相続の流れ

~身内が亡くなった、なにをすべきか。相続の作業と手続き~

 

□ 残された家族の中に生活に大きな支障をきたすと思われる人がいるときは、その人の今後のことを話し合うのが最優先。

 

□ 遺産について、①相続する ②相続放棄する ③限定承認する の3つの中から一つを選ばなければなりません。手続きの期限は3か月以内です。

 まずは、相続財産・債務のリストアップを行い、相続財産の概算をだします。相続税の計算や少額の預貯金といった細かいことは後まわしにします。故人が会社を経営していた場合、会社の連帯保証人になっていないか、注意します。

 

□ 3ヶ月では相続財産の調査ができないときは、家庭裁判所に申し立てを行い、期間を延長してもらうことができます。

 

□ 遺言がなく遺産分割協議が必要な場合は、遅くとも四十九日頃には始める必要があります。

 

□ 相続手続きに必要な基本書類

1.遺言書がある・・・①遺言書、②被相続人の除籍謄本、③被相続人との関係が分かる戸籍謄本、④印鑑証明書(遺言執行者又は相続人全員)

 

2.遺言書がない・・・①遺産分割協議書、②被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、③相続人全員の戸籍謄本、④印鑑証明書(相続人全員)


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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ポイント関連情報

STEP  Step1 遺言書が残されていないか確認し、その有無によって以下により作業、手続きを行います

 

※ 遺言書が隠されていそうな場所としては、仏壇、タンスの引き出し、机の引き出し、銀行の貸し金庫、日記、アルバムと一緒などが考えられます。 

※ 公正証書遺言の有無はお近くの公証役場で調べてもらうことができます

 

1. 遺言書がある

 

※ 遺言書通りに相続するとき遺産分割協議を行う必要はありません。

財産は遺言で指定された者に帰属します。 

                

□ 行わなければならない具体的な作業、手続き

① 自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所で  》検認 をしてもらいます。

※ 開封しないで提出してください。公正証書遺言は検認は不要です。 

 

注意事 項 自筆証書遺言・秘密証書遺言を不動産の所有権移転登記手続き、預貯金等の解約・名義変更に使うためには、「検認済証明書」が必要です。

 

注意事 項 法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し(30.7.13公布、公布の日から2年以内に施行)、法務局に自筆証書遺言を保管する制度が創設されます。この制度を使った場合、遺言書の「検認」は必要なくなります。

 

② 遺言の内容によっては  》遺言執行者 の選任が必要な場合があります。その場合は、家庭裁判所に選任の申し立てをします。  

 

③ 不動産の名義変更は、遺言書に印鑑証明を添えて  》相続登記申請(相続財産の名義変更)を行います。(又は、司法書士に依頼します)

 

※ 既に取り壊され登記だけが残っている建物は、建物滅失登記が必要です。

 

④ 預金の名義変更(預金相続)の手続き

 

ポイ ント  》預金の名義変更(預金相続)の仕方  をご覧ください

 

※ 遺言書があっても次の場合は「遺産分割協議」が必要です 

 

① 遺言書で指定した内容と違う分け方をしたい

 

□ 遺言を書いたときと事情が変わり、遺言の内容をそのまま実現すると実情に合わなくなる場合、相続人全員の合意があれば、遺言書で指定した内容と違う分け方をすることができます

 遺言執行者がいるときは、事前に遺言執行者の了解を得ておくことが望ましいと思います。

 

注意事 項 第三者が受けた特定遺贈及び、死因贈与等

 遺言によって「相続人でない第三者が受けた特定遺贈(または死因贈与)は遺産分割協議の対象にすることはできません。遺言による指定に従う必要があります。

 認知、寄付行為は遺言による指定に従う必要があります。

 

② 遺言書で「相続分の指定」のみをしている(あげる割合だけを決めている)

 

■ 包括遺贈の場合、遺産分割協議を行い、具体的にどの遺産を誰が相続するか等を決める必要があります。

 

 遺言に漏れている相続財産があり、その扱いに関する遺言がない

 

■ 原則として「法定相続」となりますが、相続人全員の同意があれば、その遺産を誰が相続するか「遺産分割協議」で決めることができます。

 

■ 遺言に漏れている借入金や未払い金などの債務があった場合は、法定相続分に応じて承継しますが、相続人全員の同意があれば、その債務を誰が相続するか「遺産分割協議」で決めることができます。 ただし、対債権者の関係では同意がある場合を除き債務は法定相続分に応じて承継します。 

 

 相続放棄・限定承認がある 

 

■ 相続放棄した人を除き、この放棄によって「相続人に繰り上がる」人がいるときはその者を加えて遺産分割協議を行い、財産及び債務の承継者を確定します。

 

※ 負担付遺贈を受けた受遺者が義務を履行したくなければ、遺贈を放棄することができます。その場合、「負担の利益を受ける者」が自ら受遺者になることができます。あるいは、相続人全員で協議し、改めて別の人に分配し直し、その人に義務を履行してもらうこともできます。 

 

ポイ ント 詳しくは、》相続放棄 》限定承認 をご覧ください。

 

注意事 項 遺言の内容が相続人の廃除や廃除の取り消しである場合は、相続人全員の同意があっても、相続人の廃除や廃除の取り消しに反する結果となる遺産分割協議は無効です。 

 

 

STEP step2 遺言書がない

 

「遺言書がない場合」及び遺言書はあるが遺言書で指定した内容と違う分け方をしたい」場合は「遺産分割協議」をします。 

 

① 取りまとめ役は、遺産分割協議に入る前に「相続人の特定」と「遺産の範囲の確定」を行います

 

(1) 相続人の特定

 

■ 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍などを調査し、相続人の特定を行います。 亡くなった方がよそに子どもをもうけていればその子(及び代襲相続人)も相続人になるからです。

 

ポイ ント 詳しくは 》「相続人調査の仕方をご覧ください。

 

※ 相続人に関し注意が必要なケース

 

◇ 認知症

 

・ 家庭裁判所に成年後見人の選任の申し立てを行い、後見人を含めて遺産分割協議を行います。  

・認知症の相続人の後見人も相続人のときは、特別代理人を選任する必要があります。

 

※ 法定相続分で相続する場合は遺産分割協議は不要です。  

 

◇ 未成年者

 

・ 親権者が「法定代理人」となりますが、親権者もまた相続人のときは「特別代理人」が必要となります。家庭裁判所に特別代理人選任の申し立てを行い、特別代理人を含めて遺産分割協議を行います。

・ 複数の子がいる場合は、親権者が同時に代理することはできません。家庭裁判所に他の子の特別代理人選任の申し立てを行います。  

 

◇ 胎児 

 

・ 死産の場合は遺産分割協議のやり直しになることがあるので、通常出生まで待ちます。 

 

◇ 海外等遠くに住んでいる相続人がいる 

 

・ 電話等で話し合い、遺産分割協議書を送って署名押印して返送してもらう方法があります。海外に住んでいる場合、 印鑑証明は居住国の公証人からサイン証明をもらい印鑑証明書にかえます。

 

・ 海外に行っていると思うが連絡先が分からないときは・・・

 

◇ 不在者がいる 

 

・ 不在者とは従来の住所・居所を去って容易に帰って来る見込みのない人を言います。

 

 生存しているのは確かであるが所在地の確認ができない場合は、元の住所地の家庭裁判所に「不在者財産管理人を選任」してもらい、不在者財産管理人の参加を得て遺産分割協議を行います。(※ 遺産分割協議を成立させる場合は家庭裁判所の許可が必要です。)

 

 生死不明の不在者については、元の住所地の家庭裁判所に「失踪宣告の審判申し立て」を行います。不在となった時から7年が経過した時点で死亡したものとみなされ、子どもがいるときは子どもが代襲相続人として遺産分割協議に加わります。 (※ 遺産分割協議を成立させる場合は家庭裁判所の許可が必要です。)

 

◇ 行方不明者がいる 

 

・ 普通失踪の状態が7年未満の場合は、生きているものとみなされますので、家庭裁判所に申し出て行方不明者の相続財産管理人を選任してもらい、その相続財産管理人の参加を得て遺産分割協議をすることができます。申し立てには、相続財産が少ない場合は、申し立て費用とは別に予納金(相続財産管理人選任等の費用)が数十万円~100万円程度必要です。

 

◇ 相続権の存否が不確定の者がいる 

 

・ 訴訟を提起されるなどして相続人の地位が否定される可能性のある者の参加した協議は、結果的に相続人の地位が否定された場合は無効となり、やり直しが必要となります。逆に、相続人の地位を取得する可能性のある者の参加しない協議は、結果的に相続人の地位が認められた場合は無効となり、やり直しが必要となります。

 

・ 遺産分割協議が成立したのち認知が認められた場合、その子が参加しなかった遺産分割協議は無効とはなりません。価格による遺産分割請求のみが認められます。  

 

・ 遺産分割協議が成立したのち離婚の無効が認められ場合、その者が参加しなかった遺産分割協議の効力については争いがあります。

 

 

(2) 遺産の範囲の確定を行います

 

□ 相続放棄・限定承認の手続き期限が3か月以内なので、相続税評価額の計算や少額の預貯金といった細かいことは後まわしにして、まずは、相続財産・債務のリストアップを行い、相続財産の概算をだします。

□ 債務(借金等)の漏れがないよう調査します。

 

※ 債務がわからないうちに自宅の土地建物を売却するなどの処分をしてしまうと、多額の借金が見つかっても、もう相続放棄はできません。

 

□ 次いで、財産及び債務を調査・評価し、「財産目録」を作成します。

 

※ 土地・建物は、必ず、遺産分割協議の前に評価額を計算しておきます。

※ 故人が会社を経営していた場合、会社の連帯保証人になっていないか、調べます。

 

■ 遺産分割のための相続財産評価は、相続の時ではなく遺産分割の時を標準としてなされるべきものである(札幌高裁昭和39・11・21)

 

ポイ ント 詳しくは 》相続財産の調べ方」、》財産目録の作り方をご覧ください。

 

 

STEP  step3相続人全員が参加し、遺産分割について協議します

 

 

□ 遺産分割協議が必要な場合は、遅くとも四十九日頃には始め、相続税の申告期限(「10ヶ月以内」)を目標に遺産分割協議の結果を出します。

※ お墓をどうするのか、についても話し合います。  

 

ポイ ント 詳しくは 》遺産分割協議の進め方 をご覧ください。

 

 

STEP step4 被相続人の所得税の「準確定申告」

 

■ 相続人が被相続人に代わって、相続があったことを知った日の翌日から「4か月以内」に被相続人の所得税の準確定申告納税を行います。

 

 

STEP step5 相続税の申告・納税

 

□ 相続税の申告・納税は10ヶ月以内です。相続税が発生する場合には、この一連の作業を「10ヶ月以内」に完了しなければなりません。

 

注意事 項 相続税の「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」の適用により相続税がかからなくなる場合でも相続税の申告は必要です。

 

□ 申告書は、相続人全員共同で1通の申告書を、被相続人の住所地の税務署に提出します。

 

※ この間に遺産分割協議がまとまらないときは、とりあえず「法定相続分」で分割したものとして、各相続人が申告・納税します。(申告期限後5年以内の分割見込書を提出します)

 

※ 相続税の申告期限から5年*以内に遺産分割をした場合は、「更正の請求」をすれば還付を受けることができます。ただし、相続税の「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」は受けられません

 

* 平成23年12月2日以後に期限を迎えるものから

 

※ 受遺者が相続人以外の場合

 「遺贈」は贈与税?相続税? (税法上「遺贈」は、遺言によって相続人以外の人が財産を引き継ぐことを指します。)

 答え 相続税です。だだし、相続税は2割加算です。

 

STEP step6 各種の名義変更手続き

 

1. 不動産の相続登記

 

■ 遺産分割協議確定後に遺産分割協議書に各相続人の印鑑証明を添えて相続登記申請を行います。( 遺産分割前に相続人全員で共有の登記をすることもできます。)

 

※ 祖父から父へ等、代替わりのとき不動産の名義変更をしていなかった場合は、二段階の相続手続きが必要になります。叔父、叔母、いとこ等、第一段階の相続人に事情を説明して協力をお願いする必要があります。理詰めで説得しようとせず、頭を下げ誠実にお願いをするのがポイントです。

 

ポイ ント 詳しくは、 》「不動産の名義変更の仕方」 をご覧ください

 

2. 預貯金名義変更

 

■ 預貯金は、遺産分割協議書に各相続人の印鑑証明を添えて名義変更を行います。

 

ポイ ント 詳しくは、 》預貯の名義変更(預金相続)の仕方 をご覧ください

 

3. 自動車名義変更

 

ポイ ント 詳しくは、 》「自動車の名義変更の仕方」 をご覧ください

 

4. 連帯保証人の解消

 

■ 被相続人が中小企業の経営者で、会社の連帯保証人となっているときは、別の保証人を立てるなどして解消します。

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