遺言による一般財団法人の設立について。

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埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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➤遺言で一般財団法人を設立する

遺言執行者 

一般財団法人を設立する遺言文例 

1. 遺言によっても一般財団法人を設立することができます(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第152条2項前段)

 

(遺言に一般財団法人の定款の絶対的記載事項・相対的又は任意的記載事項を定める) 

 

 遺言によって一般財団法人を設立する場合には、遺言者は、遺言に一般財団法人の定款の絶対的記載事項を定めるとともに、相対的又は任意的記載事項を具体的に定めます。

 

 一般社団法人及ぶ一般財団法人に関する法律(平成20年12月1日施行)により、営利を目的としない(剰余金又は残余財産の分配を目的としない)財団については、主務官庁の許可が不要となっています。

 

2. 一般財団法人の定款の絶対的記載事項(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第153条)

 

①目的

②名称

③主たる事務所の所在地

④設立者の氏名又は名称及び住所

⑤設立に際して設立者(設立者が二人以上あるときは、各設立者)が拠出をする財産及びその価額

⑥設立時評議員、設立時理事及び設立時監事の選任に関する事項

⑦設立しようとする一般財団法人が会計監査人設置一般財団法人であるときは、設立時会計監査人の選任に関する事項

⑧評議員の選任及び解任の方法

⑨公告方法

⑩事業年度 

 

※⑥設立時評議員、設立時理事及び設立時監事については、員数だけ定めておき、選任は特定の者に移植することも可能であろう。(出典;NPO法人 遺言・相続リーガルネットワーク( 2017)『改訂 遺言条項例300&ケース別文例集』日本加除出版.183頁)

 

3. 財産の拠出について

 

 遺言で財産の拠出をしたときは、当該財産は、一般財団法人の成立の時から当該一般財団法人に帰属します。(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第164条1項)

 

 相続人は、一般財団法人の成立後は、錯誤を理由として財産の拠出の無効を主張し、又は詐欺若しくは強迫を理由として財産の拠出の取消しをすることができません。 (一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第165条)

 

4. 遺言で遺言執行者を指定しておきます

 

 遺言執行者は、当該遺言の効力が生じた後、遅滞なく、当該遺言で定めた事項を記載した定款を作成し、公証人の認証を受けるとともに、財産の拠出の履行を行わなければならない。(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第152条2項後段、155条、157条)  

 

5.「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」 

 

第10条(一般社団法人の定款の作成)

 一般社団法人を設立するには、その社員になろうとする者(以下「設立時社員」という。)が、共同して定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。 

2 前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

 

第152条(一般財団法人の定款の作成) 

 一般財団法人を設立するには、設立者(設立者が二人以上あるときは、その全員)が定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。 

2 設立者は、遺言で、次条第1項各号に掲げる事項及び第154条に規定する事項を定めて一般財団法人を設立する意思を表示することができる。

 この場合においては、遺言執行者は、当該遺言の効力が生じた後、遅滞なく、当該遺言で定めた事項を記載した定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。 

3 第10条第2項の規定は、前2項の定款について準用する。

 

第153条(一般財団法人の定款の絶対的記載又は記録事項)

 一般財団法人の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 主たる事務所の所在地

 四 設立者の氏名又は名称及び住所

 五 設立に際して設立者(設立者が二人以上あるときは、各設立者)が拠出をする財産及びその価額

 六 設立時評議員(一般財団法人の設立に際して評議員となる者をいう。以下同じ。)、設立時理事(一般財団法人の設立に際して理事となる者をいう。以下この節及び第三百十九条第二項において同じ。)及び設立時監事(一般財団法人の設立に際して監事となる者をいう。以下この節、第254条第7号及び同項において同じ。)の選任に関する事項

 七 設立しようとする一般財団法人が会計監査人設置一般財団法人(会計監査人を置く一般財団法人又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない一般財団法人をいう。以下同じ。)であるときは、設立時会計監査人(一般財団法人の設立に際して会計監査人となる者をいう。以下この節及び第三百十九条第二項第六号において同じ。)の選任に関する事項

 八 評議員の選任及び解任の方法

 九 公告方法

 十 事業年度 

2 前項第五号の財産の価額の合計額は、三百万円を下回ってはならない。 

3 次に掲げる定款の定めは、その効力を有しない。

 一 第一項第八号の方法として、理事又は理事会が評議員を選任し、又は解任する旨の定款の定め

 二 設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定め

 

第154条(一般財団法人の定款の任意的記載又は記録事項)

 前条第1項各号に掲げる事項のほか、一般財団法人の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。

 

第155条(定款の認証)

 第百五十二条第一項及び第二項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。 

 

第二款 財産の拠出

 

第157条(財産の拠出の履行)

 設立者(第百五十二条第二項の場合にあっては、遺言執行者。以下この条、第百六十一条第二項、第百六十六条から第百六十八条まで、第二百条第二項、第三百十九条第三項及び第七章において同じ。)は、第百五十五条の公証人の認証の後遅滞なく、第百五十三条第一項第五号に規定する拠出に係る金銭の全額を払い込み、又は同号に規定する拠出に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、設立者が定めたとき(設立者が二人以上あるときは、その全員の同意があるとき)は、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、一般財団法人の成立後にすることを妨げない。 

2 前項の規定による払込みは、設立者が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。

 

第154条 前条第一項各号に掲げる事項のほか、一般財団法人の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。  

 

第158条(贈与又は遺贈に関する規定の準用)

 生前の処分で財産の拠出をするときは、その性質に反しない限り、民法の贈与に関する規定を準用する。 

2 遺言で財産の拠出をするときは、その性質に反しない限り、民法の遺贈に関する規定を準用する。 

 

第164条(財産の帰属時期)

 生前の処分で財産の拠出をしたときは、当該財産は、一般財団法人の成立の時から当該一般財団法人に帰属する。 

2 遺言で財産の拠出をしたときは、当該財産は、遺言が効力を生じた時から一般財団法人に帰属したものとみなす。

 

第165条(財産の拠出の無効又は取消しの制限) 

 設立者(第百五十二条第二項の場合にあっては、その相続人)は、一般財団法人の成立後は、錯誤を理由として財産の拠出の無効を主張し、又は詐欺若しくは強迫を理由として財産の拠出の取消しをすることができない。  


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