(ローンの返済金・固定資産税・借地料・家屋修繕費・火災保険掛金)

 

* 遺産の管理費用については相続財産の負担とされ、相続財産で支払います。

民法885条(相続財産に関する費用)

相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない。

 

(2) 遺言執行費用遺言執行者報酬は相続財産の負担とされ、相続財産で支払います。

 

民法1021条(遺言の執行に関する費用の負担)

遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。

 

(3) 登記手続き費用・不動産の登録免許税

 

⓵ 登記手続き費用については、相続させる遺言の場合は登記手続きは相続人単独で可能であり、遺言執行の余地がないので、登記手続き費用は遺言執行費用には含まれず、当該不動産を相続する者の負担となる。※1.

② 遺贈の場合は、登記手続きは遺贈義務者との共同申請によらなければならないから、登記手続き費用は遺言執行費用に含まれる。遺言執行費用は相続財産の負担とされ、相続財産で支払う。

③ 不動産の登録免許税は消極に解するのが相当と考えられる。  

(出典;日本公証人連合会(2017)『 新版 証書の作成と文例 遺言編[改訂版]』立花書房.73頁)

 

※1. 2018民法改正により、遺言執行者の権限の明確化等がなされ、遺言執行者を「相続人の代理とみなす」規定が削除され、遺言執行者は遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するとされました。遺産分割方法の指定がされた場合の対抗要件を備える行為も遺言執行者ができるとされ、相続させる旨の遺言がなされた場合は、遺言執行者は原則として単独で相続による権利の移転登記の申請をする権限を有します。 

 

3. その他で支払い、又は継承することとされている債務

 

(1) 葬儀・埋葬等の費用については、相続債務とは言えず、通常、祭祀主宰者が負担すべきものとされる。

 

(出典;日本公証人連合会(2017)『 新版 証書の作成と文例 遺言編[改訂版]』立花書房.72頁)

 

(2) 被相続人がアパート経営をしていた場合の「敷金返還債務」については当該不動産の所有権を相続し賃貸人の地位を継承した者(最判昭和44.7)。

 

(3) 連帯保証人になっていたときはその地位も引き継ぎ、連帯債務は相続分に応じて分割されたものを承継し、その範囲において連帯債務者となります。(最判S34.6.19)  

 

(4) 賃貸借契約の保証人については保証は相続し保証責任を負います。なお、書面によらない保証は無効です。

 

(5) 一回限りの普通の保証もその地位を引き継ぎます。

 

※ 保証の期間や限度額が定められていないものは相続は認められません。包括根保証(継続的な金融取引や売買取引に関する保証契約)は保証人の死後、保証は相続しません。ただし、相続時に既に発生していた債務の保証は相続します。

 

(6) 身元保証については、相続は認められないとするのが一般的です。

 保証人の死後に発生する債務については身元保証責任を負うことはありません。ただし、生前に発生していた保証債務は承継します。

 

 》債権法(民法債権編)改正(2017.6.2公布、2020年4月1日施行)をご参照ください


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