行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 遺言執行者の条件、指定できる人数
(1)遺言執行者の条件
遺言執行者は、未成年者、破産者以外は、原則、誰でもなれます。
遺言で、配偶者、こども(成人の場合)、第三者を遺言執行者に指定できます。
相続人を遺言執行者に指定することについては、相続人廃除や子の認知など利益が直接衝突する遺言の遺言執行者には指定できないとされています。
(2) 遺言執行者に指定できる人数
遺言執行者は1名に限定されません。複数の遺言執行者を指定することができます。
遺言執行者ごとに職務の範囲を分けて指定し、専門家にふさわしい遺言執行を職務権限を限定して弁護士等を指定し、それ以外は親族を遺言執行者に指定することも可能です。
遺言執行者に行政書士(専門家)を指定した場合、指定した行政書士は、遺言執行者として相続登記の申請を行うことができます。
遺言執行者が複数いる場合、遺言者は、任務遂行の方法について定めることができます。遺言執行者の間で意見が対立した場合はどの遺言執行者の意見に従わせるかについて定めることもできます。
民法1017条(遺言執行者が数人ある場合の任務の執行)
1 遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
2. 予備的遺言執行者の指定
遺言で指定した遺言執行者の死亡(又は指定した法人の消滅)、若しくは指定した遺言執行者の就任辞退や意思能力(法律行為能力)の喪失に備え、予備的遺言執行者を指定しておくことができます。
指定する遺言執行者が、遺言者との年齢差等により、相続開始時に既に死亡している、又は重度の認知症等で意思能力を喪失している、若しくは就任を辞退する事態になる恐れがあるなどの場合は、予備的遺言執行者を指定しておくことをお勧めします。
予備的遺言執行者を指定するにあたっては、どういう状況になった場合に予備的遺言執行者が遺言執行できるのかを明確化にしておく必要があります(停止条件の内容及び条件成就の有無の判断が容易に行える程度に具体化・明確化しておく)。
(文例)
第〇条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、妻〇〇〇〇を指定し、次の権限を授与する。
① 遺言者の有する株式、預貯金等の金融資産について名義変更、解約及び払戻しを行うこと
② 貸金庫の開扉と内容物の受領
③ その他この遺言の執行に必要な一切の処分を行うこと
第〇条 前条で指定した遺言執行者が、本遺言による相続開始時に既に死亡しているとき又は重度の認知症等で意思能力を喪失している場合、若しくは就任を辞退したときは、次の者を前条による遺言執行者とする。
(氏 名) 〇〇 〇〇
(生年月日) 昭和〇年〇〇月〇〇日
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