□ 相続人が先に亡くなっていた場合、その子どもに権利が受け継がれます。(代襲相続)
□ 代襲相続とは、被相続人の子ども又は兄弟姉妹が、相続の開始以前に死亡により相続権を失ったとき、被相続人の子ども又は兄弟姉妹の子どもが代わって相続人になることをといいます。
□ 代襲相続は、相続人(予定者)が「相続欠格」や「相続人廃除」となったときも適用されます。
□ 相続放棄したときは代襲相続はありません。
□ 数次相続とは、被相続人が死亡し相続が開始したが、被相続人の「遺産分割協議前」に相続人が死亡し、新たな相続(二次相続)が開始した状態をいいます。
□ 代襲相続と数次相続との違いは、亡くなった順番の違いによります。代襲相続は、子が親より先に死んでしまった場合です。数次相続は、親が死亡し相続が開始したが、「遺産分割協議前」に子が死亡した場合です。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 代襲相続と数次相続
(1)代襲相続
代襲相続とは、被相続人(死亡した人)の「子ども又は兄弟姉妹」(被代襲者)が、相続の開始以前に死亡、または「相続欠格」・「相続人廃除」により相続権を失ったとき、「被相続人の子ども又は兄弟姉妹」の子どもが代わって相続人になることをといいます。
代襲権者について更に代襲原因が生じた場合、その者の子どもが代襲します。被相続人(死亡した人)の子の場合は、孫、ひこ孫、玄孫とどこまでも続きます。 これを再代襲相続といいます。代襲原因の前後は問わないとされています。
親と子どもが同一事故で死亡した場合は、子どもに代襲相続が生ずるとされています。
(2)数次相続
数次相続とは、被相続人が死亡し相続が開始したが、被相続人の「遺産分割協議前」に相続人が死亡し、新たな相続(二次相続)が開始した状態をいいます。
数次相続の場合、「一次相続の相続人(二次相続の被相続人)の地位」を、「二次相続の相続人」が引き継ぎます。
数次相続の場合、二次相続の相続人に被相続人の孫だけでなく一次相続の相続人(二次相続の被相続人)の配偶者がいるときは、孫だけでなくその配偶者も一次相続の相続人となります(法定相続分は配偶者と孫を合わせて1名分です)。 二次相続の相続人が孫だけの場合は、数次相続の場合も孫の法定相続分は代襲相続と同じとなります。
(3)代襲相続と数次相続
代襲相続と数次相続との違いは、亡くなった順番の違いによります。
代襲相続は、親が死んで子が相続人となるはずが、子が親より先に死んでしまってすでにこの世にいない場合です。
数次相続は、親が死亡し相続が開始したが、「遺産分割協議前」に子が死亡した場合です。
2. 代襲相続の発生原因
代襲相続ができるのは以下の三つに限定されています。
① 本来の相続人が「死亡」した。
② 本来の相続人が「相続人廃除」になった。
③ 本来の相続人が「相続欠格」になった。
※ 本来の相続人(被代襲者)が「相続放棄」した場合は、代襲相続できません。
3. 代襲相続人
(1) 子
① 被相続人(死亡した人)の子の場合は、孫、ひこ孫、玄孫とどこまでも続きます。 これを再代襲相続といいます。
② 「胎児」は、相続欠格、相続人廃除審判のときまだ生まれていなくても、「相続開始時に生まれていればよい」とされています。
③ 「本来の相続人(被代襲者)が相続放棄」した場合はその者の子は代襲相続できません。
④ 被相続人の養子の連れ子(養子縁組をする前に生まれた子)がいる場合は、被相続人と養子の連れ子には血族関係がないため、養子の連れ子には代襲相続権はありません。
(2) 兄弟姉妹の子
兄弟姉妹の子(姪・甥)も代襲相続できますが、「姪・甥の子」には代襲相続権はありません。
4. 代襲者の相続分
① 代襲者の相続分は、「被代襲者(本来の相続人)と同じ」です。
② 代襲相続人たる子、兄弟姉妹が複数人いる場合は人数に応じて均等に分割します。
③ 「孫を養子にしていた場合」、孫は子としての相続分と代襲相続分を合算して相続します。
5. 遺贈と代襲相続
① 「遺贈」は、民法994条で、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力は生じないとされていることから、代襲相続はできません。
② 「相続させる」遺言による法定相続人に対する遺贈も、遺言者の死亡以前に相続させるべき者が死亡したときは、その効力は生じないとされています。
※ 代襲者に相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り代襲相続はできないととされている。 財産は相続財産となり、相続人に帰属します。 代襲者に相続させる旨の遺言書を残していれば、代襲相続できる。
6. 遺留分権と代襲相続
遺留分権も代襲相続できるとされています。
7. 数字相続と再転相続
代襲相続・数次相続と似て異なるものとして再転相続があります。
再転相続とは、法定相続人が、熟慮期間中(被相続人が亡くなったときから3か月以内)に、相続の承認または放棄を行わないまま死亡した場合に、その法定相続人の相続人が、第1の相続の承認・放棄する権利を承継取得することをいいます(第2の相続)。
数次相続は、第1の相続の法定相続人が、熟慮期間経過後、遺産分割をする前に亡くなった場合を言うのに対し、再転相続は、第1の相続の法定相続人が、承認か放棄の選択をしないまま、第1の相続の熟慮期間中に亡くなった場合をいいます。