~相続人が複数いるケースで、親(被相続人)の土地の上に家を建て同居している長男に、二世帯住宅の土地を相続させる遺言~
遺 言 書
遺言者〇〇〇〇は、以下のとおり遺言する。
第1条 私の相続開始時に有する、下記の財産を、長男〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)に相続させる。
土地
所在 〇〇市〇〇町〇〇丁目
地番 〇〇番〇〇
地目 宅地
地積 〇〇〇.〇〇平方メートル
第2条 私が自身を保険金受取人に指定し加入している生命保険の死亡保険金から、長女〇〇〇〇、次女〇〇〇〇それぞれに、遺留分相当のお金を代償金として支払うよう、長男〇〇〇〇に指示する。
付言
長男〇〇〇〇、長女〇〇〇〇、次女〇〇〇〇、私は3人とも等しく、私の子どもとして生まれてきてくれて本当によかったと感謝しています。長男〇〇〇〇は二世帯住宅で同居し世話をしてくれました。これからもこの家に住まなければなりません。こうした事情を理解し、遺産分割は平等にはならなかったけど、3人で助け合って仲良く暮らしてください。
幸せな人生でした。ありがとう。
令和△△年△△月△△日
(遺言者住所)
遺言者 〇〇〇〇 印
ここが遺言(相続)のポイント
□ 二世帯住宅の多くは、親の土地の上に子どもが家を建て同居しているか、親子共有名義の土地建物に同居しています。親が亡くなると、同居の子は「自分のもの」と思いますが、住んでいない きょうだい は「代わりにお金をもらうか、土地建物は売ってお金で分けよう」となりがちです。遺言を作っておくことが必要です。 不動産は住んでいる人に相続させます。
□ 小規模宅地の特例(相続税における土地評価額を80%減額)は二世帯住宅に今住んでいる人が全部相続する場合は適用されますが、別の相続人に一部を相続さる場合はその土地については適用されません。
□ 民法改正により、改正前は、「相続させる」旨の遺言による不動産の贈与については、登記をしなくても第三者に対抗できるとされていましたが、改正後は、法定相続分を超える部分については登記をしなければ第三者に対抗できないこととなりました。
その結果、次のような問題が生ずる恐れがあります。
① 不動産を単独で相続させる旨の遺言をしても、他の相続人が自分の法定相続分相当持分を先に登記し善意の第三者に売却してしまうと第三者に対抗できなくなる。
② 他の相続人の債権者が、登記が未了の間に、他の相続人の法定相続分相当持分に対し債権者代位によって登記を行い仮差押えを行ってしまうと対抗できなくなる。
本文例はあくまでも一例です。遺言者のご希望はもとより、推定相続人や遺贈したい人の状況、相続財産の状況などによって遺言文は違ってきます。
あなたのご遺族のあいだに相続争いが起きにくい遺言書、ご遺族が相続手続きをしやすい遺言書、あなたの思いを実現する最適な遺言書の作成を当事務所がお手伝いいたします。