遺産分割の基準

□ 民法第906条には遺産分割の基準として、①遺産の種類と性質、②相続人の年齢、職業、心身の状態、生活の状況、③その他一切の事情を考慮して分割する、と書かれています。

 

□ 具体的には一般に以下のようなことが挙げられています。 

・ 配偶者が住んでいる自宅不動産はなるべく配偶者に取得させる。 

・ 農地、営業用資産はなるべく事業を承継する者に取得させる。

・ 被相続人の世話をした人、介護をした者に配慮する。  

・ 仏壇や墓などを引き継いで先祖の供養をする人に配慮する。


行政書士は街の身近な法律家

埼玉県行政書士会所属

行政書士渡辺事務所

行政書士・渡邉文雄

 

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1. 遺産(物・権利)の種類と性質による基準

 

・ 農地、家業用の資産は、なるべく事業を承継する者に取得させる。

・ 現に家族が住んでいる土地や家は、なるべく共有にしない。

 

 

2. 相続人の年齢、職業、心身の状態、生活の状況による基準

 

・ 配偶者が住んでいる家は、なるべく配偶者に取得させる。

・ 配偶者の生活費、老後の生活に配慮する。

・ 年少者や心身障害者、生活に困窮している者の生活に配慮する。  

・ 先妻と後妻の子がいるときはできるだけ公平に分ける。    

・ 子ども同士は、原則として公平に分ける。

 

注意事 項 民法改正(H30.7.13公布)

① 婚姻期間20年以上の夫婦相互間における自宅の贈与は、特別受益持ち戻しをしないこととなった。(令和元年7月1日施行 ※生前贈与は令和元年7月1日以降におこなわれたものについて適用される。遺贈は遺言書等作成日付が令和元年7月1日以降について適用される。)

 

② 「配偶者居住権」の創設 遺産分割において、自宅は配偶者が「配偶者居住権」を取得して引き続き住み、子どもは負担付所有権を取得する、という分け方ができるようになる。(令和2年年4月1日施行※改正法は原則として施行日以降に開始した相続に適用されます。)

※「配偶者居住権」とは、配偶者が相続開始の時に居住していた建物に、死ぬまで無償で使用できる権利です。また、相続する権利ではなく、遺言や、遺産分割協議による法定相続人の合意、家庭裁判所による遺産分割の審判によって、被相続人の配偶者が取得する法定債権です。配偶者に一身専属的な権利であり、譲渡はできません。配偶者居住権(長期)では、存続期間が長期間に及ぶことから、第三者対抗要件としての登記が定められています。

 これまでは、配偶者が住んでいる家を相続した場合は預貯金などはあまり相続できませんでしたが、これからは、住んでいる家を「配偶者居住権」で取得すると、配偶者居住権は所有権よりも評価額が低いことから、その分預貯金を多く相続することができます。  

 合わせて 「配偶者短期居住権」も創設され、配偶者が相続開始の時に居住していた建物に遺産分割が終了するまで無償で使用できます(最低6か月間は保障)

 

 

3. その他の事情による基準

 

・ 取得する者の意向に配慮する。

・ 被相続人の世話をした人、介護をした者に配慮する。  

・ 仏壇や墓などを引き継いで先祖の供養をする人に配慮する。

 

注意事 項 民法改正(H30.7.13公布)「特別の寄与」の制度の創設(この部分は2019年7月1日施行※改正法は原則として施行日以降に開始した相続に適用されます。)

 現行では被相続人の息子の嫁等、相続人以外の親族が被相続人に対し無償の療養看護や労務の提供を行っても「寄与分」の請求はできませんでした(ただし、被相続人の息子が存命であれば、その寄与分として請求できた)。

 民法改正により「特別の寄与」の制度が創設され、相続人ではない親族が無償の療養看護や労務の提供をした場合に「特別寄与料」として金銭を請求できるようにようになりました。具体的には、戸籍上の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族(子の配偶者はこの中に含まれる))が介護してきたときなどが該当します。なお、遺産分割については現行と同じく相続人だけで行うことに変わりありません。

 

 

4. 遺留分に注意

 

 特定の相続人だけに遺産を集中したい場合、特定の相続人が相続財産を何ももらわないという遺産分割協議書も有効とされています。しかし、遺留分を侵害されたときは遺留分減殺請求はできます( 遺産分割協議では遺留分は放棄していないから)

 

□ 遺留分について詳しくはこちらをご覧ください 》遺留