離婚協議書表現上のポイント

□ 離婚協議書で強制執行をするためには、「いつまでに、いくらを支払うか」が明確に記載されている必要があります。

□ 離婚協議書に作為義務を内容とする合意を記載する場合は、「〇〇する」という表現で記載する必要があります(「支払う」というような表現)。「〇〇をするものとする」といった表現は強制執行をすることができる給付文言にはならないとされています(「支払うものとする」といった表現)。

□ 離婚協議書には、誰が、誰に対して、どのようか給付をすべきなのかを明確に表現し記載する必要があります。

□ 離婚協議書には、給付の対象物を特定する表現で記載する必要があります(不動産の場合は、登記簿謄本(登記事項証明書)のとおりに表現し記載する)。

□ 道義条項は、給付条項と解釈されないよう「約束する」などといった表現で記載する必要があります。 


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 「債務名義」と強制執行について

 

■ 離婚協議書で強制執行をするためには、きちんとした「債務名義」(強制執行することを許可した公文書)となっていなければなりません。

 そのためには、離婚協議書に「いつまでに、いくらを支払うか」が明確に記載されている必要があります。

 

2. 「給付文言の表現」と強制執行について

 

■ 「支払う」「明け渡す」「引き渡す」というような表現で記載する必要があります。

 「支払うものとする」「明け渡すこととする」「引き渡すこととする」といった表現は強制執行をすることができる給付文言にはならないとされています。

 

■ 離婚協議書に、作為義務(何かをなすべきこと)を内容とする合意を記載する場合は「〇〇する」という表現にします。不作為義務(何かをしないこと)を内容とする合意の場合は「〇〇をしない」という表現で記載する必要があります。「〇〇をするものとする」「〇〇をしないものとする」といった表現は強制執行をすることができる給付文言にはならないとされています。

 

3. 給付内容の表現について

 

■ 離婚協議書には、誰が、誰に対して、どのようか給付をすべきなのか、あるいはすべきでないのかを明確に表現し記載する必要があります。

 

4. 「給付の対象物を特定する表現」について

 

■ 離婚協議書には、給付の対象物を特定する表現で記載する必要があります。

 不動産の場合は、登記簿謄本(登記事項証明書)のとおりに表現し記載する必要があります。

 

5. 確認事項の表現について

 

■ 確認事項は、特定の権利もしくは法律関係の存在または不存在を双方で確認する合意を内容とする条項です。

 例えば、「甲と乙との間に、○○○○が存在することを確認する」というように、対象を特定する表現で記載する必要があります。

 

6. 形成条項の表現について

 

■ 形成条項とは、新たな権利の発生、変更、消滅の効果を生ずる合意をすることを内容とする条項です。

 「夫○○○○(以下「甲」という)と妻○○○○(以下「乙」という)は、離婚について協議した結果、協議離婚する」と記載することにより、婚姻関係を消滅させる法律効果が生じます。

 

7. 道義条項の表現について 

 

■ 道義条項とは、双方が道義的な責任を認め合い、今後の紛争を予防するために記載する条項で、強制執行することはできません。

 給付条項と解釈されないよう「約束する」などといった表現で記載する必要があります。