尊厳死宣言

□ 尊厳死とは、回復の見込みのない末期状態になった患者が、自分の意思により、単に死期を延ばすためだけにしか機能しない生命維持治療を差し控え又は中止し、人間としての尊厳を保ちつつ、自然な形で死を迎えることをいいます。

 

□ 公証人に関与していただく「尊厳死宣言書」の作成方法として、「公正証書(事実実験公正証書)で作成」する方法と、「私署証書の認証」で作る方法とがあります。


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 安楽死と尊厳死 

 

□ 超高齢社会、多死社会を迎え、終末期の医療の在り方、延命措置の是非が社会的議論となっています。

 

□ 尊厳死とは、傷病により回復の見込みのない末期状態になった患者が、自分の意思により、単に死期を延ばすためだけにしか機能しない生命維持治療を差し控え又は中止し、人間としての尊厳を保ちつつ自然な形で死を迎えることをいいます。

 具体的には胃瘻(いろう;口から食べられなくなったとき、胃に穴をあけ直接栄養分を入れる)や栄養剤の点滴など、延命措置を施すことなく自然な形で死を迎えます。

 

□ 一方、安楽死も回復の見込みのない末期状態の患者が対象であることは同じですが、患者の意思が不明な場合も含め、耐え難い身体的、精神的苦痛から解放し、安らかな死を迎えさせることをいう、とされています。

 その方法も、生命維持治療の差し控え又は中止にとどまらず、死に至らしめる処置を行うことも含む、とされています。 

 

□ 回復の見込みのない末期状態の患者が、「単に死期を延ばすためだけの生命維持治療を断る」という意思を、生前に文書にした「事前指示書」が尊厳死宣言書です。

 このような「事前指示書」は、日本では法制化されていないため、法的拘束力はありません。尊厳死を認めるか否かは最終的には医師の判断によります。尊厳死宣言書を作成したからといって、必ず尊厳死が実現できるとは限りません。

 

ポイン ト 尊厳死は、同意殺人などの犯罪に該当せず、民事上の賠償責任も生じないとされています。

 

 ※ 患者を身体的、精神的苦痛から解放するためとはいえ、故意に死に至らしめる処置を行うこと、すなはち積極的安楽死は日本では法律的に認められていません。

 

 

2. 尊厳死が認められるためには

 

□ 死期が迫っており、人工呼吸器などの延命措置を施しても、死期を延ばすことはできても医学的に治癒する見込みがない、という条件が必要です。

 

 

3. 尊厳死宣言の方法

 

(1)リビング・ウィルとは

 

□ 尊厳死の制度は、1926年にアメリカのカリフォルニア州で初めて法制化されたリビング・ウィルの制度に由来します。 

 

 リビング・ウィルとは、患者の自己決定権に基づく治療上の事前指示です。すなはち、意思表明できなくなった場合に備え、末期状態での生命維持治療の差し控え、中止を指示する文書をいいます。 

 

 一般社団法人日本尊厳死協会では、尊厳死の普及を目的として「尊厳死の宣言書」(リビング・ウィル)の書式を公開しており、尊厳死宣言の登録・保管を行っています。

 

(2) 公証人に関与していただく尊厳死宣言書

 

□ 公正証書(事実実験公正証書)で作成する方法と、私署証書の認証で作る方法とがあります。 

 

① 「公正証書(事実実験公正証書)で作成」する方法

 

□ 公証人に文案を作成してもらう方法です。 

□ この方式で作成する宣言書は、家族の了解書とそれぞれの印鑑証明書の添付が必要です。

□ 標準的な条項によれば、この方式で作成する宣言書は、持続的植物状態に陥った場合の生命維持装置の取りやめを含んでいません。また、延命治療を中止するには二名以上の医師の一致した診断が必要です。 

 

② 私署証書の認証で作る方法

 

ポイン ト 私署証書の認証とは、公証人が、本人が宣言書を作成したことを公の機関として証明する制度です。

 

□ 宣言書に署名や押印があるだけでは本当に本人が署名や押印したかどうか分からない、といった疑問が生じないよう、公証人が公の機関として証明するものです。 

□ 私署証書の認証で作成するには、宣言書を公証役場に持参し、証書の署名・押印について公証人の認証を受けます。 

□ 署名認証の種類には、面前認証、自認認証、代理認証があります。 

※ 私署証書の認証では、公証人は宣言書の内容についてはタッチしません。

 

4. その他関連情報

 

 延命治療を中止した医師の責任について、違法性なしの要件が、1995.3.28東海大学病院安楽死事件で判示されています。(横浜地裁)



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