□ 相続人が配偶者と子どもの場合は、「配偶者に対する税額軽減」の適用を検討する(2次相続での相続税も考慮)
□ 自宅不動産は、「小規模宅地等の特例」の活用を検討する(配偶者または同居親族が相続します)
□ 結婚歴20年以上の夫婦間での自宅の生前贈与は、2,000万円まで贈与税がかからない。基礎控除と併用して非課税枠は2,110万円となる。
□ マイホームの購入資金の贈与は、「住宅取得等資金の贈与税の非課税特例」を使えば、省エネ等住宅は1,200万円、その他は700万円まで贈与税はかからない(購入等契約が2018年であること)
※ 住宅ローン返済のための資金贈与にはこの特例は使えません。
□ 父母や祖父母から30歳未満の子や孫が教育資金を贈与された場合、最大1,500万円までの「一括贈与」が非課税です。
2015年4月1日から2021年3月31日までの間、祖父母等から子や孫の結婚・子育て資金に充てるため子や孫の名義で預入した場合は、最大1,000万円まで非課税です。
□ 扶養義務のある子等に生活費や教育費をあげても、社会通念上通常必要な範囲であれば贈与税はかからない(ただし、必要な都度もらい、直接その費用に充てた場合に限られる)
□ 生命保険金の受取人が相続人である場合、500万円 × 相続人の数までは相続税は非課税。
節税のため不動産活用でアパートを建てたものの、空室の増加で困っているケースが増えています。
名義預金(子どもや孫名義の預貯金)は、通帳に使っている印鑑が被相続人と同じ場合は被相続人本人の財産として相続税が課税されます。
小規模宅地等の特例の適用を受けた土地建物は、相続税申告期限までは売却できません。
相続税を払うため土地や株を売った場合、所得税も課税されます。
息子の嫁を養子にすると、その嫁にも法定相続分が生じ家族間に問題が起こることがあります。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 配偶者の税額軽減
被相続人から配偶者が相続する財産のうち、①1億6千万円または②法定相続分相当額のいずれか多い金額までは相続税はかかりません。
1次相続で相続税の配偶者に対する税額軽減を使わなかったときに比べ、1次2次トータルで相続税が多くなってしまう場合があります。「相続税の配偶者に対する税額軽減」を使うにあたっては、2次相続における相続税をシミュレーションして遺産分割を行う必要があります。
2. 小規模宅地等の特例
》》小規模宅地等の特例と要件をご覧ください。
3. 農地の納税猶予
相続人が農地のまま使用する農地は納税を猶予されます。
4. 贈与の非課税枠(暦年贈与、贈与の特例)
》》贈与の非課税枠(暦年贈与、贈与の特例)をご覧ください。
5. 毎年収益があがる物件は早めに生前贈与する
駐車場やアパートなど毎年収益があがる物件は早めに生前贈与し、その収益を相続人に移転します。これによって、毎年の収益に対する税金(2次相続の相続税)を「節税」できます。
相続時になったら価値が下がると予測される自宅等は、生前贈与ではなく相続させた方が有利です。
6. 財産を賃貸不動産に変え節税する
土地の相続税評価額は路線価(*)を基にしていることから実勢価格の約70パーセントになります。
* 路線価は相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用されます。時価(実勢価格)の70%程度とされます。(公示価格の80%程度)
相続財産を現金から賃貸アパートに変えておくと相続税評価額は50%程度になります。区分所有の分譲マンションだと、購入価格の4分の1以下と言われています。
7. 賃貸アパート経営に法人を活用し節税する
賃貸アパート家賃収入による資産増に伴う相続税・所得税の増加を回避するため、賃貸アパート経営に法人を活用し節税します。
① 管理委託方式:法人から不動産管理会社に管理委託し、法人から管理料を支払う。
② サブリース方式:法人から不動産管理会社に一括して貸付け、不動産管理会社が転貸(また貸し)する。
③ 不動産所有方式:賃貸アパート建物だけを法人名義で建て、法人が賃貸経営する。
節税のため不動産活用としてアパートを建て、空室の増加で困っているケースが増えていると言われています。。
8. 生命保険を活用し節税する
保険金の受取人が相続人である場合には、500万円×相続人の数 までは相続税は非課税です。(ただし、相続を放棄した場合は課税されます)
9. 相続時精算課税
相続時精算課税とは相続財産を前渡しする制度です。前渡しした累積価格が2,500万円以下であれば贈与税が非課税です。(2,500万円超の部分は贈与税が一律20%課税される)
相続時精算課税は60歳以上の親(贈与する年の1月1日現在)から、20歳以上の子、孫、ひ孫(直系卑属の推定相続人、または孫、ひ孫:贈与する年の1月1日現在)への贈与の場合に利用できます。
(相続時精算課税と暦年贈与)
相続時精算課税は多額の財産を非課税で贈与できます(2,500万円まで非課税。2,500万円超の部分は贈与税が一律20%課税)
相続時精算課税で相続税を減らすことはできません。相続時精算課税は相続財産が相続税基礎控除額以下の場合(相続税がかからないとき)に贈与したいときに適しているといえます。
暦年贈与により相続税を減らすことができます(ただし、相続開始3年以内の贈与は相続税の課税対象になる)。
暦年贈与は相続財産が相続税基礎控除額を超える場合(相続税がかかるとき)に贈与したいときに適しているといえます。
ただし、多額の金額を暦年贈与すると贈与税が高額になるので注意が必要です。(非課税は1人年110万円まで)
相続時精算課税から暦年課税に変更はできません。また、相続時精算課税はその後も財産を贈与されるたびに申告が必要です。
相続時精算課税制度を使って土地を生前贈与する場合は「小規模宅地等の特例」は使えません。
10. 取得費加算を活用し所得税の支払額を減らす
相続によって取得した土地、建物、株式などの財産を売ると所得税が課税されますが、亡くなった日の翌日から3年10か月以内に売却すれば、その所得の申告にあたり、相続税(既に払った相続税のうち売った財産の割合分)を取得費に加算することができます。(所得税の支払額を減らすことができる)
さらに、土地の場合には売っていない土地も含めた割合で相続税を取得費に加算することができます。(所得税の支払額を減らすことができる)
11. 養子縁組を活用する
実子がいる場合、養子が何人いようが相続税の計算では1人でカウントとなります。実子がいない場合、養子が何人いようが相続税の計算では2人でカウントとなります。
相続税の計算では孫養子は一親等の子には含めません。(相続税額は二割増し)
節税のため息子の嫁を養子にすると、息子の嫁にも法定相続分が生じます。養子縁組を活用するときは、後でもめないようあらかじめ相続人に話しておきます。
(普通養子縁組について)
未成年者を養子にするときは、原則として夫婦が共同で養親となります。15歳未満の子を養子にする場合は親権者など法定代理人の承諾が必要です。
成年者を養子にするときは単独で養親となります。(他の配偶者の同意は必要)
養子が夫婦の場合も単独で養親となります。(他の配偶者の同意は必要)
※ 尊属や年長者を養子にすることはできません。
(養子縁組届)
養親、養子、成年の証人2人が署名押印し、市町村役場に申請します。
未成年者を養子にする場合は、家庭裁判所に「養子縁組許可の審判の申立」が必要です。
ただし、孫など自己または配偶者の直系卑属については家庭裁判所の「養子縁組許可の審判の申立」は不要です。