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埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 損害賠償請求権の時効
(1)損害賠償請求権が時効消滅するまでの期間
ア、加害者に対して
① 加害者が分かっている
・ 交通事故により損害を受けたときから3年間
② 加害者が後でわかった
・ 加害者を知ったときから3年間
③ 加害者が分からない
・ 交通事故により損害を受けたときから20年間
イ、保険会社に対して
・ 交通事故により被害を受けたときから3年間
※ ただし、治療が長期化した場合、後遺症が発症した場合は、下記のとおりとなります。
ア、治療が長期化した場合
■ 治癒もしくは症状固定と診断されたときから、加害者または保険会社に対して、3年間
イ、後遺症が発生した場合
■ 症状が固定して後遺障害の残存が確定した日から、加害者または保険会社に対して、3年間
(2)損害賠償請求権の時効の進行が始まるとき
■ 傷害の損害賠償請求権⇒事故の日の翌日から
■ 後遺症の損害賠償請求権⇒症状固定の日の翌日から
※ 受傷時に予測不能な後遺症があらわれた場合はそのときから
■ 死亡事故の損害賠償請求権⇒死亡した日の翌日から
(3)損害賠償請求権の時効を中断させる方法は2つ
① 加害者または保険会社に対して、支払いを「催告」する
・内容証明郵便で行います。
・時効期間の延長は6か月間です。繰り返すことはできません。「調停」または「訴訟」の提起が必要になります。
② 加害者または保険会社に対して、「時効中断申請書」を提出し、承認を求める
2. 自賠責保険請求期限 (※ 出典;国土交通省 自賠責保険ポータルサイト)
■ 加害者請求
請求区分 |
いつから |
いつ(時効完成日)までに |
傷害 |
損害賠償金を支払ってから |
損害賠償金を支払ってから3年3年以内 |
■ 被害者請求
請求区分 |
いつから |
いつ(時効完成日)までに |
傷害 |
事故発生 |
事故が発生してから3年以内 |
後遺障害 |
症状固定 |
症状が固定してから3年以内 |
死亡 |
死亡 |
死亡してから3年以内 |
※ 自賠責保険では3年で時効となり、保険金(共済金)の請求する権利が消滅します。
何らかの理由で請求が遅れてしまう場合は、時効中断の制度があるので、各損害保険会社(組合)にご相談ください。
※ ただし、平成22年3月31日以前に発生した事故については、請求できる期間は2年以内となります。
※ 症状固定とは、症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった時をいい、医師により判断されます。
3. 被害者が加害者の任意保険へ直接請求する場合の時効
※ ほとんどのケースでは、被害者が加害者の任意保険へ直接請求する必要はありません。しかし、示談や裁判で加害者に対する損害賠償請求権が確定したのに、加害者の任意保険会社からの支払がされないといったレアなケースでは、保険金請求権の時効が問題となります。
■ 加害者の任意保険への直接請求権の時効の起算点、時効期間
・平成22年4月1日以降に発生した交通事故の場合、判決が確定した日、または裁判上の和解、調停もしくは書面による合意(示談など)が成立した日の翌日から起算して3年
■ 加害者の任意保険への直接請求権の時効中断事由
① 裁判上の請求
② 任意保険会社による債務の承認(保険金の支払、債務の存在を認める内容の書面)
4. 人身傷害保険の消滅時効
※ 被害者やご家族が人身傷害保険に加入していれば、被害者にも過失がある交通事故の場合でも、最終的に全損害額の支払を確保できる可能性があります。
■ 人身傷害保険の時効の起算点、時効期間
平成22年4月1日以降に発生した交通事故の場合、傷害による損害は治療が必要と認められない程度に治った日の翌日から起算して3年
死亡による損害は死亡日の翌日から起算して3年
後遺障害による損害は症状固定日の翌日から起算して3年
■ 人身傷害保険の時効中断事由
① 裁判上の請求
※ 加害者に対する損害賠償請求訴訟の提起は、人身傷害保険の時効中断事由にはならない。
② 人身傷害保険の保険会社による債務の承認
・加害者との交渉や、後遺障害認定に対する異議申立手続が長引いているときは、人身傷害保険会社に「時効中断承認書」を作成してもらいます。
5. 無保険車傷害保険の消滅時効
※ 被害者やご家族が無保険車傷害保険に加入していれば、加害者が任意保険に加入しておらず自ら賠償金を支払う資力もないときや、ひき逃げや当て逃げで加害者不明のときなどでも、賠償金の支払を確保できます。
■ 無保険車傷害保険の時効の起算点、時効期間
平成22年4月1日以降に発生した交通事故の場合、死亡事故の場合は死亡日の翌日から起算して3年
後遺障害が生じた事故は症状固定日の翌日から起算して3年
■ 無保険車傷害保険の時効中断事由
① 裁判上の請求
※ 加害者に対する損害賠償請求訴訟の提起は、無保険車傷害保険の時効中断事由にはならない。
② 訴訟告知
・訴訟告知とは、加害者に対する損害賠償請求訴訟の手続中に、訴訟告知書を裁判所に提出して、無保険車傷害保険の保険会社に対し、裁判所をとおして訴訟係属の事実を知らせることです。訴訟告知により訴訟が終了するまでの間、時効の中断状態が継続します。
③ 無保険車傷害保険の保険会社による債務の承認
・無保険車傷害保険会社に「時効中断承認書」を作成してもらいます。
6. 搭乗者傷害保険の消滅時効
※ 搭乗者傷害保険は、運転者や同乗者が自動車に乗車しているときに傷害を負った場合に支払われる保険で、賠償金とは別計算で保険金を受け取ることができます。
■ 搭乗者傷害保険の時効の起算点、時効期間
平成22年4月1日以降に発生した交通事故の場合
・医療保険金は平常の生活もしくは平常の業務に従事することができる程度になおった日または事故発生の日からその日を含めて180日を経過した日のいずれか早い日の翌日から起算して3年
・死亡保険金は死亡日の翌日から起算して3年
・後遺障害保険金、重度後遺障害特別保険金および重度後遺障害介護費用保険金は後遺障害が生じた日または事故発生の日からその日を含めて180日を経過した日のいずれか早い日の翌日から起算して3年
※ 各保険会社によって約款の内容が異なる可能性があります。
■ 搭乗者傷害保険の時効中断事由
①裁判上の請求、②搭乗者傷害保険の保険会社による債務の承認(保険金の支払、債務の存在を認める内容の書面)
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