行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
遺 言 書
遺言者〇〇〇〇は、以下のとおり遺言する。
第1条 私は、下記の生命保険契約に基づく死亡保険金の受取人について、妻〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)と指定されているところ、これを長男〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に変更する。
記
① 保険証券番号 〇〇〇〇〇〇〇
② 契約日 〇〇年〇〇月〇〇日
③ 保険者 〇〇生命保険株式会社
④ 契約者 遺言者
⑤ 被保険者 遺言者
第2条 万一、長男〇〇〇〇が遺言者より前に又は遺言者と同時に死亡したときは、前条により同人に変更する予定であった死亡保険金受取人を、その子〇〇〇〇(〇〇市〇〇区〇丁目〇〇番〇〇号居住、平成〇〇年〇〇月〇〇日生)及び遺言者死亡時に出生している長男〇〇〇〇のその他の実子(胎児を含む)に変更する。
第3条 第2条により取得させる死亡保険金給付請求権の割合を、対象者それぞれに均等と定める。
第4条 私は、本遺言の遺言執行者として次の者を指定する。
(遺言執行者名)
(生年月日)
(住所・職業)
第5条 遺言執行者は、私の死亡後、〇〇生命保険株式会社に対し、速やかに保険金受取人変更の通知をすること。
令和〇〇年〇〇月〇〇日
(遺言者住所)
遺言者 〇〇〇〇 印
ここが遺言(相続)のポイント
□ 生命保険契約で保険金受取人を妻〇〇と指定し、その後離婚しても、保険金受取人の変更をしなければ保険金受取人は変わりません。
□ 遺言による保険金受取人の変更が無条件でできるのは、2010年(平成22年)4月1日以後に締結された生命保険契約のみです。
2010(平成22)年4月1日より前に契約した生命保険契約については、保険契約約款等で禁止されていない場合のみ、遺言による保険金受取人の変更が可能です。保険契約の約款等で禁止されている場合はできません。 したがって、2010年(平成22年)4月1日より前に締結された生命保険契約について、遺言による保険金受取人の変更をしようとする場合は、保険契約約款等で禁止されているか否かについて各保険会社に確認する必要があります。
□ 第2条及び第3条は生命保険受取人の予備的変更の規定です。
生命保険受取人が遺言者より前に亡くなった場合は、通常その時点で受取人変更手続きが行われますが、その時点で遺言者が認知症等で行為能力を失った場合に備え、生命保険受取人の予備的変更条項を設けることができます。
生命保険受取人の予備的変更条項は、生命保険受取人が遺言者と同時に亡くなった場合に備える意味あいもあります。
□ 遺言による保険金受取人の変更にはリスクがあります。
遺言で保険金受取人を変更しても、死後、相続人が保険会社に保険金受取人変更の通知をしなかったり、変更通知の前に支払いがなされた場合は、受取人変更を保険会社に対抗できません(死亡保険金は請求から2週間~1か月程度で支払われる)。遺言に、死後、相続人(又は遺言執行者)は速やかに保険会社に連絡するよう記載することをおすすめします。
□ 保険金受取人変更の通知が速やかに確実に行われるために、遺言執行者を指定しておくことをおすすめします。
遺言執行者の権限には、保険金受取人の変更に関して保険会社が求める手続きをする権限も含まれるとされています。
□ 遺言者(保険契約者)と被保険者が異なる場合は、遺言による保険金受取人の変更は、被保険者の同意がなければ、その効力を生じません。
□ 遺言による生命保険受取人の「指定」の可否は、その生命保険契約の定めにより異なります。
本文例はあくまでも一例です。遺言者のご希望はもとより、推定相続人や遺贈したい人の状況、相続財産の状況などによって遺言文は違ってきます。
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