□ 遺言がないときは法定相続分で分けます。相続人全員で一致すれば(多数決ではない)法定相続分と違う割合で分けることができます。
□ 平成25年9月5日以後に開始した相続について、嫡出でない子の相続分も嫡出子と同等になりました。
1. 遺産分割と相続分(相続分割合)
遺産を分けることを遺産分割といい、その割合を「相続分」といいます。
相続人の相続分(相続分割合)は民法で定められており、この相続分割合を「法定相続分」 といいます。相続人全員で一致すれば(多数決ではない)法定相続分と異なる割合で分けることができます。
遺言で相続分割合を指定でき、これを「指定相続分」といいます。
遺言による指定相続分は法定相続分に優先します。遺言による指定相続分は法定相続分と同じでも変えても自由です。
遺言による「相続分(相続分割合)の指定」があっても、相続人全員の合意があれば、これに拘束されず自由に決めることができます。
2. 法定相続分(民法900条・901条)
民法で定められた、各相続人の相続する割合を「法定相続分」といいます。
「法定相続分」になるのは、①遺言がない、②遺言はあるが「相続分(相続分割合)の指定」がされていない、③遺言からもれている遺産がある、のいずれかです。
ただし、この場合でも、相続人全員の合意があれば、法定相続分の定めに拘束されません。自由に決めることができます。
① 配偶者 2分の1 、子 2分の1
※ 平成25年9月5日以後に開始した相続について、嫡出でない子の相続分も嫡出子と同等になりました。
□ 詳しくは、 》非嫡出子の相続分 をご覧ください。
② 子がいない場合
□ 配偶者 3分の2 直系尊属 3分の1
③ 子も直系尊属もいない場合
□ 配偶者4分の3 兄弟姉妹 4分の1(兄弟姉妹が複数いるときは等分します。ただし、半血兄弟姉妹(異父または異母)は全血兄弟姉妹の2分の1となります。)
※ 相続分(相続分割合)は、子、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ二人以上いる場合は、全員分です。
(1) 続柄別 法定相続分
① あなたが被相続人の「子」の場合
被相続人に |
法定相続分 |
配偶者がいる |
1/2 |
配偶者がいない |
すべて |
② あなたが被相続人の「配偶者」の場合
被相続人に |
法定相続分 |
子がいる |
1/2 |
子がいないが父母がいる |
2/3 |
子、父母がいないが「きょうだい」がいる |
3/4 |
子、父母、「きょうだいがいない |
すべて |
③ あなたが被相続人の「父母」の場合
被相続人に |
法定相続分 |
子がいる |
なし |
配偶者がいるが子がいない |
1/3 |
配偶者、子がいない |
すべて |
④ あなたが被相続人の「きょうだい」の場合
被相続人に |
法定相続分 |
子がいる |
なし |
父母がいる |
なし |
配偶者がいるが、子、父母がいない |
1/4 |
配偶者、子、父母がいない |
すべて |
(2) 法定相続分の組合せ
|
配偶者 |
子ども |
直系尊属 |
きょうだい |
法定相続分の組合せ |
2分の1 |
2分の1 |
なし |
なし |
3分の2 |
(いない) |
3分の1 |
なし |
|
4分の3 |
(いない) |
(いない) |
4分の1 |
|
全部 |
(いない) |
(いない) |
(いない) |
|
(いない) |
全部 |
なし |
なし |
|
(いない) |
全部 |
(いない) |
なし |
|
(いない) |
全部 |
なし |
(いない) |
|
(いない) |
全部 |
(いない) |
(いない) |
|
(いない) |
(いない) |
全部 |
なし |
|
(いない) |
(いない) |
全部 |
(いない) |
|
(いない) |
(いない) |
(いない) |
全部 |
民法900条(法定相続分)
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
①子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
②配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
③配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
④子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。