遺言状、条文作成上の注意点

1. あいまいな表現をしない 

2. 誤字、脱字に注意する

3. 加除、訂正は決められた方法で行う

4. 「相続させる」と「遺贈する」との法的効果の違い

5. 「遺言者の死亡より前に受遺者が死亡したときは」と「(死亡)以前に」の違い 


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. あいまいな表現をしないはっきりとわかりやすく書きます

 

(1)土地や建物等の不動産の特定

 

 土地や建物等の不動産は、特定できる程度に記載すれば遺言の効力上は問題ないとされていますが、登記申請に必要となりますので、登記簿全部事項証明書(登記簿謄本)の通りに記載する必要があります。( 固定資産評価証明書の表記を転記しないこと) 

 

(文例)

 

  土地              

   所在    〇〇市〇〇町〇〇丁目

   地番    〇〇番〇〇 

   地目    宅地

   地積    〇〇〇.〇〇平方メートル

 

 . 建物

   所在    〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番地〇〇 

   家屋番号  〇〇番〇〇 

   種類    居宅  

   構造    木造瓦葺二階建

   床面積   一階 〇〇.〇〇平方メートル 

         二階 〇〇.〇〇平方メートル

 

※  未登記のものは家屋番号の欄に「未登記」と書きます。(固定資産税課税台帳登録証明書の通りに書きます。)

 

※ 家財道具についても、建物の受遺者に帰属させる場合は、紛争予防のため、その旨明記しましょう。

 

(2)預貯金の特定

 

 預貯金を1人に相続させ又は遺贈する場合でも、遺言作成時の所在を明らかにしておくため、「預貯金のすべて」と書かないで、金融機関名と支店名を記載し、「〇〇銀行〇〇支店の遺言者名義の定期預金全額」等と記載することをおすすめします。 

 預貯金等を複数の者に相続させ又は遺贈する場合は、金融機関名と支店名、口座の種類、口座番号を記載し特定する必要があります。

 

(3)株券等の特定

 

 株券等を1人に相続させ又は遺贈する場合でも、遺言作成時の所在を明らかにしておくため、「株券等のすべて」と書かないで、「株式会社〇〇の株式〇〇株」等と記載することをおすすめします。非上場の株式については、商号、本店所在地等記載し特定する必要があります。

 

 

(4)相続させる者、遺贈する相手の特定

 

 相続させる者については、氏名、遺言者との続柄、生年月日を記載します。

 遺贈する相手については、氏名、生年月日、住所を記載します。住所は遺言の執行にあたっても有用な情報となります。ただし、相続人については、遺言者との続柄を記載し、住所は書かないのが一般的です。

 

 

2. 誤字、脱字に、特に注意しましょう

 

 誤字、脱字を見つけたら正規のやり方で訂正します。そうしないと不動産登記に事実上使えなくなることがあります。

 

 

3. 余分なものは描かない

 

 地図やイラストを描くのややめましょう。赤で斜線を引いたものが無効とされた判例もあります。

 

 

4. 訂正、加筆があるときは定められた方法で行います

 

□ 「加除、訂正の方法」について、詳しくは 》 自筆証書遺言の訂正(加除変更)の仕方 をご覧ください。

 

※ 「加除、訂正の方法」は、秘密証書遺言も同じです。 

 

 

5. 数字は、変造を防ぐため漢数字(大字(だいじ))が望ましいとされています

 

 

 6. 「相続させる」と「遺贈する」との法的効果の違いを踏まえて書く

 

 遺言で「不動産を相続させる」と書けば、登記申請は単独ででき、また、登記をしなくても第三者に対抗できると解されています。

 これに対し、遺言で「不動産を遺贈する」と書くと、登記をしなければ第三者に対抗できません。また、登記は、包括遺贈の場合を含めて、相続人全員(または遺言執行者)と共同ですることが必要です。(法定相続人にあげる場合でも、「遺贈する」と書くと他の相続人(または遺言執行者)との共同申請が必要です。) 

 

注意事 項   現行では「相続させる」遺言による不動産の相続については、登記無くして第三者に対抗できるとされていたが、遺言の有無及び内容を知り得ない相続債権者・債務者等の利益や第三者の取引の安全を確保するため、法定相続分を超える部分については登記をしなければ債務者・第三者に対抗できないこととされた。(施行は令和元年7月1日。施行日以降に作成された遺言について適用される。相続開始が施行日以降であっても、施行日前に作成された遺言には適用されない。)

 

 

7. 「遺言者の所有する一切の財産」と「遺言者の有する一切の財産」の違い

 

 遺言者の所有する財産」は、遺言者の有する、所有権の対象となるプラスの財産です。

 包括遺贈をするとき、「遺言者の所有する一切の財産」と表記すると、包括遺贈ではなく特定遺贈で、債務は含まれないとの疑義が生じる恐れがあります。 

 

 

8. 「遺言者の死亡より前に受遺者が死亡したときは」と「(死亡)以前に」の違いを踏まえて書く

 

  「遺言者の死亡より前に受遺者が死亡したときは」とすると、遺言者と受遺者が同時に死亡すると、停止条件の不成就により、遺贈の効果が生じないことになってしまうので・・・「(死亡)以前に」という文言を用いる(出典:NPO法人 遺言・相続リーガルネットワーク( 2017)『改訂 遺言条項例300&ケース別文例集』日本加除出版.164頁)

 

 

9. 遺言書で強制執行をするためには、きちんとした「債務名義」(強制執行することを許可した公文書)となっていなければなりません

 

(1) 給付文言で記載する

 

① 「遺贈する」「相続させる」というような表現で記載する必要があります。

 「遺贈することとする」「相続させることとする」といった表現は強制執行をすることができる給付文言にはならないとされています。

 

② 遺言書に、作為義務(何かをなすべきこと)を内容とする事項を記載する場合は「〇〇する」という表現にします。不作為義務(何かをしないこと)を内容とする事項の場合は「〇〇をしない」という表現で記載する必要があります。

 「〇〇をするものとする」「〇〇をしないものとする」といった表現は強制執行をすることができる給付文言にはならないとされています。

 

 

(2) 給付内容を明確に表現し記載する

 

 遺言書には、誰が、誰に対して、どのようか給付をすべきなのか、あるいはすべきでないのかを明確に表現し記載する必要があります。

 

 

(3) 給付の対象物を特定する表現で記載する

 

 遺言書には、給付の対象物を特定する表現で記載する必要があります。不動産の場合は、登記簿謄本(登記事項証明書)のとおりに表現し記載する必要があります。 

 

 

(4) 形成条項 

 

 形成条項とは、新たな権利の発生、変更、消滅の効果を生じさせることを内容とする条項です。


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