遺 言 書
遺言者〇〇〇〇は、以下のとおり遺言する。
第1条 私の相続に関し、次のとおり、相続分を指定する。
1.長男〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生) 4分の2
2.長女〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生) 4分の1
3.次女〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生) 4分の1
第2条 私は、祭祀を主宰するべき者として、長男〇〇〇〇を指定する。長男〇〇〇〇には、〇〇家の跡を継いで先祖の供養をお願いします。
第3条 私は、本遺言の遺言執行者として長男〇〇〇〇を指定する。
付言事項
私は、老後の世話になり、〇〇家の跡を継いで先祖の供養をお願いする長男〇〇〇〇に、少し多めに財産をあげるようこの遺言をしました。長女〇〇〇〇、次女〇〇〇〇はどうかわかってください。そして、兄弟姉妹みんなで助け合って仲良く暮らして欲しい。
幸せな人生でした。ありがとう。
令和△△年△△月△△日
(遺言者住所)
遺言者 〇〇〇〇 印
ここが遺言(相続)のポイント
□ この文例は「寄与分」と直接的な関係はありません。特定の相続人に、寄与分等を考慮して、多めに財産を相続させる遺言例です。
□ 民法改正により「特別の寄与」制度が設けられ、介護をしてくれた、亡くなった長男の嫁は「特別寄与料」として金銭を請求できるようにようになりました。
しかし、遺産分割協議で申し出るのは心理的に負担があり、認められるかどうかも不確実です。確実に財産をあげたいのであれば、遺言で寄与分を考慮した遺贈をすることをおすすめします。
□ 寄与分は遺産分割協議によってのみ決められるものであり、遺言に書いても法的拘束力はありません。しかし、相続人同士の協議における判断材料となり、 争いを防ぐ心理的効果が期待できます。その場合、寄与の内容や経過をできるだけ具体的に記載すればより効果的でしょう。
特別寄与料
民法改正前は被相続人の息子の嫁等、相続人以外の親族が被相続人に対し無償の療養看護や労務の提供を行っても「寄与分」の請求はできませんでした。(ただし、被相続人の息子が存命であれば、その寄与分として請求できた。)
民法改正(30.7.13公布)により「特別の寄与」制度が設けられ、「特別寄与料」として金銭を請求できるようにようになりました。具体的には、戸籍上の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族であり、子の配偶者はこの中に含まれる)が介護してきたときなどが該当します。 (令和元年7月1日施行。改正法は令和元年7月1日以降に開始した相続について適用されます。)
□ 民法改正により、改正前は、「相続させる」旨の遺言による不動産の贈与については、登記をしなくても第三者に対抗できるとされていましたが、改正後は、法定相続分を超える部分については登記をしなければ第三者に対抗できないこととなりました。
その結果、次のような問題が生ずる恐れがあります。
① 不動産を単独で相続させる旨の遺言をしても、他の相続人が自分の法定相続分相当持分を先に登記し善意の第三者に売却してしまうと第三者に対抗できなくなる。
② 他の相続人の債権者が、登記が未了の間に、他の相続人の法定相続分相当持分に対し債権者代位によって登記を行い仮差押えを行ってしまうと対抗できなくなる。
本文例はあくまでも一例です。遺言者のご希望はもとより、推定相続人や遺贈したい人の状況、相続財産の状況などによって遺言文は違ってきます。
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