その他遺言のポイント


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埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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3⃣ 相続の手続きが簡単

「相続させる遺言」は、遺産分割協議を経ることなく、単独で登記申請できます

 

 特定の不動産を特定の相続人に「相続させる遺言」によれば、当該相続人は被相続人の死亡と同時に当該不動産上の権利を当然に承継し、所有権移転登記をしなくても第三者に対抗できると解されています。また、登記は、遺産分割協議を経ることなく、単独で登記申請できます。  

 一方、「遺贈する遺言」による不動産の「遺贈」は、登記を経なければ第三者に対抗できません。また、「遺贈する遺言」による登記は、包括遺贈の場合を含めて、相続人全員で共同申請することが必要とされています(または遺言執行者と共同で登記申請する)。なお、相続人に遺贈する場合でも、他の相続人(または遺言執行者)との共同申請が必要とされています。 

 

注意事 項 民法改正(30.7.13公布)により、「相続させる」遺言による不動産の相続についても、法定相続分を超える部分については登記をしなければ債務者・第三者に対抗できないこととされました。(施行;改正法は令和元年7月1日以降に開始した相続について適用されます。

 

ポイント 詳しくは 》 「相続させる」と「遺贈する」との違い をご覧ください。

 


4⃣ 遺言執行者の指定

 

1.  相続人間の利害が対立する遺言をするとき

 

 相続人間の利害が対立する遺言をする場合は、相続人の一人に遺言執行させると相続人の間に感情の対立が生じ、遺言の内容の実現がスムースにいかないおそれがあります。第三者を遺言執行者に指定することをおすすめします。

 

 

2.  相続人以外に不動産の遺贈をするとき

 

 不動産の登記は「遺贈」の場合は受遺者単独ではできません。 相続人全員と共同ですることが必要です(または遺言執行者と共同でする)

 相続人以外に不動産の遺贈をする場合は、受遺者若しくは第三者を遺言執行者に指定しておくことをおすすめします。

 

 

3. 内縁の妻に「特定遺贈(*)」をするとき

 

 内縁の妻は遺産分割協議に参加できません。内縁の妻への「特定遺贈」をするときは、受遺者若しくは第三者を遺言執行者に指定しておくことをおすすめします。

 

 (*)特定遺贈とは、「A社の株式をBに贈与する」というように、遺産のうち特定の具体的な財産的利益を指定して遺贈することをいいます。

 

 

4. 「不動産」「預貯金」「有価証券」を複数の相続人に相続分の指定で相続させるとき

 

 不動産を複数の相続人に持ち分で相続させる場合は相続人のうちの一人を遺言執行者に決めておくと相続登記の手続きの際便利です。

 預貯金を複数の相続人に相続分の指定で相続させる場合は相続人全員の名義で預貯金の払い戻し手続きをしなければなりません。また、相続人全員の印鑑証明書が必要です。相続人のうちの誰か一人を遺言執行者に指定しておけば預貯金の払い戻し手続きの際便利です。

 

 

5. 相続人や受遺者が多いとき

 

 相続人や受遺者が多数の場合は、相続の手続き、特に遺産分割は大変です。遺言執行者を指定しておいた方がスムーズに進みます。

 

 

6. 相続人が妻と子だけの場合

  

 相続人が妻と子だけで遺産分割が必要になる場合は、妻を遺言執行者に指定することをおすすめします。

 

 ポイント 詳しくは 》 遺言執行者 をご覧ください。


5⃣ 状況変化を想定した遺言

 

1. 時間の経過による遺産財産構成の変化を想定した遺言 

 

 時間の経過により遺産財産構成は変わります。

 特に預貯金の金額については遺言書作成後の残高の変化により相続人間で紛議を招かないよう、遺言状作成時点の残高はを書かず「全額」または、「すべて」と記載することをおすすめします。

 

 

2. 受遺者が遺言者より前に又は同時に死亡したときに備える

 

 遺言で財産を相続させる(又は遺贈する)する相手(受遺者)が、自分より前に又は同時に亡くなってしまった場合、亡くなった相続させる相手にあげる予定の部分は代襲相続を除き無効となります。相続人全員で遺産分割協議をやらなければなりません。

 遺言で財産を相続させる(又は遺贈する)する相手(受遺者)が、万が一、遺言者より前に又は同時に死亡した場合に備え、亡くなった人にあげる予定の財産を誰に承継させるかを、予備的遺言(補充的遺言)として書くことができます。

 特に、相続させる相手が自分より上、または同年齢の時は、予備的遺言(補充的遺言)が必要です。 

 

 ポイント 詳しくは 》予備的遺言(補充的遺言) をご覧ください。

 

 

 法定相続分を超える部分も含めて孫等に「代襲相続」させたいときは、その旨、遺言に明記する必要があります。

 

ポイント 詳しくは 》遺贈と代襲相続 をご覧ください。

 


6⃣ 遺言を変えるとき

 遺言の内容を変えるときは、新しい遺言を作成し、「前の遺言の内容を取り消す」という趣旨の文言を入れすることをおすすめします。古い遺言は処分します( 複数の遺言があると遺族間でもめる原因になります)。 

 

 ポイント 詳しくは 》 遺言を変更する をご覧ください。


8⃣ その他

 

1. 不動産を相続させるとき

 

① 土地や建物は、マンションも含め、客観的に特定可能で解釈上疑義が生じないようにするため、登記簿全部事項証明書(登記簿謄本)の通りに書きます。( 固定資産評価証明書の表記を転記しない) 

  

② 自宅などの「不動産を共有」にする遺言はトラブルの元です。実態として単独使用になってしまうという問題のほか、建て替えや持ち分の売却には相続人全員の合意が必要です。また、その後の相続で相続登記をしないまま相続人がどんどん増えてしまうという問題があります。①すぐ売却する場合、②居住用の土地に適用される相続税の特例の要件を満たすため、配偶者と子が共有で相続する場合などを除き、たとえ多少不平等になっても「不動産を共有」は避けることをおすすめします。

 

③ 建物と「敷地の借地権」を相続させる場合、借地権も相続させる旨明記して遺言の趣旨を明確にしておきます。

 

④ 私道部分がある場合はもれないよう注意します。

 

⑤ 遺言で相続人以外に不動産の遺贈をする場合は、相続人の協力がなくても登記できるよう、受遺者又は第三者を遺言執行者に指定しておくことをおすすめします。

 

 「路線価」は、南側道路や北側道路など土地が接する道路の方位、旗竿地などの増減価要因、環境条件を考慮していません。実際の価値とかけ離れている場合があります。注意が必要です。

 

 ポイント 「不動産の評価」について詳しくは 》財産の評価の仕方 をご覧ください。

 

 

~妻に自宅の土地建物を相続させる、生前贈与と遺言どちらが費用的に有利か~

 

 生前贈与は、自宅が2,000万円以下の場合は贈与税はかかりませんが、不動産取得税、贈与契約書の費用が必要です。一般的には遺言の方が費用がかかりません。

 

 

 2. 債務、連帯保証人の相続

 

 「債務、連帯保証人の相続」については、その存在等を必要に応じ遺言に書いておくことをおすすめします。 

 ただし、債務については、「遺言による相続分の指定の債務」については、可分債務について負担割合を指定しても、債権者は拘束されません。遺言の指定に従って請求することも、法定相続分に応じて請求することもできます。

 

 「家を相続させる代わりに住宅ローンを払うこと」といった「負担付贈与」は可能です。その場合は、どの財産から返済するのか明示しておくことが必要です。 

 

注意事 項 「住宅ローン」は通常「団信」に加入していますので、相続人が支払う必要はありません(ただし、団信の加入が任意のものもありますので金融機関に確認が必要です)。

 

 ポイント 詳しくは、 》 債務の相続 をご覧ください。  

 

 

3. 共同遺言の禁止~夫婦で同一の書面で遺言することはできません~

 

 共同遺言は、一人で撤回変更ができなくなるなど、遺言者の最終意思の実現ができなくなる不都合があるからです。 

 

ポイント 詳しくは、 》 遺言の効力 をご覧ください。  

 

 

4. 付言事項について 

 

 付言事項には相続人の気持ちに配慮し、相続人すべてに最後のメッセージを書きましょう。中傷、非難、人格攻撃をしてはいけません。いたずらに相続問題を複雑にするだけです。  

 

ポイント 詳しくは、 》 付言事項 をご覧ください。

 

 

5. 「祭祀の主宰者」(承継者)の指定

 

 祭祀主宰者を指定する遺言では、相続分の指定にあたっても配慮しておくことが必要です。  

 

 

6. 介護に関すること、尊厳死、臓器提供について

 

 これらのことは、生前に知らせておかないと実現は困難です。遺言になじみません。 

 介護に関することについては「任意後見契約公正証書」、尊厳死については「尊厳死宣言公正証書」、臓器提供については「臓器提供に関する公正証書」の形で決めておくことをおすすめします。

 

 

7. 葬儀についての希望、散骨やお墓に関することについて

 

 自筆証書遺言や秘密証書遺言は裁判所の検認を受けなければ開封できないので、読めるのは葬儀の後になってしまいます。(検認の申し立てから手続きが完了するまで通常1~1.5か月間を要します)

 葬儀の方法、埋葬場所等を書き封をする場合は、書いたことを話しておくか、》 エンディングノート にも書くなどすることをおすすめします。

 

 葬儀の形式や内容、費用について生前に取り決めておく方法として、葬祭業者と「生前契約」をしておく方法があります。

 葬儀、散骨、お墓についての希望は「葬儀・遺骨についての公正証書」などの形で決めておくこともできます。

 いずれの方法をとるにせよ、遺族とトラブルにならないよう、相続人がいる場合は、了解を得ておく必要があります。 

 

 

8. 農地の「特定遺贈」をするとき

 

 農地の「特定遺贈」は特定継承であり、農地の贈与・売買と同じく、農業委員会の許可を停止条件とする停止条件付遺贈となります。農地の「特定遺贈」は、相続後、農業委員会の許可が必要です。

 一方、「相続させる遺言」による農地の遺贈は一般継承(包括継承)であるため農地法第3条の許可は不要とされます。

 


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