① 自筆証書遺言は封筒に入れ、封をするのが一般的です。
理由は法的な効力があるからということではなく、勝手に読まれないため及び紛失しないためです。
法務局に保管を委託する場合は封入しないで持参します。
② 封筒の表には遺言書と書くのが一般的です。
法律で定められてはいませんが相続人等に分かりやすくするためです。
③ 封筒の裏に「開封せずに家庭裁判所に提出する事」等、注意書きを書いておくと相続人等が誤って開封することを防げます。
なお、印鑑は、封印及び署名捺印の2か所とも、遺言書に捺印したものと同じものを用いる必要があります。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 自筆証書遺言は全文及び、日付を自書する必要があります
2. 自筆証書遺言の作成に、紙質、用紙の大きさ、筆記用具の制限はありません
紙質、用紙の大きさ、筆記用具の制限はありません。また、縦書き、横書きいずれでも構いません。
ただし、用紙は長期保存に耐える用紙をおすすめします。
かって、洋紙は酸性紙のため20年程度で変色し劣化が始まることが問題となりましたが、現在では中性紙化が進んでいます。コピー機用のPPC上質紙は半数以上が中性紙化されており100年以上もつとも言われています。
筆記用具は、改ざんが容易な鉛筆や消せるボールペンはNGです。黒のボールペン等消えないもので清書してください。
※ 法務局に自筆証書遺言を保管する場合
・ 用紙はA4で片面のみ使用となります。(縦書きでも横書きでもよい。)
・ 余白を、上5ミリメートル以上、下10ミリメートル以上、左側20ミリメートル以上、右側5ミリメートル以上空ける必要があります。
・ 各ページにページ番号を入れます。(余白には何も書かないこと)
・ 封入したり、綴じたりしないで(ホッチキス等で止めない)持っていきます。
3. 表題(タイトル)は遺言書と書きます
遺言状の表題は、一般に「遺言書」と書きます。表題の記載は任意ですが、遺言であることを明確に示し誤解が生じないために記載するものです。
4. 住所、氏名、押印について
遺言の末尾に住所を書き、戸籍上の氏名で署名の上、忘れずに捺印します。
住所の記載は任意ですが、相続開始後、遺言の真偽をめぐって紛議になることを避けるため記載することをおすすめします。ただし、曖昧なときは記載しないこと。
捺印は認印でも有効ですが、相続開始後、遺言の真偽をめぐって紛議になることを避けるため、実印で押印をおすすめします。また、できれば、印鑑証明書を同封しておくこともおすすめです。
なお、最高裁判所は指印による遺言も有効とし、花押による遺言は無効としています。
5. 作成日付について
遺言書の作成日付は西暦または元号で書きます。年月日を全てを、省略することなく自書で正確に記入します。
□ 例:2019年3月1日のように具体的な日付を書きます。「2019年3月吉日」等、日にちが特定できない書き方は無効になります。
5. 別紙(自書によらない遺産目録)について
別紙(自書によらない遺産目録)には、各ページに署名と捺印が必要です(本文と同じ印鑑)。
7. 余分なものは描かない
地図やイラストを描くのややめましょう。赤で斜線を引いたものが無効とされた判例もあります。
8. 「止め印」「以下余白」について
契約書や委任状の作成にあたって、文書の記載がここで終わりであることを示し、以降の余白に書き加えられることを防ぐため及び、その余白はもともとあった記載が改ざんされ削除されたものではないことを示すため、文書の末尾のすぐ後に印鑑を押したり(止め印)、文末に「以下余白」と記述したり、余白部分に大きく斜線を引くことがあります。
これは慣行として行われているものであり、法律で定められているものではありませんが、改ざん防止に一定の効果が期待できます。
※ 法務局に自筆証書遺言を保管する場合は、「止め印」「以下余白」はやめた方が無難です。
9. 2枚以上になるとき
遺言書が2枚以上になる場合は、ホッチキス又は糊で長へん綴じにし、見開き部分の中心線上に、2ページにまたがるようにして、一か所、契印を押すのが一般的です。
なお、契印は、その文書が一連のものであり、遺言者以外による追加、差し替えがないことを示す意味がありますが、法的な効力があるということではなく、なくても遺言書の効力に影響はありません。
パソコンにより作成した財産目録や、不動産登記事項証明書又は預貯金通帳のコピーを添付する場合は、添付する財産目録等の各ページに、遺言者の自書による署名と捺印がないと無効です。
(預貯金通帳のコピーは銀行名、支店名、口座名義、口座番号が記載されていること)
遺言書が2枚以上になる場合、1枚の紙の両面に書くことについて法的な制約はありません。ちなみに、財産目録をパソコンにより両面印刷で作成する場合は、両面とも署名と押印が必要とされています。
しかしながら、使用する紙質や筆記具等によっては、裏面の文字が表に滲んだり透けたりする恐れがありますので、片面だけにすることをおすすめします。
※ 法務局に自筆証書遺言を保管する場合は綴じないで(ホッチキス等で止めない)持っていきます。 契印はやめた方が無難です。
10. 裁判所の検認
自筆証書遺言を書き封をする場合は、裁判所の検認を受けなければ開封できません。読めるのは葬儀の後になってしまいます。(検認の申し立てから手続きが完了するまで通常1~1.5か月間を要します)
葬儀の方法、埋葬場所等を書く場合は書いたことを話しておくか、》 エンディングノート にも書くなどすることをおすすめします。