行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
遺 言 書
第1条 遺言者は、相続開始時に有する財産の全てを、第2条に定める信託の設定を負担として、長男A(令和〇年〇月〇日生)に相続させる。
第2条 遺言者は、この遺言による相続の開始時に、前記Aが満18歳未満のときは、つぎのとおり信託を設定する。
1. 信託の目的 受益者を前記Aとし、その生活の安定を図るため生活資金及び学費の給付を行うこと。
2. 受託者
氏 名 〇〇〇〇
住 所 〇〇県〇〇市〇〇△丁目△番△号
生年月日 〇年〇月〇日
3. 信託期間 受益者の前記Aが満18歳となる日の属する月まで。
4. 信託財産 遺言者の所有する下記金融資産を換価処分し、諸費用等を支払った残金
記
(省 略)
第3条 遺言者は、未成年者である前記Aの未成年後見人として、第2条に定める受託者を指定する。
第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
氏 名 〇〇〇〇
住 所 〇〇県〇〇市〇〇△丁目△番△号
生年月日 〇年〇月〇日
令和〇年〇月〇日
住 所 〇〇県〇〇市〇〇△丁目△番△号
〇〇〇〇 印
ここが遺言(相続)のポイント
□ 自分が死亡したときに未成年である子の援助方法
1. 遺言による信託を設定して未成年の子の支援を依頼する (遺言により信託を設定することを「遺言信託」といいます。)
遺言で、遺言者が死亡したときに子が未成年のときは、受託者は未成年の子のために遺言者の財産を管理・給付・処分をすべき旨の指示をすることができます。
遺言信託をしようとする場合は、遺言作成前に、受託者と信託内容について話し合い、確認しておく必要があります。
2. 自分が死亡することを条件として未成年の子を受益者とする「信託契約」を締結する(「遺言代用信託」)
「信託契約」に遺言のような機能を持たせたものを「遺言代用信託」といいます。
※(ご参考)信託銀行の財産承継信託
信託銀行が財産の管理運用を受託し、被相続人の死後、残された相続人等が安定した生活がおくることができるよう、収益を計画的に渡します。
□ 「遺言信託」とは
信託法の「遺言信託」とは、遺言により信託を設定し、相続開始時に受託者に相続財産を移転し、受益者(信託された財産から利益を受ける者)の為に管理・処分させる遺産の承継方法のことです(信託法3条2号)。
遺言信託によって、遺言で遺産分割をしたうえで、遺産を受取る者が抱える事情に応じた遺産管理の仕組みを設定することができます。
たとえば、財産管理が困難な配偶者又は未成年の子を受益者として、その生活や介護又は扶養や教育のための財産管理(定期的に金銭の給付をする等)を受託者にさせることができます。
□ 遺言信託の効力の発生
遺言による信託の効力は遺言者の死亡により発生します(信託法第4条第2項)。
□ 停止条件付遺言信託(効力発生条件付遺言信託)
停止条件付遺言信託(効力発生条件付遺言信託)は、実現するかどうか未確定な事実が実現したら、遺言信託の効力を発生させるものです。
本文例はあくまでも一例です。遺言者のご希望はもとより、推定相続人や遺贈したい人の状況、相続財産の状況などによって遺言文は違ってきます。
あなたのご遺族のあいだに相続争いが起きにくい遺言書、ご遺族が相続手続きをしやすい遺言書、あなたの思いを実現する最適な遺言書の作成を当事務所がお手伝いいたします。