相続の放棄・辞退の方法

□ 相続を放棄・辞退等する方法には、①家庭裁判所に申述書を提出する「相続放棄」のほかに、②遺産分割協議書に「相続分なし」と記載する方法(「相続分の放棄」)、③「相続分のないことの証明書」により事実上の相続放棄を行い、不動産の登記手続きをする方法があります。その他に、④「相続分譲渡」、⑤「遺言」で特定の相続人に一切相続させないことにする方法があります。

 

□ 遺産分割協議書に「相続分なし」と記載する「相続分の放棄」や「相続分のないことの証明書」による事実上の相続放棄、あるいは相続分譲渡」をしても、債務は法定相続分に応じて引き継ぐことになります。債務を引き継がないためには「相続放棄」をすることが必要です。

 

注意事 項  相続放棄の申し立て期限は、相続があったことを知ったときから3ヵ月です。ただし、3か月を過ぎてから負債があることが分かった場合は、債務の存在を知ったときから3か月以内、死亡のときから10年以内です。

 

注意事 項  相続財産を処分すると、相続放棄・限定承認はできなくなります。


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埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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ポイント 関連情報 

 

➤ 相続の放棄・辞退の方法 

➤ 相続放棄の手続き

➤ 相続放棄

➤ 限定承認

➤ 単純承認

➤ 財産分離

➤ 相続分の譲渡  

➤ 相続分なきことの証明書

1. 「相続放棄」(家庭裁判所に申述書を提出します)

 

□ 別掲 》相続放棄 をご覧ください

 

 

2. 「相続分の放棄」遺産分割協議書に「相続分なし」と記載します)

 

(1) 遺産分割協議書に「特定の相続人がすべてを相続する」旨記載します。 

 特定の相続人だけに遺産を集中したい場合は、「相続放棄」をしないで、遺産分割の際に意思表示する「相続分の放棄」を選択した方がよい場合があります。 

 特定の相続人が相続財産を何ももらわないという遺産分割協議書も有効とされています。

 

 

(2)「相続放棄」をしないで「相続分の放棄」を選択した方がよい場合

 

① 遺産分割の話し合いで、たとえば家業を継ぐ者にすべてを相続させることに決めて他の相続人が誰も自分の相続分を主張しなければ(遺産分割協議書に、例えば「家業を継ぐ者がすべてを相続する」旨記載する)、後継者は「遺産分割協議書」で登記や預金の名義変更等ができます。

 

② 相続人が妻と子だけで被相続人の きょうだい (代襲相続の甥・姪を含む)がいる場合に妻にすべてを相続させたいときは、子は「相続放棄」してはいけません。遺産分割の際「相続分の放棄」の意思表示をする必要があります。

 仮に、子が「相続放棄」したとすると、被相続人の きょうだい (代襲相続の甥・姪を含む)のところに4分の1がいってしまいます。

 「相続分の放棄」は、具体的には遺産分割協議書に「母がすべてを相続する」旨記載します。

 

③ 子どものいない夫婦の場合、夫の義父母に「相続放棄」してもらっても、夫に きょうだい がいると、夫の きょうだい が相続人に繰り上がります。

 子どものいない夫婦で夫に きょうだい がいる場合は、義父母には「相続放棄」ではなく「相続分の放棄」してもらう必要があります。

 

④ 遺産分割協議後、新たな相続人が現れる可能性のあるときは、「相続放棄」はしないで「相続分の放棄」を選択した方がよい場合があります(遺産分割協議書に「特定の相続人がすべてを相続する」旨記載する)。

 

 注意事 項  注意すべき点として、「相続分を放棄」しても、「相続放棄」と異なり、債務は、法定相続分の範囲で弁済しなければならないことがあげられます。 

 

 

3. 相続分のないことの証明書(相続分皆無証明書)」による事実上の相続放棄

 

 「相続分のないことの証明書」とは、相続財産があるにもかかわらず「事実上の相続放棄」をする書類です。

 「相続分のないことの証明書」があれば不動産の相続放棄ができるため、煩瑣な遺産分割協議や相続放棄の手続きをとることなく、事実上の相続放棄をすることできます。

 

注意事 項  注意すべき点として、相続分のないことの証明書」で相続分を放棄しても、「相続放棄」と異なり、債務は法定相続分の範囲で弁済しなければならない点が挙げられます。

 

□ 詳しくは、》相続分のないことの証明書 をご覧ください。

 

 

4. 相続分譲渡

 

 相続開始後、遺産分割までの間に、その相続分を他の相続人又は第三者に、有償無償を問わず譲渡できます。 

 相続分譲渡は「相続人たる地位の譲渡」であり、個々の財産の持ち分の譲渡ではありません。

 

□ 詳しくは、》相続分譲渡 をご覧ください。

 

 

5. 遺言で、特定の相続人に一切相続させない方法

 

 遺言で、特定の相続人に一切相続させない方法は、遺言で全財産を他の相続人等に相続または遺贈します。

 そのうえで、 被相続人の生存中に、一切相続させないこととする相続人に「遺留分を放棄」してもらいます。なお、「遺留分の放棄」は家庭裁判所の許可が必要です。

 

 注意事 項  注意すべき点として、遺産分割協議書に「相続分なし」と記載する「相続分の放棄」をしても、「相続分のないことの証明書」による事実上の相続放棄をしても、相続分譲渡」をしても、「相続放棄」と異なり、債務は法定相続分に応じて引き継ぎ、法定相続分の範囲で弁済しなければならないことがあげられます。

 

 

6. 遺贈の放棄

 

 「特定遺贈の放棄」は、遺言者の死後、他の相続人や、遺言執行者に通知するだけです。 

 

※ 「包括遺贈の放棄」は、「相続放棄」と同じ手続きが必要です。


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