特別縁故者~相続人が誰もいないときの財産分与制度~

□ 相続人が誰もいない場合は、特別縁故者として認められれば、内縁の妻などは財産を受け取ることができます。

□ 「特別縁故者」とは、相続人が不存在で遺言書もない場合、被相続人と特別に縁故のあった者(本来の相続人以外)に特別に財産を分け与える制度です。

□ 特別縁故者として遺産を取得しようとする者は、「債権者、受遺者に対する公告」から3か月以内に、家庭裁判所に対し残余財産分与の申し立てをすることができます(特別縁故者であっても家庭裁判所に申し立てをしないと財産はもらえません)。

 申し立て費用とは別に予納金(相続財産管理人になる弁護士の費用等)が100万円程度必要です。

 

□ 相続人がいない財産は、最終的に国の財産になります。

 

□ 民法改正により、相続人不存在の相続財産の清算手続の見直しが行われました(令和5年4月1日施行)

 

現行民法では、相続人のあることが明らかでない場合における相続財産の清算手続において、①相続財産管理人の選任の公告、②相続債権者等に対する請求の申出をすべき旨の公告、③相続人捜索の公告を、順に行うこととしているが、それぞれの公告手続を同時にすることができない結果、権利関係の確定に最低でも10か月間を要するなど、 相続財産の清算に要する期間が長期化し、必要以上に手続が重くなっています。

 

民法改正により、 選任の公告と相続人捜索の公告を統合して一つの公告で同時に行うとともに、これと並行して、相続債権者等に対する請求の申出をすべき旨の公告を行うことが可能となり(新民法952Ⅱ、957Ⅰ)、 権利関係の確定に最低必要な期間が合計6か月へと短縮されます。 あわせて、その職務の内容に照らして、相続人のあることが明らかでない場合における「相続財産の管理人」の名称が「相続財産の清算人」に改正されました。

行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

似顔絵

1. 特別縁故者への財産分与制度

 

 特別縁故者への財産分与制度とは、相続人がいなくて遺言書もない場合に、本来の相続人ではないが被相続人と特別に縁故のあった者に、特別に財産を分け与える制度です。

 これにより財産を取得する者を「特別縁故者」といいます。

 

 特別縁故者の主な例としては、内縁の配偶者、連れ子、亡くなった長男の嫁があります。ほかに、施設などの法人や他人の場合もあります。 

 

2. 特別縁故者の申し立て

 

 特別縁故者として遺産を取得しようとする者は、「債権者、受遺者に対する公告」があった日から3か月以内に、家庭裁判所に対し、残余財産分与の申し立て(財産分与請求の審判の申し立て)をすることが必要です。特別縁故者であっても申し立てをしないと財産を取得することはできません。 

 

3. 申し立てができる者

 

① 被相続人と生計を同じくしていた者  

 長年連れ添ってきた内縁の配偶者、連れ子、養子縁組はしていないが実の子のようにされていた者、亡くなった長男の嫁など。

 

② 被相続人の療養看護につとめた者  

 長期間にわたって被相続人の世話や看護をしてきた親戚や知人など。通常の業務以外に日常の介護や入退院の手続き、葬儀の世話などをした施設などのケースもあります。

 

③ その他被相続人と特別の縁故があった者  

 被相続人から遺産を贈られた受遺者、被相続人にお金を貸してある債権者

 

④ 検察官 

 

4. 特別縁故者への財産分与の流れ

 

手順 1 利害関係者(*)や検察官が、家庭裁判所に相続財産管理人」の選任の申し立て相続人の分らない相続財産がある旨の申し立て)をします 

 

* 利害関係者とは、被相続人と特別の縁故があった者及び、被相続人から遺産を贈られた受遺者、被相続人にお金を貸してある債権者などを指します。

 

※ 相続財産管理人選任には、相続財産が少ない場合は、申し立て費用とは別に予納金(相続財産管理人選任等の費用)が数十万円~100万円程度必要です。

 

 矢印

 

手順 2 家庭裁判所が、「相続財産管理人」選任の公告をします 

 

矢印 

 

手順 3 債権者、受遺者に対する公告」

 

 相続財産管理人は、相続人が現れないときは、特別の縁故があった者、被相続人にお金を貸してある債権者、被相続人から遺産を贈られた受遺者は申し立てをするよう、「債権者、受遺者に対する公告」を行い、債権者や遺言で財産をもらう人がいないか確認します。 

 

 矢印   

 

手順 4  特別縁故者として遺産を取得しようとする者は、債権者、受遺者に対する公告」から3か月以内に、家庭裁判所に対し財産分与請求の審判の申し立て(特別の縁故があった旨等の申し立て)をする必要があります。

 

※ 特別縁故者であっても、家庭裁判所に残余財産分与の申し立てをしない限り遺産は取得できません。  

 

 申し立てが認められれば、審判に従って特別縁故者への財産分与がなされます。 

 

「相続人捜索の公告」 

 家庭裁判所は、相続財産管理人又は検察官の請求により、6か月を下回らない期間を定めて、最終的な相続人捜索の公告をおこないます。

 相続財産管理人は、公告後6か月間、相続財産を保存・管理しながら、

相続人が名乗り出るのを待ちます。

 

 この期間が満了すると、相続人の不存在が確定します。  

 

矢印

 

手順 5 特別の縁故があった者、債権者、受遺者に「相続人不存在確認のお知らせ」があります。 

 

4. もらえる財産について

 

 特別縁故者にあたるかどうかは最終的に家庭裁判所の判断によります。

 いくらもらえるかは、関係の深さや、縁故者の生活状況、財産の内容などを考慮し、家庭裁判所がその裁量により決定します。もらうまでに10か月以上かかります。 

 

5. その他

 

 亡くなったあと、特別の縁故があった者が、事実上の管理者として、とりあえず遺品の整理を行う場合は、メモを残しておきましょう。あとは、「相続財産管理人」に任せます。

 

 共有不動産の被相続人の持ち分については、共有者が取得します。