後継ぎ遺贈とは。

□ 後継ぎ遺贈の遺言とは、第1次相続開始後、遺言で財産を与えた相手(第1次受遺者)が亡くなったら、当該財産を遺言者の指定する者(第2次受遺者)に移転することを内容とする遺言です。

 

□ 後継ぎ遺贈は「期限付遺贈」(一次遺贈)と「停止条件付遺贈」(二次遺贈)の二つ遺贈で構成されます。

 

□  後継ぎ遺贈は、第2次遺贈に法的拘束力はないとされています。 

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埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 後継ぎ遺贈の遺言

 

 後継ぎ遺贈の遺言とは、第1次相続開始後、遺言で財産を与えた相手(第1次受遺者:配偶者等)が亡くなったら、当該財産を遺言者の指定する者(第2次受遺者:長男等)に移転することを内容とする遺言です。

 

2. 後継ぎ遺贈は「期限付遺贈」(一次遺贈)と「停止条件付遺贈」(二次遺贈)の二つ遺贈で構成される 

 

(1)一次遺贈は期限付遺贈です

 

 第1次相続開始後、第1次受遺者(配偶者等)が亡くなったら、これを終期として、当該財産は遺言者の指定する第2次受遺者(長男等)に移転します。

 財産の移転は、期限の到来(第1次受遺者の死亡)によって、第1次受遺者の行為を介せず当然に行われます。

  第1次受遺者の死亡時に第2次受遺者が生存していない場合は、二次遺贈は無効です。

 

(2)二次遺贈は停止条件付遺贈です 

 

 二次遺贈は、第2次受遺者の生存中に第1次受遺者が死亡することを停止条件として、当該財産を遺言者の指定する者(第2次受遺者)に移転します。

 財産の移転は、条件の成就(第1次受遺者の死亡)によって、相続開始時の受遺者(第1次受遺者)の行為を介せず当然に行われます。

 

3. 後継ぎ遺贈の効力~後継ぎ遺贈は第2次遺贈に法的拘束力はないとされている 

 

 後継ぎ遺贈の遺言は民法上無効(第2次遺贈に法的拘束力はない※)とされています。

 したがって、二次相続(第1次の受遺者が被相続人となる相続)において、その相続人が遺産分割を請求した場合は、訴訟によりその効力が否定されるおそれがあります。

 実効性を担保するために、第1次の受遺者が遺言で第2次の受遺者に遺贈すること負担とする内容の遺言にするなどの対策が考えられます。 (ただし、この方法によっても、死者が後生の財産のあり方を長期間拘束することの是非の問題は残る)

 

※ 後継ぎ遺贈が民法上無効であるとしても、そのことは第2次相続人が遺産分割を請求することができるということにとどまります。二次相続の相続人が承認すれば遺言者の意思は実現できます。  

 

注意事 項 後継ぎ遺贈については、その有効性について確定判例がなく、また、批判的な見解が有力なところであるから、その効力が否定されるおそれがあることに留意されたい。(出典;NPO法人 遺言・相続リーガルネットワーク( 2017)『改訂 遺言条項例300&ケース別文例集』日本加除出版.168頁)  

 

4. 後継ぎ遺贈と補充遺贈

 

 段階的に受遺者を指定する点では、後継ぎ遺贈と補充遺贈は似ていますが、補充遺贈の場合は第1次受遺者に当該財産は一度も帰属しないのに対し、後継ぎ遺贈は、相続開始時に第1次受遺者に当該財産がいったん有効に帰属し、第1次受遺者が亡くなった後に第2次受遺者に移転する点で異なります。  

 

5. 後継ぎ遺贈型(受益者連続型)信託

 

 紛議の余地のない遺言を作成したい場合は、「後継ぎ遺贈型(受益者連続型)信託」をおすすめします。

 これにより後継ぎ遺贈と同じ効果が期待できます。   

 

詳しくは、》》 後継ぎ遺贈型信託(受益者連続型信託)をご覧ください。

 

6. 後継ぎ遺贈が相続の解決策として有効と考えられるケース

 

➀ 自宅を妻に相続させ、妻が死亡したら子に引き継がせたい。 

 

② (子のない夫婦)妻に自宅を相続させるが、妻が死亡したあとは、自分の兄弟に引き継がせたい。  

 

③ 後妻に自宅を相続させるが、後妻が死亡したあとは、先妻との間の子に引き継がせたい。  


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