「相続分の指定(相続財産の全体について、相続分割合を指定する遺言)」と「相続財産の全体について、割合を定めて相続させる遺言」

□ 遺言による相続分の指定は、相続人間で円滑な遺産分割協議が行われることが見込まれる場合に限ります。


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埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 相続分の指定(相続財産の全体について、相続分割合を指定する遺言)

 

 相続人の相続分は民法で定められており、この相続割合を 》「法定相続分」 といいます。

 ただし、遺言で相続割合(誰にどのくらい遺産をあげるか)を指定できます遺言で指定した相続割合のことを 「指定相続分」といいます。  

 遺言による指定相続分は法定相続分と同じにしても変えても自由です。遺言による指定相続分は法定相続分に優先します。 

 

 相続分の指定は一部の相続人に対してだけ指定することもできます。(指定を受けなかった相続人は法定相続分となります)

 

※ 遺言の趣旨の解釈に疑義が生じないよう、全員に対し指定することをおすすめします。 

 

 相続財産の全体について、各相続人に分数的割合により相続させる遺言は、相続分の指定をしたにすぎず、権利関係の確定には遺産分割協議が必要になります。

 したがって、遺言による相続分の指定は、相続人間で円滑な遺産分割協議が行われることが見込まれる場合に限ります。

 

民法902条(遺言による相続分の指定)

1.被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。

2.被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。

□ 相続分を指定する遺言文例

第〇条 遺言者は、次のとおり相続人の相続分を指定する。 

 

  妻 〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)12分の9

  長男〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)12分の1

  長女〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)12分の1  

  次女〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)12分の1

2. 相続財産の全体について、割合を定めて相続させる遺言

 相続財産の全体について、各相続人に指定する持分を相続させようとする場合の遺言です。

 遺言者が「個々の遺産について」指定した持分を確定的に取得させる意思を明らかにしているもの(※)ではない場合は、単に相続分の指定をしたにすぎないものとして、権利関係の確定には遺産分割協議等が必要になります。また、相続に伴う預金の名義変更(払い戻し請求)をする際には遺言書のほかに遺産分割協議書が必要となる場合があります。

 

※ 指定した割合が「相続分の指定」の趣旨ではなく、共有持分割合の場合は、具体的に財産を列挙し、不動産については「各2分の1の持分割合による共有とし相続させる」、株式については「AとBに株式数で各2分の1ずつ相続させる」というように書きます。

特定の遺産について割合を定めて相続させる遺言文例

 

□ 相続財産の全体について、割合を定めて相続させる遺言文例

第〇条 遺言者は、遺言者の有する財産の全部を、次の割合で各相続人に相続させる。 

 

  妻 〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)12分の9

  長男〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)12分の1

  長女〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)12分の1  

  次女〇〇〇〇(昭和△△年△月△日生)12分の1   


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