遺言状、条文作成上の注意点

1. あいまいな表現をしない 

2. 誤字、脱字に注意する

3. 加除、訂正は決められた方法で行う

4. 「相続させる」と「遺贈する」との法的効果の違い

5. 「遺言者の死亡より前に受遺者が死亡したときは」と「(死亡)以前に」の違い 


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 条文の表記等

 

(1) 誤字、脱字に、特に注意する

 

 誤字、脱字を見つけたら正規のやり方で訂正します。そうしないと不動産登記に事実上使えなくなることがあります。

 

(2) 余分なものは描かない 

 

 地図やイラストを描くのややめましょう。赤で斜線を引いたものが無効とされた判例もあります。 

 

(3) 財産の価格を表す数字は、改ざんを防ぐため漢数字(大字(だいじ))をおすすめします

 

(4) 読点(「、」)の打ち方

 

「長い主語」「長い述語」「長い修飾語」のあとに読点を打ちます。

 語句や名詞を並べる場合や、漢字やひらがなが連続する場合は、読みやすいよう読点を打ちます。(中点(・)を使うこともあります)

「重文」「複文」の区切りに読点を打ちます。

 修飾語がどこにかかるか分かり難く、意味が誤解される恐れがあるときは、修飾関係を明確にするため読点を打ちます。 (読点の位置によって文章の意味が変わることがあります。)

 逆接の関係や原因と結果の関係を述べる場合は、関係性を明確にするため読点を打ちます。

 接続詞、副詞のあとに、読みやすいよう読点を打ちます。(ケースバイケース)

 かぎ括弧の前後には読点を打たないでよいとされています。 

 

(5) 遺贈の客体の表記は対象物を特定する表現で

 

① 土地や建物等の不動産の特定

 

 土地や建物等の不動産は、特定できる程度に記載すれば遺言の効力上は問題ないとされていますが、登記申請に必要となりますので、登記簿全部事項証明書(登記簿謄本)の通りに記載する必要があります。( 固定資産評価証明書の表記を転記しないこと) 

 

② 預貯金の特定

 

 預貯金等を複数の者に相続させ又は遺贈する場合は、「金融機関名・支店名」「口座の種類」「口座番号(証書番号)」を書き特定します。 「残高」は利子などによって変動の可能性があるので書かないことをおすすめします。

 預貯金を1人に相続させ又は遺贈する場合でも、遺言作成時の所在を明らかにしておくため、「預貯金のすべて」と書かないで、金融機関名と支店名を記載し、「〇〇銀行〇〇支店の遺言者名義の定期預金全額」等と記載することをおすすめします。 

 

③ 株券等の特定

 

 株式、公社債については、銘柄、証券番号、株数を書きます。

 株券等を1人に相続させ又は遺贈する場合でも、遺言作成時の所在を明らかにしておくため、「株券等のすべて」と書かないで、「株式会社〇〇の株式〇〇株」等と記載することをおすすめします。非上場の株式については、商号、本店所在地等記載し特定する必要があります。 

 

 自動車の場合は、車体番号または登録番号を書き、特定します。

 

④ 相続させる者、遺贈する相手の特定

 

 相続させる者については、氏名、遺言者との続柄、生年月日を記載します。

 遺贈する相手については、氏名、生年月日、住所を記載します。住所は遺言の執行にあたっても有用な情報となります。ただし、相続人については、遺言者との続柄を記載し、住所は書かないのが一般的です。 

 

(6) 給付内容を明確に表現し記載する

 

 給付事項は、誰が、誰に対して、どのようか給付をすべきなのか、あるいはすべきでないのかを明確に表現し記載する必要があります。

 

(7) 訂正、加筆があるときは定められた方法で  

 

 「加除、訂正の方法」については 》 自筆証書遺言の訂正(加除変更)の仕方 をご覧ください。

 

(8) 「及び」「並びに」「又は」「若しくは」の使い方

 

■ 「A及びB」は、AとBの両方という意味です。3つ以上のものについて並列で規定する場合は、「A、B及びC」と記載します。

 

■ 「A又はB」は、AかBのどちらかという意味です。3つ以上のものについて並列で規定する場合は、「A、B又はC」と記載します。

 

■ 大きなグループと小さなグループに分ける場合(一次分類と二次分類をする場合)は、大きなグループ分けに(一次分類)に「並びに」、小さなグループ分けには(二次分類)「及び」を使います。

 例えば、「A及びBの引き渡し並びにCの受領」のように用います。

 

■ 「又は」「若しくは」についても、大きなグループ分けに(一次分類)「若しくは」、小さなグループ分けに(二次分類)に「又は」を使います。 例えば、「A又はBの引き渡し若しくはCの受領」のように用います。

 

(出典:淵邊善彦(2017)『契約書の見方・作り方』日本経済新聞出版社.46-50頁)

 

2. 「相続させる」と「遺贈する」との法的効果の違い

 

 遺言で「不動産を相続させる」と書けば、登記申請は単独ででき、また、登記をしなくても第三者に対抗できると解されています。

 これに対し、遺言で「不動産を遺贈する」と書くと、登記をしなければ第三者に対抗できません。また、登記は、包括遺贈の場合を含めて、相続人全員(または遺言執行者)と共同ですることが必要です。(法定相続人にあげる場合でも、「遺贈する」と書くと他の相続人(または遺言執行者)との共同申請が必要です。) 

 

注意事 項   現行では「相続させる」遺言による不動産の相続については、登記無くして第三者に対抗できるとされていたが、遺言の有無及び内容を知り得ない相続債権者・債務者等の利益や第三者の取引の安全を確保するため、法定相続分を超える部分については登記をしなければ債務者・第三者に対抗できないこととされた。(施行は令和元年7月1日。施行日以降に作成された遺言について適用される。相続開始が施行日以降であっても、施行日前に作成された遺言には適用されない。) 

 

3. 「所有する一切の財産」と「有する一切の財産」の違い

 

 「遺言者の所有する財産」は、遺言者の有する、所有権の対象となるプラスの財産です。

 包括遺贈をするとき、「遺言者の所有する一切の財産」と表記すると、包括遺贈ではなく特定遺贈で、債務は含まれないとの疑義が生じる恐れがあります。  

 

4. 「遺言者の死亡より前に受遺者が死亡したときは」と「死亡以前に」の違い 

 

 「死亡以前に」は、死亡時を含みますが、 「死亡より前に」は、死亡時を含みません。 

 「死亡より前に」では、遺言者と受遺者が同時に死亡した場合は、停止条件の不成就により、遺贈の効果が生じないことになります。「死亡以前に」では、遺言者と受遺者が同時に死亡した場合についても停止条件は成就し、遺贈の効果が生じます。   

(参照:NPO法人 遺言・相続リーガルネットワーク( 2017)『改訂 遺言条項例300&ケース別文例集』日本加除出版.164頁) 

 

「(平成22年4月1日)より後に」と「(平成22年4月1日)以後に」の違い

 

 

 「(平成22年4月1日)以後に」は、平成22年4月1日を含みすが、 「(平成22年4月1日)より後に」は、平成22年4月1日を含みません。 

 

 

 


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