相続の流れ~身内が亡くなった、相続の作業と手続き~

□ 被相続人の出生から死亡までの戸籍を調査し相続人を特定します。隠し子がいないとわかっていても、不動産の移転登記や預金相続等に必要です。

 

□ 遺産について、3か月以内に ①相続する ②相続放棄する ③限定承認する の3つの中から一つを選ばなければなりません。

 

注意事 項 被相続人が会社を経営していた場合は、会社の借り入れについて個人として連帯保証人になっていないか、特に注意を要します。

 

□ 3ヶ月では相続財産の調査ができないときは、家庭裁判所に申し立てを行い、期間を延長してもらうことができます。

 

□ 法定相続分で相続する場合は遺産分割は不要です。ただし、法定相続分はあくまでも割合なので、具体的に、どの財産を誰が相続するか話し合いが必要です。 

 

□ 遺産分割協議は、遅くとも四十九日頃には始める必要があります。


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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STEP  Step1 遺言書の有無を確認し、遺言書があるときは以下により作業、手続きを行います

 

(1)遺言書の有無を確認

 

 公正証書遺言は遺言検索システムに登録するので、遺言者の死後、公証役場に検索要求し有無を調べることができます。

 

注意事 項 法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し(30.7.13公布)、法務局に自筆証書遺言を保管する制度が創設されます。自筆証書遺言は、この制度を使った場合、遺言者の死亡後、相続人等は法務局(遺言書保管所)に保管の有無を調べることができます。また、保管されている場合は、閲覧することができます。(施行は2020年7月10日)

 

 遺言書が隠されていそうな場所は、仏壇、タンスの引き出し、机の引き出し、銀行の貸し金庫。日記、アルバムと一緒など。  

 

 

(2)遺言書があるときは以下により作業、手続きを行います

 

① 自筆証書遺言・秘密証書遺言を不動産の所有権移転登記手続き、預貯金の払い戻しに使うためには「検認済証明書」が必要です。自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所で  》検認 をしてもらいます(開封しないで提出)。公正証書遺言は検認は不要です。 

 

注意事 項 法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し(30.7.13公布)、法務局に自筆証書遺言を保管する制度が創設されます。この制度を使った場合、自筆証書遺言の「検認」は必要なくなります。(施行は2020年7月10日)

 

② 遺言の内容によっては  》遺言執行者 の選任が必要な場合があります。その場合は、家庭裁判所に遺言執行者選任の申し立てをします。  

 

③ 不動産の名義変更は遺言書に印鑑証明を添えて  》相続登記申請(相続財産の名義変更)を行います。(又は、司法書士に依頼)

 

※ 既に取り壊され登記だけが残っている建物については建物滅失登記が必要です。

 

④ 預貯金の払い戻し(預金相続)の手続き

 

ポイ ント  》預金の名義変更(預金相続)の仕方  をご覧ください

 

 

 

※ 遺言書通りに相続する場合は「遺産分割」は必要ありませんが、下記の①~④の場合は遺産分割協議が必要です 

 

① 遺言で指定した内容と違う分け方をしたいとき

 

 事情が変わり遺言をそのまま実現すると実情にそぐわない場合などで、

相続人全員の合意があれば、遺言と違う分け方をすることができます

 なお、遺言執行者がいるときは、事前に遺言執行者に通知します。

 

注意事 項 遺言によって「相続人でない第三者が受けた特定遺贈(または死因贈与)は遺産分割協議の対象にすることはできません。遺言による指定に従う必要があります。

 また、認知、寄付行為は遺言による指定に従わなければなりません。

 

② 遺言で「相続分の指定」のみをしているとき

 

 あげる割合だけを決めている(包括遺贈)場合、遺産分割協議で具体的に誰がどの遺産を相続するか等を決める必要があります。

 

 遺言に漏れている相続財産があるとき

 

 遺言に漏れている相続財産があり、その扱いに関する遺言がないときは、原則として「法定相続」となりますが、相続人全員の同意があれば、その遺産を誰が相続するか遺産分割協議で決めることができます。 

 遺言に漏れている借入金や未払い金などの債務があったときは、法定相続分に応じて承継しますが、相続人全員の同意があれば、その債務を誰が相続するか遺産分割協議で決めることができます。ただし、対債権者の関係では債権者の同意がある場合を除き、債務は法定相続分に応じて承継します。 

 

 相続放棄・限定承認があるとき 

 

 相続放棄がある場合、相続放棄した人を除き、相続人に繰り上がる人を加え遺産分割協議を行います。

 限定承認の申述は共同相続人全員で申し出ることが必要です。一人でも反対者がいるとできません。一部の相続人のみが相続放棄をした場合は、残りの共同相続人で限定承認の手続きをします。

 

※ 負担付遺贈を受けた者は、義務を履行したくなければ遺贈を放棄することができます。その場合、「負担の利益を受ける者」が自ら受遺者になることができます。相続人全員で協議し、改めて別の人に分配し直し、その人に義務を履行してもらうことも可能です。 

 

ポイ ント 詳しくは、》相続放棄 》限定承認 をご覧ください。

 

 

注意事 項 遺言の内容が相続人の廃除や廃除の取り消しである場合は、相続人の廃除や廃除の取り消しに反する結果となる遺産分割は相続人全員の同意があっても無効です。 

 

 

※ 法定相続分で相続する場合は遺産分割は不要です。ただし、法定相続分はあくまでも割合なので、具体的に、どの財産を誰が相続するか話し合いが必要です。

 

STEP step2 遺言書がないときは、取りまとめ役は、「相続人の特定」「遺産の確定」を行います

 

(1) 相続人の特定

 

 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を調査し相続人を特定します。被相続人に隠し子がいればその子(あるいはその子の子)も相続人になるからです。

 隠し子がいないとわかっていても、不動産の相続による所有権移転登記や預金相続等に被相続人の生まれてから亡くなるまでのすべての連続した戸籍と本が必要です。

 

ポイ ント 詳しくは 》「相続人調査の仕方をご覧ください。

 

 

 

(2) 遺産の範囲の確定

 

 先ず相続財産(債務を含む)のリストを作り「相続財産の概算」をだします(相続放棄・限定承認の手続き期限が3か月以内なので、相続税評価額の計算や少額の預貯金といった細かいことは後まわしにします)。

 債務(借金等)についても漏れのないよう調査します。債務を調べないうちに土地建物を売却するなどの処分をすると後で多額の借金が見つかっても相続放棄ができなくなります。 

 次いで、財産及び債務を調査・評価し「財産目録」を作成します。土地・建物の評価額の計算は必ず遺産分割協議の前に行います。

 被相続人が会社を経営していた場合は会社の連帯保証人になっていないか調べることも必要です。

 

(参考)遺産分割のための相続財産評価は、相続の時ではなく遺産分割の時を標準としてなされるべきものである(札幌高裁昭和39・11・21)

 

ポイ ント 詳しくは 》相続財産の調べ方」、》財産目録の作り方をご覧ください。

 

 

STEP  step3相続人全員が参加し、遺産分割について協議します

 

 (1)特別な手続き等が必要な相続人

 

① 認知症のひとがいる

 

 家庭裁判所に成年後見人の選任の申し立てを行い、後見人を含めて遺産分割協議を行います。  

 認知症の相続人に後見人がありその方も相続人の場合は特別代理人を選任する必要があります。 

  

 

② 未成年者がいる

 

 親権者が「法定代理人」となります。親権者もまた相続人のときは「特別代理人」が必要です。家庭裁判所に特別代理人選任の申し立てを行い、特別代理人を含めて遺産分割協議を行います。

 親権者が複数の未成年者を同時に代理することはできません。家庭裁判所に他の未成年者の特別代理人選任の申し立てを行う必要があります。  

 

③ 胎児がいる 

 

 通常出生まで待ちます。 胎児につて判例の考え方は、「胎児の間は遺産分割できないが、生きて生まれたら、胎児の間に亡くなった被相続人の遺産を相続できる」としています。

 

④ 海外に住んでいる相続人がいる 

 

 海外に住んでいる場合、印鑑証明は居住国の公証人からサイン証明をもらってこれに代えることができます。

 

⑤ 不在者がいる

 

 不在者とは従来の住所・居所を去って容易に帰って来る見込みのない者を言います。

 

(ⅰ)生きているのは確かだが所在地の確認ができない場合は、元の住所地の家庭裁判所に「不在者財産管理人を選任」してもらい、その参加を得て遺産分割協議を行います。

 

(ⅱ)生死不明の不在の状態が7年未満  

 普通失踪の状態が7年未満の場合は、生きているものとみなされます。家庭裁判所に申し出て行方不明者の相続財産管理人を選任してもらい、その参加を得て遺産分割協議をすることができます。

 

※  相続財産が少ない場合は、申し立てには申し立て費用とは別に予納金(相続財産管理人選任等の費用)が数十万円~100万円程度必要です。

※ (ⅰ)(ⅱ)とも、遺産分割協議を成立させる場合は家庭裁判所の許可が必要です。 

※ 相続人が不在者財産管理人を兼ねることはできません。 

 

(ⅲ)生死不明の不在の状態が7年以上(*)

 元の住所地の家庭裁判所に「失踪宣告の審判申し立て」を行います。不在となった時から7年が経過した時点で死亡したものとみなされます。子どもがいるときは子どもが代襲相続人として遺産分割協議に加わります。 

 

(*)戦争や船の遭難等の場合は、危難が去った後1年間(危難失踪)とされ、危難が去ったときに死亡したとみなされます。

 

※ 大災害における死亡認定制度

 大震災等により死亡したことは確実だが遺体が確認されない場合には、

警察署長などが死亡地の市区町村に死亡報告を行い、戸籍に死亡の記載を行う制度があります(戸籍法89条 水難、火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。)

 

⑥ 相続権の存否が不確定の者がいる 

 

 訴訟を提起されるなどして相続人の地位が否定される可能性のある者の参加した協議は、結果的に相続人の地位が否定された場合は無効となります。逆に、相続人の地位を取得する可能性のある者の参加しない協議も、結果的に相続人の地位が認められた場合は無効となります。いずれの場合もやり直しが必要となります。

 

 遺産分割協議が成立したのち認知が認められた場合は、その子が参加しなかった遺産分割協議は無効とはならず、価格による遺産分割請求のみが認められます。  

 

 遺産分割協議が成立したのち離婚の無効が認められ場合、その者が参加しなかった遺産分割協議の効力については争いがあります。

 

 

(2)遺産分割協議をする時期

 

 遺産分割協議は遅くとも四十九日頃には始め、相続税の申告期限(10ヶ月以内)を目標に遺産分割協議の結果を出します。その際にはお墓をどうするのかについても話し合います。  

 

ポイ ント 詳しくは 》遺産分割協議の進め方 をご覧ください。

 

 

STEP step4 被相続人の「所得税の準確定申告」

 

 相続があったことを知った日の翌日から「4か月以内」に被相続人の「所得税の準確定申告・納税」を行います。相続人が被相続人に代わって行います。

 

 

STEP step5 相続税の申告・納税

 

 相続税の申告・納税は10ヶ月以内です。相続税が発生する場合には、この一連の作業を「10ヶ月以内」に完了しなければなりません。

 

 申告書は、相続人全員共同で1通の申告書を、被相続人の住所地の税務署に提出します。

 

注意事 項 この間に遺産分割協議がまとまらないときは、とりあえず「法定相続分」で分割したものとして、各相続人が申告・納税します。(申告期限後5年以内の分割見込書を提出します)

 

注意事 項 相続税の申告期限から5年(*)以内に遺産分割し「更正の請求」をすれば還付を受けることができます。ただし、相続税の「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」は受けられません

 

* 平成23年12月2日以後に期限を迎えるものから

 

Q 受遺者が相続人以外の場合 「遺贈」は贈与税?相続税? 

A 相続税です。だだし、相続税は2割加算です。

 

注意事 項 相続税の「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」の適用により相続税がかからなくなる場合でも相続税の申告は必要です。

 

 

STEP step6 各種の名義変更手続き

 

(1)不動産の相続登記

 

 遺産分割協議確定後、遺産分割協議書に各相続人の印鑑証明を添えて相続登記申請を行います。(共有の登記は 遺産分割前に相続人全員でをすることができます。) 

 祖父から父へ等、代替わりのときに不動産の名義変更をしていなかった場合は「二段階の相続手続き」が必要になります。その場合、叔父、叔母、いとこ等、第一段階の相続人に事情を説明して協力をお願いする必要があります。理詰めで説得しようとせず、頭を下げ誠実にお願いをするのがスムーズにいくポイントです。

 

ポイ ント 詳しくは、 》「不動産の名義変更の仕方」 をご覧ください

 

 

(2)預貯金の払い戻し

 

 預貯金の払い戻しは、遺産分割協議書に各相続人の印鑑証明を添えて行います。

 

ポイ ント 詳しくは、 》預貯の名義変更(預金相続)の仕方 をご覧ください

 

 

(3)自動車名義変更

 

ポイ ント 詳しくは、 》「自動車の名義変更の仕方」 をご覧ください

 

 

(4)連帯保証人の解消

 

 被相続人が中小企業の経営者で、会社の連帯保証人となっているときは、別の保証人を立てるなどして解消します。

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