1. 法定外遺言事項とは
付言事項は、相続人等に対し、一定の作為又は不作為を求める意思表示を内容とするもの(法定外遺言事項)とそれ以外のもの(狭義の「付言事項」)とに分けることができます。
2. 法定外遺言事項の例
(1) 葬儀についての希望、散骨やお墓に関する依頼
① 葬儀・法要の方法を指定
② 散骨の希望、散骨場所、散骨の方法を指定
③ お墓や永代供養の依頼
葬儀の方法や散骨、お墓に関する希望は、必ず実行することを遺贈又は相続させる遺言の負担と位置づけることによって、相続人らを法的に拘束することが可能となる(出典:NPO法人 遺言・相続リーガルネットワーク( 2017)『改訂 遺言条項例300&ケース別文例集』日本加除出版.254頁)
※ ただし、遺贈の場合、受遺者は遺贈を拒否し負担を実行しないことができます。確実に実行してもらうためには、負担付死因贈与契約を結んでおくことが必要です。ほかに信託契約による方法があります。
自筆証書遺言は、(法務局保管制度を利用しない場合)、検認の関係で内容がわかるのが葬儀後になってしまうことがあります。葬儀についての希望、散骨やお墓に関することを書いておきたい事情がある場合は、》エンディングノート にも書いておくことをおすすめします。
(2) 献体の希望
(3) 寄与分の希望
(4) 遺留分遺留分侵害額請求をしないことを希望
(5) 遺産分割にあたり特別受益を加味しないことを希望
(6) 相続欠格を宥恕する
(7) パソコン等デジタル機器の個人情報の処理等の依頼
① SNSのアカウントの削除の依頼 ※
② パソコン、携帯電話、スマホのデータ消去の依頼 ※
③ メール、ホームページ、ブログの閉鎖の依頼 ※
④ インターネットプロバイダーの解約の依頼 ※
⑤ ネット銀行口座の解約の依頼 ※
⑥ ネット有料サービス解約の依頼 ※
※ パスワード、ID等を別途教えておく必要があります。
(8) ペットの世話の依頼
(9) 介護に関すること、尊厳死に関すること、「臓器提供」に関することは遺言以外の方法で
介護に関すること、尊厳死に関すること、「臓器提供」に関することには、生前に知らせておかないと実現はできません。
介護に関することは「任意後見契約公正証書」、尊厳死については「尊厳死宣言公正証書」、臓器提供については「臓器提供に関する公正証書」の形で決めておくことができます。
※ 平成21年の臓器移植法改正により、本人の意思が不明の場合でも、遺族の承諾により臓器移植できることになりました。
3. 法定外遺言事項を書く位置
葬儀についての希望、散骨やお墓に関することなど、相続人等に対し、一定の作為又は不作為を求める意思表示を内容とするもの(「法定外遺言事項」)は、付言事項ですが、法定遺言事項と合わせて本文中に記載するのが一般的です。
4. 尊厳死宣言を遺言で行う
尊厳死宣言は遺言者の死亡前に家族等に知らしめる必要があるので、遺言で行うことは不適当です。
尊厳死宣言については、》》尊厳死宣言 をご覧ください。
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