任意後見

□ 認知症になると、入所施設にお金を払おうと思っても、家族でも、原則として親の預金は引き出せなくなります。

 空き家の増加が社会問題になっていますが、認知症になると、子どもでも親名義の家は処分できなくなることがあります。

 

□ 認知症などにより判断能力が低下する事態に備え、頭のしっかりしているうちに行える対策として「任意後見」があります。 

 任意後見とは、認知症などに備え、あらかじめ財産管理、金融機関との取り引き(年金の受け取り など)、療養看護の手配(介護サービスの利用契約・支払い など)などの事務手続きを頼んでおく契約です。元気でしっかりしているうちに家族と「任意後見契約」を結んでおけば安心です。

 一人暮らしの高齢者や子どものいないご夫婦で相手が先に逝ってしまったケースは、特に任意後見契約が必要です。

 

□ 任意後見を開始する前は、いつでも公証人の認証をうけた書面により契約を解除できます。

 

□ 法定後見では親族が自ら後見人になりたいと望んでも、預貯金が1200万円以上あると弁護士等が後見人に選任されるかあるいは、弁護士等が後見監督人としてつけられることが多いと言われています。任意後見は、法定後見の課題であった「本人の意思」「選任までの時間」の問題を解決できます。

 

□ 任意後見の費用としては公証役場に3~4万円。任意後見人の報酬は、自分の子どもなどの親族に頼めば無料、専門家の場合、月額1~5万円と言われています。また、「任意後見監督人の報酬の額」 は、東京家庭裁判所の「成年後見人等の報酬額のめやす」によると、管理財産額が5000万円以下では月額1万円~2万円、5000万円を超えると月額2万5000円~3万円とされています。( 出典:日本公証人連合会HP Q&A遺言・信託 任意後見の実務)

 

□ 財産管理を他人に頼んでおく方法としては、①任意後見契約、②財産管理委任契約、③家族信託、④遺言信託、⑤遺言(負担付遺贈) などがあります。それぞれの長短を比較し、組み合わせるなどして活用されることをおすすめします。

注意事 項 以下のような成年後見制度の改正が平成28年4月、参議院本会議で可決成立しました。 

1. 後見人の権限の範囲を広げ、請求書などの郵便物を直接受け取って開封し中を見ることができることを明確にする。 

2. 利用者の死亡後も、相続人に引き継ぐまで財産の保存、債務の弁済をしたり、家裁の許可を得て、埋葬の契約をできるようにする。  

3. 後見人の不正防止策や、医療面で「同意」できる範囲を明確にするように、3年以内に法整備をする。


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 任意後見契約とは

 

 任意後見契約とは、認知症などに備え、あらかじめ財産管理、金融機関との取り引き(年金の受け取り など)、療養看護の手配(介護サービスの利用契約・支払い など)などの事務手続きを頼んでおく契約です。

 任意後見人(任意後見受任者)等は、本人の判断能力がおとろえ、不十分になったら、家庭裁判所に対し、「任意後見監督人」を選任してほしい旨の審判を申し出ます。申立てをすることができるのは、本人・配偶者・四親等内の親族・任意後見受任者です。家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任すると「任意後見人」が支援を開始します。 

 元気でしっかりしているうちに家族と「任意後見契約」を結んでおけば安心です。

 一人暮らしの高齢者や子どものいないご夫婦で相手が先に逝ってしまったケースは、特に任意後見契約が必要です。

 

 

2. 任意後見契約を結ぶことができる方(委任者=本人)

 

 任意後見契約を結ぶことができるのは、判断能力がしっかりしている人に限られます。 

 以前に比べ忘れっぽくなったという法定後見の「補助」や「保佐」(*)の対象となる者でも、判断能力のおとろえの程度が軽く、まだ契約締結の能力がある場合は、任意後見契約を締結することができます。

 契約締結の能力があるかどうかは、医師の診断書、関係者の供述等を参考にして判断されます。

 

 * 「保佐」は、判断能力が著しく不十分で、日常の買い物程度はできるが重要な契約などはサポートが必要な人が対象です。

 

 

注意事 項 既に認知症の症状が出てきている場合は、法定後見の制度を利用した方が無難です。

 

 

3. 任意後見契約で任意後見人に頼めること 

 

 任意後見人に頼めることとしては、①財産の維持・管理、②療養・看護、介護、生活面に必要な手配があります。

 実際の委任契約にあたっては、任意後見人に頼むこと(支援事務=委任事項)が法務省令で「代理権目録」として定められており、この中から選べばよいようになっています。(1号様式は項目チェック方式、2号様式は自由記入方式です。)

 

注意事 項 契約した後になってから委任事項の範囲を変更することはできません。

 

(1) 財産の維持・管理に関すること

 

 財産の維持・管理は、認知症などにより判断能力が低下し後見が開始した後全面的な財産管理権、代理権を与えることになります。日常生活に関する行為を除き、本人のしたすべての行為を取り消すことができます。

 

① 印鑑、預貯金通帳・カードの保管管理

※ 出し入れが頻繁な預貯金については、名義を「成年被後見人〇〇〇〇後見人〇〇〇〇」とします。

 

② 年金、保険金などの収入の受取りと保管管理

③ 現金、有価証券(株式等)の保管管理

④ 金融機関での預け入れ、引き出し、振り込み 

⑤ 税金や電気、ガス、水道代等公共料金の支払い、家賃、施設利用料、入院費などの支払い、ローンやクレジットの返済

 

⑥ 生活資金捻出のための自宅等不動産など重要な財産の維持・管理及び処分(売買、賃貸借契約の締結・解除) 

 

注意事 項 成年後見人が土地・建物の売却などの処分をするには、家庭裁判所の許可が必要です。

 

⑦ 遺産相続における遺産分割への参加  

 

注意事 項 日用品の買い物は、従前通り本人が行います。 

 

 (2) 療養・看護、介護、生活面の手配に関すること

 

 本人の心身の状態、生活の状況に応じ、配慮する義務があります。

 

① 介護、医療、リハビリの手配に関すること

 要介護認定の申請手続き、審査請求、介護保険を含む福祉サービスの受給・変更手続き。介護施設への入所の手配や契約手続き。介護サービス費用の支払い、介護保険のケアマネージャーとケアプランを作成、介護サービス履行状況のチエック、苦情の申立など。

 入院手続きや入院中、退院時の手続き、入院費用の支払いなど医療関連の手続きや費用の支払い。

   

② 住居の確保に関すること 

③ 生活維持に関すること 

 

注意事 項 掃除、介護、看護などの実際の労働は任意後見人の仕事ではありません。必要な場合は、介護保険制度を利用しヘルパーさんなどにやって頂くか、民間の制度を使って家事代行や介護のサービスを手配します。 

 なお、掃除、介護、看護などの実際の労働については、別途、準委任契約を結び委託するなどして、これを任意後見契約とともに一通の公正証書にすることができます。

 

注意事 項 手術の同意書へのサインは、重大な医療行為にかかわる同意であり、任意後見契約ではできないとされています。 

 

 (3) 同意を要する特約目録について   

 

 任意後見契約の特約として、「居住用不動産の処分など、重要な委任事項については、任意後見人がその事務を行うにあたっては、後見監督人の書面による同意を要する」という特約を付することができます

 

 

4. 任意後見契約と法定後見

 

 任意後見契約の場合、後見人(支援してくれる人)を自分で決められるます。また、将来を見越して事前に準備ができるます。この点で法定後見制度と異なります。 

 また、任意後見人には取消権はありません。本人がした法律行為を取り消すことはできません。 これに対し、法定後見人は、本人が詐欺にあった場合などは、原則として取り消すことができます。

 

 任意後見開始後、被後見人がした法律行為を取り消す必要があるような状況や同意権が必要になった場合、任意後見人は法定後見開始の申し立てをすることができます。これにより、成年後見人等が選任されれば、任意後見契約は終了します。

 

 注意事 項 任意後見契約の場合、被後見人が詐欺や強迫により行った法律行為を取り消すためには、代理権に取消権を入れておく方法があります。

 

 任意後見契約を結んでいた任意後見予定者に関し、法定後見の申し立てがあった場合は任意後見が優先します。 

 

 

5. 任意後見契約の3形態

 

(1) 将来型(本来型)

 

 将来型(本来型)は、判断能力が十分あり、自分のことは自分ですべて出来るうちに契約を結びます。契約締結時には任意後見受任者の支援を受けません。

 判断能力が不十分になったとき、任意後見人(任意後見受任者)などが家庭裁判所に任意後見監督人選任の審判を申し出ることによって後見が開始され、任意後見人の支援を受けます。

 将来型には、本人のおかれた状況によっては、適切な時期に申し立てをするという点で課題があります。

 その解決策としては、見守り契約を合わせて結び、任意後見受任者の定期訪問による健康状態の確認等を受けることが考えられます。 

 また、任意後見受任者が適切な時期に申し立てをすることを義務づけるため、その旨、委任契約に明記することができます。

 そのほか、将来型(本来型)の問題点として、家庭裁判所で「後見監督人」が選任されるまでの間、支援が受けられないということがあります。    

 

(2) 移行型(併用型)

 

 移行型(併用型)は、将来型の欠点を補うために考えられたものです。 

 移行型は、判断能力が十分にあるが、寝たきりなどで身体的に大変な場合などに契約を結びます。

 移行型の契約方法は、任意後見契約の特約として任意代理契約(財産管理の委任契約)を結び、財産管理を委任します。二つの契約は一つの公正証書で作成できます。

 判断能力が低下するまでは、任意代理契約により財産管理や日常取引などを代理してもらい、判断能力の低下した後は任意後見契約に移行し、任意後見人として、「任意後見監督人」の監督のもとで、事務処理を続けてもらういます。

 移行型は、自分の状態に合わせて財産管理を依頼できる点に特長があります。

 任意代理契約に死後事務委任を入れることもできます。 

 

注意事 項 「任意代理契約(財産管理の委任契約)」は、任意後見に開始によって当然には終了しません。したがって、任意後見契約の特約で、任意後見が開始したら財産管理の委任契約(任意代理契約)」終了する旨定めておき、併せて「財産管理の委任契約(任意代理契約)」と任意後見契約の受任者を同じ人にするなどの注意が必要です。

 

 注意事 項 この契約形態は、預金通帳等をみだりに使用し、財産を自己のために費消している例、あるいは、任意後見監督人の選任申し立てをせずに放置していたといった濫用事例があります。  

 

(3) 即効型

 

 即効型は、判断能力の低下が軽度(*)だが、不安があり、今すぐに任意後見人の支援を受けたいときに利用する契約形態です。

 判断能力が衰え始めていると感じはじめた段階で任意後見契約を結び、すぐに効力が生じるよう、任意後見人が家庭裁判所に後見監督人の選任を申し立てます。

 契約締結後直ちに任意後見監督人を選任することにより、当初から任意後見人の支援を受けられます。 

 

* 補助の対象となる状態補助は、判断能力が不十分な人が対象で、日常生活は自分でできるが、不動産や車の売買など重要な行為を一人でするには不安が残る程度の人が対象です。 

 

注意事 項 既に認知症の症状が出てきているときは、法定後見の制度を利用した方が無難です。  

 

(任意後見契約の支援の開始時期  

 

 任意後見契約の支援がスタートするのは、「将来型」は、判断能力が低下したときからです。それまでは、預貯金通帳を後見人に渡すわけではありません。任意後見人の報酬もスタートしてからになります。

 

 「移行型」は、判断能力が十分にあるうちからスタートする契約形態です。 

 

 「即効型」は判断能力が衰え始めていると感じはじめた段階で任意後見契約を結び、すぐに効力が生じる契約形態です。 

 

 

6. 任意後見人(受任者=援助者)

 

(1) 任意後見人に誰を頼むか

  

 任意後見人に誰を頼むかは本人の自由です。自由に選び、依頼しておくことができます。

 

 任意後見人としてお願いする人は、まじめで責任感が強く、家計簿程度の事務的な作業ができ、ある程度時間的に余裕のある人が望ましいと言われています。。

 

 ご夫婦でお互いに任意後見人になり合う方法もあります。その場合、任意後見人は複数指定することができるので、もう1人専門家にお願いすれば、どちらかが先に亡くなっても残された人は安心です。

 

注意事 項 親族を後見人にする場合は「財産を狙いではないか」と勘ぐられたりすることのないよう、ほかの相続人にも話をしておくことをおすすめします。

 

注意事 項 子どものいない夫婦が一人になったときや、一人暮らしの高齢者が第三者を任意後見人にお願いする場合は、お葬式など亡くなった後に必要な事務作業をやっていただくため、「死後事務委任契約」を結んでおくことをおすすめします。 

 

(2) 任意後見人(受任者)の不適格事由

 

(ア)①未成年者 

   ②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人 

   ③破産者 

   ④行方の知れない者  

 

(イ)委任者に対し訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族 

 

(ウ)委任者の財産を無断で処分した、あるいは自己の財産と混合した等、不正な行為がある者、犯罪を犯し処罰される等、著しい不行跡がある者、その他、後見監督人の指示・監督に従わない可能性が高い者など任意後見人の任務に適しない事由がある者。   

 

(3) 予備的任意後見人 

 

 受任者が死亡又は病気などにより職務遂行ができなくなった場合に備えて、予備的に他の者を定めておくことはできません。  

 そうした場合は、二名を同順位の単独代理の受任者とし、予備的受任者は他の受任者が職務遂行が不可能又は困難となったときには任意後見監督人の選任を請求すべき、と定めます。

 

 

 7. 任意後見人をチェックする「任意後見監督人」

 

 任意後見人の仕事をチェックする仕組みとしては、任意後見監督人が任意後見人の仕事が適正になされているかチェックするとともに、家庭裁判所も間接的にチェックする仕組みになっています。「任意後見監督人」は家庭裁判所が選任します。

 実務としては、監督というより、後見人に指導・助言することが主な任務です。

 

① 認知症等で判断能力が不十分になったときは、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見人(受任者)は、任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申し立てなければなりません。 

 

② 申し立てにより、家庭裁判所は後見人を監督する「任意後見監督人」を選任します。そのときから、任意後見契約の効力が生じ、任意後見人は代理権を行使できます。

 

③ 予め、自分で信頼できる「後見監督人(候補者)」を選んでおくこともできます。 

 

④ 「居住用不動産の処分など重要な事項については、個別にその都度、任意後見監督人の書面による同意を必要とする」と定めることもできます。

 

 

8. 任意後見契約に必要な費用

 

(1) 公正証書作成時の費用

 

① 公正証書作成基本手数料  11,000円

② 登記嘱託手数料        1,400円

③ 登記所に納付する印紙代    2,600円

④ 本人等に交付する正本等の証書代、登記嘱託書郵送用切手代など

 

 当事務所(行政書士)による任意後見契約サポート(起案、公証人との打ち合わせ、同役場への同行等) 21,600円~ 

 

(2) 任意後見人の報酬 

 

 任意後見人の報酬の額に基準はありません。依頼される方との話し合いで決め、費用の負担者、支払い方法と合わせ契約に定めます。

 

 自分の子、きょうだい、配偶者、親、甥・姪などの親族は無料、専門家は月額1~3万円が相場と言われています。無報酬の場合には、遺言でより多くの財産を遺贈するなどの配慮も必要でしょう。

 

 東京家庭裁判所の「成年後見人等の報酬額のめやす」によると、成年後見人が通常の後見事務を行った場合の報酬は、月額2万円がめやすとされております。

 

 管理財産額が1000万円~5000万円までは、月額3万円~4万円、5000万円を超えると月額5万円~6万円( 出典:日本公証人連合会HP Q&A遺言・信託 任意後見の実務) 

 

※ 定額報酬以外の報酬を決める場合もあります。

 

 任意後見契約がスタートするのは、判断能力が低下したときからです。任意後見人の報酬は判断能力が低下してから発生します。

 

 任意後見人の報酬の定めをした場合には、任意後見事務の処理に必要な費用のほか報酬も本人の財産の中から支出されることになります。 

 

(3) 任意後見監督人の報酬

 

 任意後見監督人には本人の財産の中から報酬を払います。額は家庭裁判所が決めます。

 

 東京家庭裁判所の「成年後見人等の報酬額のめやす」によると、成年後見監督人の報酬のめやすは、管理財産額が5000万円以下では月額1万円~2万円、5000万円を超えると月額2万5000円~3万円とされています。

( 出典:日本公証人連合会HP Q&A遺言・信託 任意後見の実務)  

 

 (4) 任意後見事務の処理に必要な費用

 

 任意後見事務の処理に必要な費用は、管理する本人の財産から出すことになります。

 

 

9. 任意後見契約の登記

 

 任意後見契約を結んだとき任意後見監督人が選任されたときには法務局で登記されます。

 任意後見人は氏名や代理権の範囲を記載した「登記事項証明書」の交付を受け、自己の代理権を証明することができます。

 

□ 登記される事項 

■ 任意後見契約を結んだとき;本人、任意後見受任者、代理権の範囲 

■ 任意後見監督人の選任後 ;本人、任意後見人、任意後見監督人、代理権の範囲

 

 本人に代わり各種の手続きをするときは「登記事項証明書」を提示して代理権を証明します。 

 

 

10. 任意後見契約の解除・変更、支援の終了

 

(1) 任意後見契約の解除

 

 「任意後見を開始する前」は、いつでも公証人の認証をうけた書面により契約を解除できます。 解除の意思表示をした書面に公証人の認証を受け、内容証明郵便を相手方に送付し通告する必要があります。

 

 「後見の開始後」は、本人、任意後見人とも、正当な事由(任意後見人の病気などで事務の遂行が困難等)がないかぎり、契約を取り消すことはできません。 なお、取り消しは家庭裁判所の許可が必要です。 

 

(2) 任意後見契約の変更

 

ア、代理権の範囲の変更(増やす)

① 契約を解除して改めて契約する

② 新たに代理権を加える旨の任意後見契約を結ぶ

 

イ、代理権の範囲の変更(減らす)

  契約を解除して改めて契約する

 

ウ、報酬額の変更

  変更契約(公正証書)を結ぶ。

 

注意事 項 「後見の開始後」は、本人、任意後見人とも、正当な事由がないかぎり、契約を変更することはできません。  

 

(3) 支援の終了

 

 頼んだ本人(委任者)、援助者(任意後見受任者)のどちらかが死亡すると契約は終了します。

 

 

11. 任意後見契約の不十分な点を補うもの

 

 任意後見契約の不十分な点を補うものとして、財産管理の委任契約(任意代理契約、見守り契約、遺言、死後の事務委任契約があります。 

 

(1 財産管理の委任契約(任意代理契約)

 

 財産管理委任契約(任意代理契約)は、判断能力は問題ないが寝たきりなどで身体的に大変な場合に、財産管理や日常取引などを代理してもらう契約です。

 任意後見契約の特約として財産管理の委任をすれば、後見開始前に、すぐに財産管理や日常取引などを代理してもらうこともできます。 

 

□ 詳しくは、》財産管理委任契約 をご覧ください。

 

(2)見守り契約 

 

 任意後見契約の問題点として、契約を結んでいても、認知症の進行などによる判断能力の低下に本人が気付かず、家庭裁判所への「任意後見監督人」選任の申し立てがなされないことがある、という点があります。

 この問題を解決するため、任意後見開始時期の判断を頼む契約を見守り契約と呼びます。

 見守り契約は任意後見契約と同時に結ぶことが望ましいとされています。

 

□ 詳しくは、》見守り契約 をご覧ください。

 

3)遺言

 

 後見人の仕事は本人が死亡した時点で終了します。相続に関すること、相続以外の財産処分に関すること等については遺言が必要です。

  また、死後事務委任契約で各種の費用の支払いを依頼する場合で、遺産から支払うときは遺言が必要になります。 

 

(4)死後事務委任契約

 

 後見人の仕事は本人が死亡した時点で終了します。自分が亡くなったあとの葬儀や供養をしてもらいたいのであれば、「死後事務委任契約」を結んでおく必要があります。

 死後事務委任契約は、あらかじめ自分のことをよく知っている友人や知人など「信頼できる人」と締結します。

 

 任意後見契約の「特約」として財産管理の委任をする場合は、契約関係を複雑にしないため、財産管理の受任者に死後事務も依頼し、財産管理の委任契約の特約条項として死後事務の契約内容を含めます。

 

□ 詳しくは、》死後事務委任契約 をご覧ください。  

 

 

12. 社会福祉協議会「日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)

 

 認知症などで判断能力が不十分になったとき、財産管理や生活上の手続きを支援しもらう制度として、成年後見制度のほかに、社会福祉協議会がやっている「日常生活自立支援事業」があります。

 日常生活自立支援事業は、通帳・カードなどの保管や、税金や電気、ガス、水道代等公共料金の支払い、家賃、施設利用料、入院費などの支払い、年金などの収入の受取りなど日常生活のお金の受け払いをやってくれます。

 

① 日常的金銭管理サービス

・年金及び福祉手当の受領に必要な手続き

・医療費を支払う手続き

・税金や社会保険料、公共料金を支払う手続き

・日用品等の代金を支払う手続き

・上記の支払いに伴う預金の払戻、預金の解約、預金の預入れの手続き

② 書類等の預かりサービス(保管できる書類等)

・年金証書

・預貯金の通帳

・権利証契約書類

・保険証書

・実印、銀行印

・その他、実施主体が適当と認めた書類(カードを含む)

③ 福祉サービスの利用援助

・福祉サービスを利用し、または利用をやめるために必要な手続き

・福祉サービスについての苦情解決制度を利用する手続き

・住宅改修、居住家屋の賃借、日常生活上の消費契約及び住民票の届出等の行政手続きに関する援助

・その他福祉サービスの適切な利用のための必要な一連の援助

・福祉サービスの利用料を支払う手続き

 

 

※ 介護保険サービス、病院・施設への入退所契約、等の代理はやってくれません。

 


ポイント 任意後見契約等サポートサービスをご希望の方

 

➤ 任意後見契約作成サポート  

➤ 財産管理委任契約サポート

➤ 死後事務委任契約書作成サポート

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