代償分割を指定し相続させる遺言(遺産分割方法の指定)文例

遺 言 書 

 

第1条 

 私は、分割協議において次のとおり分割するよう分割の方法を指定する。

 ① 別紙1の不動産は、妻〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)が取

  得する。 

 ② 妻〇〇〇〇は、上記①の不動産を取得する代償として、長女 〇〇

  〇〇、二女 〇〇〇〇及び長男 〇〇〇〇それぞれに、別紙1の不動

  産の相続税評価額の12分の1の金額を支払うこと。支払い方法は無利

  息で120回分割払いとし、遺言者の死亡した日の属する月の翌月か

  ら、毎月末日限り支払うこととする。

第2条 

 私は、前条に記載の財産を除き、別紙2の金融資産を含む、私の相続開始時に有する財産のすべてを、妻 〇〇〇〇に4分の3、長女 〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)、二女 〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)及び長男 〇〇〇〇(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)にそれぞれ12分の1の割合で相続させる。 

 

 令和〇〇年〇〇月〇〇日 

 

            (遺言者住所) 

             遺言者   〇〇〇〇  ㊞

 


別紙1

目 録

1 土地              

   所在    〇〇市〇〇町〇〇丁目

   地番    〇〇番〇〇 

   地目    宅地

   地積    〇〇〇.〇〇平方メートル 

2 建物

   所在    〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番地〇〇 

   家屋番号  〇〇番〇〇 

   種類    居宅  

   構造    木造瓦葺二階建

   床面積   一階 〇〇.〇〇平方メートル 

         二階 〇〇.〇〇平方メートル

 

遺言者   〇〇〇〇  印


別紙2

目 録

 

1. 〇〇銀行〇〇支店に対する遺言者名義の定期預金(口座番号〇〇〇

 〇) 

2. 株式会社〇〇の株式  〇〇〇〇〇 株

 

                 

                  遺言者   〇〇〇〇  ㊞


ポイン ト ここが遺言(相続)のポイント

□ 代償分割は、現物は相続人の一人に取得させ、他の相続人には不足分を代償金として金銭で支払う方法です。

 

□ 相続財産が居住する不動産であったり、農地、事業用不動産の場合はこの方法が適しているケースが多いと言えます。 また、不動産など物理的に切り分けることによって価値が下がってしまう場合もこの方法を検討します。

 

□ 代償分割は柔軟な分割をすることができますが、その人に代償金を支払う資力があることが必要です。

 

□ 代償分割の指示

 不動産などを多めに相続させた相続人が他の相続人に現金を払う指示をする場合は、①誰が、②誰に、③何の代償として、④その金額、⑤支払方法、⑥いつまでに支払うか、について記載します。

 

□  代償分割の指示に共同相続人に対する法的拘束力を持たせる 

 代償分割の指示だけでは、共同相続人に対し、代償分割を法的に強制する効力はありません。したがって、相続登記や預金相続などに際し、別途、遺産分割協議書が必要になります。

  代償分割の指示に共同相続人に対する法的拘束力を持たせるためには、「負担(条件)付き相続させる遺言」にする必要があります。

 

□代償分割のデメリット

 遺贈不動産に含み益(取得時からの時価の上昇)がある場合はみなし譲渡所得税が課税され、納税義務者は相続人全員となります。 

 代償分割では「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を使うことができません。

注意事 項  本文例はあくまでも一例です。遺言者のご希望はもとより、推定相続人や遺贈したい人の状況、相続財産の状況などによって遺言文は違ってきます。

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