行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 親に「遺言書を書いて」と言ってはいけない
朝日新聞の読者投稿欄に、次のような記事が載っていました。
つい最近、子どもが生まれた息子は急に「この家、オカアがしんだらどうすんの?」「売ったらいくらになんの?」と欲丸出しで迫ってきた。驚きと怒りがこみ上げた私は「さんざん親に金使わせたアンタに誰が財産渡すか!」と追い出した。ガックリした私は、すぐ娘に「財産全部譲るよ。遺言書、書くわ」と連絡し、・・・
いきなり、親に相続や遺言の話しはいけません。特に、遺言に関する話しは、無意識に拒絶反応が起こります。素直に「はい」は出てきません。
お盆やお彼岸、身近な人が亡くなったときや知人の葬儀があったとき、テレビで有名人の葬儀のニュースが流れたときなどに、「体を大事にしてね」と先ずは、いたわりながら、他人事として、自然な感じで、繰り返し話題にするのがコツです。 その場合も、 「『遺言書』を書いて」ではなく、「『公正証書』を作ってね」と言いましょう。
2. 今どきの相続事情
昨今、遺産が多かろうが少なかろうが、大なり小なりもめごとは必ず起こる、と言われます。
その背景には、長い間、実態として続いてきた「家督相続制度」に基づく考え方が薄れてきたことがあります。
親の財産は長男が引き継ぐもの、という意識が薄れ、「もらえるものはもらいたい」と、法定相続分での相続を主張する時代になったからです。
3. 争族は家族をバラバラにします
相続で争ってしまうと、もう元の関係には戻れません。
家族がもめることなく仲良く暮らしてほしい、という願いを叶えるためには、遺言が必要です。
被相続人の意思が伝われば、家族は尊重し、相続は円満に進むものです。
遺言の無い遺産は、家族の争いの種です。遺言状は黄門様のご印籠となり、遺産分割のもめ事を防ぐでしょう。
4. 頼む前に、何故遺言を書いてもらいたいのか、整理します
遺言書を書いてほしい理由を、自分なりに整理してから、話しを出してみましょう。
5. いつ話を切り出せばいいか
お盆やお彼岸、身近な人が亡くなったときや知人の葬儀があったとき、テレビで有名人の葬儀のニュースが流れたときなどに、体を大事にしてね、といたわりながら、自然な感じで、遺言の無い遺産が家族の争いのタネとなった例や、遺言書がなかった為大変だった相続の例などを挙げながら、他人事として繰り返し話題にしましょう。
還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿は、遺言を書いてもらうよい機会でもあります。兄弟が揃ったところで話しを出してみてはいかがですか。
その際、 「『遺言書』を書いて」ではなく、「『公正証書』を作ってね」と言いましょう。
6. 遺言者の「自由かつ明確な真意」を確保する
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