□ 認知は、届出以外にも遺言によって行うことが可能です。胎児も遺言で認知することができます。
□ 認知届は遺言執行者が提出するので、遺言執行者を必ず指定します。
1. 胎児の認知
認知は子が胎児のときでもできます。
(1) 胎児認知の手続き
胎児の認知は、父親が胎児の母親の本籍地の市町村役場に届け出ます。認知届出の際、母親の承諾書を添付する必要があります。 受理証明書の交付申請をお忘れなく(胎児のうちに「養育費の合意」をしておくために必要です)。
民法783条(胎児又は死亡した子の認知)
1. 父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
2. 前項の子が出生した場合において、第772条の規定によりその子の父が定められるときは、同項の規定による認知は、その効力を生じない。
3. 父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。
(2) 胎児の戸籍
胎児認知されても、胎児の段階では、胎児認知の事実は父親、母親のいずれの戸籍にも記載されることはありません。戸籍の附票に記載されることもありません。出生届を提出すると父親及び母親の戸籍に胎児認知の事実が記載されます。
2. 遺言で胎児を認知する
胎児も遺言で認知することができます。なお、遺言執行者が認知届出を提出する際、母親の承諾書を添付する必要があります。
胎児を遺言で認知するときは、万一、死産となった場合に備えて、予備的遺言を検討する必要があります。
遺言で認知する胎児の特定は、母親の氏名・生年月日・住所(住民登録上)等で行います。
遺言執行者が認知届を提出する(※)ので、遺言執行者を必ず指定します。遺言執行者をきちんと決めておけば、遺言による認知は確実に実行されます。
※ 遺言執行者は就任の日から10日以内に、認知届を提出しなければならない。
3. 胎児の相続権・損害賠償請求権
人は、出生によって初めて権利義務の主体となるのであり(民法3条1項)、胎児の間は、権利義務の主体とはなれないのですが、相続及び不法行為に基づく損害賠償請求権に関しては、胎児が生きて生まれた場合に、胎児の段階で相続権及び損害賠償請求権を有することになるとされています(民法886条、721条)。
民法3条(権利能力)
1. 私権の享有は、出生に始まる。
2. 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
民法886条(相続に関する胎児の権利能力)
1. 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2. 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。
民法721条(損害賠償請求権に関する胎児の権利能力)
胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。
ご自分で書かれた遺言書の点検をご希望の方
遺言書の作成サポートをご希望の方